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「日産やホンダ、EV電池データ共有で連携 欧州規制に対応」に注目!

日産やホンダ、EV電池データ共有で連携 欧州規制に対応 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

日産自動車やホンダなどが電気自動車(EV)に使う電池に関するデータ共有を巡り手を組みます。共同でシステムを開発し、各社が電池性能や状態をデジタルで管理する仕組みを導入します。欧州連合(EU)が2027年から電池の再資源化を強化するため情報開示を厳しくするためで、自動車でデータ規制への対応が広がってきました。

日産とホンダのほか、マツダ、デンソーなど自動車に関わる日本企業7社が「電池パスポート」と呼ばれる仕組みを2027年までに導入します。

日産やホンダは日米欧120社以上からなる企業連合「モビリティー・オープン・ブロックチェーン・イニシアチブ(MOBI)」(カリフォルニア州)に参加し、電池パスポートの基盤開発を担ってきました。実証が進んだことから、実用化に向けて動き出します。

電池パスポートは電池の性能や健康状態、再利用できるレアメタル(希少金属)がどの程度使われているかといった情報を電子化したものです。各社は機密性を保った上でこれらの情報をデジタル上で記録し、管理する仕組みを導入します。

パスポートは「QRコード」のような仕組みで運用します。電池のデータを入力したコードを読み取れば、材料や原産地、生産履歴、再利用に関する情報が、事業者や車の所有者にも分かります。電池がどの程度劣化しているかもわかり、中古車としての価値も計れます。

まず電池に関する規制を2027年から導入する欧州で運用します。EUは2023年6月に電池に関する規制案を採択しました。電池の再利用をEU域内で義務付けるもので、例えばリチウムは2027年までに使用済み電池から50%を再資源化する必要があります。

自動車メーカーは2027年以降、欧州で販売するEVで規制を満たす必要があります。条件を満たさない場合は追加のクレジットなどを支払うことになる可能性が大きいです。電池パスポートは規制に対応するツールとして欠かせません。

EUが電池データを巡る規制を強める背景には、中国への警戒があります。中国は電池に使う材料を世界中で寡占しています。国際エネルギー機関(IEA)によると例えばレアメタルの一種のリチウムの加工や精製では中国が世界の65%を占めます。

EUは中国にサプライチェーン(供給網)の多くを依存する電池の情報開示を車メーカーに求めることで経済安全保障上の対策を強化し、域内での材料の再利用を促す狙いが大きいです。

電池パスポートは対中規制を強める米国も導入を検討しています。2022年に成立したインフレ抑制法(IRA)で、自動車メーカーがEV補助金を受けるためには北米域内で電池を調達することが条件となったためです。パスポートは原産地把握に有効な手段になります。

一方、中国がEV電池の約6割を寡占しサプライチェーンの多くも押さえるなか、中国を完全に排除した形で電池のデータを囲い込むのは難しいのが現状です。車載電池で世界首位の中国の寧徳時代新能源科技(CATL)は原材料から再利用まで、既に1兆を超えるデータを持つとされます。

電池パスポートの基盤開発を巡っては、独フォルクスワーゲン(VW)などドイツ企業が中心の企業連合「カテナX」も手を挙げています。日産などの加盟するMOBIはカテナXの上部組織とも連携しており、今後、日欧でもデータ連携を進めていく考えです。

電池パスポートは、電池セルメーカーや採掘事業者、リサイクル事業者等が情報を入力することで、電池性能・状態や材料のリサイクル率、CO2排出量等の情報がデジタル上で把握できる仕組みです。リチウムなどEV電池材料のリサイクルをEU域内で義務づける規制への対応にも電池パスポートが必要になります。パスポートの情報は消費者や非政府組織(NGO)がチェックでき、環境対応のほかサプライチェーン(供給網)上の人権や労働環境といった問題を解決するのにも役立てます。

ホンダは、2040年にEVや燃料電池自動車(FCV)の販売比率を100%にすることを目指しています。製品領域でのCO2排出量削減に向けたホンダの取り組みに期待しています。

※文中に記載の内容は特定銘柄の売買などの推奨、または価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。