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「東京エレクトロン、女性もっと働きやすく 現場発で議論」に注目!

東京エレクトロン、女性もっと働きやすく 現場発で議論 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

東京エレクトロンで女性が働きやすい風土作りが進んでいます。乳幼児を抱えながら残業する仮想現実(VR)での体験や、世界の女性エンジニアが率直な思いを語るオンライン座談会など新たな試みが広がります。社員同士の議論やコミュニティー運営を重視し、ボトムアップの変革を目指します。

「客先トラブルの対応で急な出張が多い」「工場夜勤に女性が少なく食堂に1人で行きづらい」。1月末、日本と中国、台湾、韓国、シンガポールの東京エレクトロンの拠点で働く女性エンジニアがオンラインの交流会で境遇を語り合いました。毎年行う「DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)ウイーク」と題した行事の一環です。

社内の案内を見た新入社員から管理職まで、幅広い世代の約90人が集まりました。「仕事に求めるのは報酬?やりがい?」「女性エンジニアとして働き続ける不安は?」。次々と投げられるテーマに答えるうちに、面識のなかった参加者同士が画面上で打ち解け、議論が白熱しました。

過去にも同様の座談会はありましたが、今回は初めて女性社員自ら企画・運営をしました。メンバーは北海道と山梨、東京、九州の拠点で働く女性エンジニア4人で、2023年秋から業務の合間にウェブ会議を重ねて準備してきました。

企画リーダーを務めた東京エレクトロン九州の根來世さんは「当たり前に思っていたことを見直すきっかけになった」と手応えを語ります。たとえばクリーンルームの専用服。男性仕様しかないのは不便だという意見が上がり、共感が相次ぎました。「皆が会話を楽しんでくれた。今後リアルで会う約束も交わせた」と喜びます。

座談会を傍聴した人事担当者は「現場ならではの声が聞けて良かった」と話します。内容を経営層に報告し、改善につなげることを伝えました。

1月のDE&Iウイークでは、VRによる介護や育児の疑似体験も初めて行いました。東京・赤坂の本社に男女約30人の社員が集まり、VRゴーグルを付けて映像を見て、小グループに分かれて感想を話し合いました。

育児編の映像はシングルマザーとして3人の子どもを育てながら、会社から持ち帰った残業をこなす設定です。保育園から子どもの発熱で急に呼び出され、帰宅後も食事や風呂などタスクが続くなかで上司から電話がかかり、在宅での資料作成を求められます。

話し合いでは「周りに子育て中の女性社員は多いが、こんなハンディキャップを抱えて仕事をしているとは気付かなかった」と驚く男性社員や、「うちの子はもっということを聞かないので、映像の女性以上に私はきつい思いをしている」と話す女性社員もいました。

東京エレクトロンは経営課題としてGlobal(国籍)、Gender(性別)、Generation(世代)の頭文字を取った「3G」における多様性の向上を掲げます。2023年3月期の日本法人における女性管理職割合は2.7%にとどまり、2027年3月期には5%に引き上げる目標を掲げます。

半導体業界に就職する理系出身者は大半が男性で、女性管理職が育ちにくい土壌が続いてきました。河合利樹社長は「大きな成長ポテンシャルがある半導体業界だからこそ、ジェンダーを意識して人材を育て、グローバル競争力を高めたい」と話します。

東京エレクトロンはDE&Iを積極的に推進しています。「ONE TEL, DIFFERENT TOGETHER」の考えのもと、グループ各社でさまざまな取り組みを実施しています。東京エレクトロンではGlobal・Gender・Generationの「3G」に、Diverse Work Styles(多様な働き方)を加えた4つのテーマを重点領域として、DE&Iの取り組みを進めています。

女性管理職比率については、日本は2027年3月期に5.0%、グローバルでは8.0%に向上することを目標にしています。また、女性エンジニアについても、各地域における一般的な女性エンジニア比率(理工学専攻の女性比率)と同等以上の女性エンジニアを採用する取り組みも行っています。

「キャリアデザインセミナー for Women」や「J-Win(女性リーダー育成選抜外部研修)」、「TEL-WIN」といった取り組みを通じて、性別に関わらず、誰もが働きやすく、高いモチベーションをもてる職場を創出し、人材の多様性を競争力につなげる環境づくりを進めている東京エレクトロンの、今後の成長に期待しています。