「図面ソフトのREVOX、AIで製造業外注10分 丸紅と普及」に注目!
図面ソフトのREVOX、AIで製造業外注10分 丸紅と普及 静岡スタートアップ キックオフ - 日本経済新聞 (nikkei.com)
図面ソフトのREVOX(レボックス、静岡市)が人工知能(AI)によりものづくり企業の受発注業務の効率化を後押ししています。経験者でも数日かかるところを約10分に大幅短縮し、図面検索や情報入力に要する時間も短くなります。丸紅の出資を受けて川上から川下までソフト導入を促し、海外にも打って出ようとしています。
製造業などが金属や樹脂、ゴムなどの各種加工を外部に発注する際は、主に2次元の図面や見積書とともに取引先とやりとりします。見積もりは仕様や加工内容、注意事項などに基づいてはじきます。レボックスによると経験者でも1〜3日はかかり、人手が足りない中小企業にとっては負担が重いです。
同社の見積もりソフト「セルボット」は企業が過去に発注した図面や見積額をAIで学習させ、寸法や加工数量を入力すれば材料費と加工費を自動で計算して見積額を概算できます。材料費の価格変動は金属などの専門商社、白銅と連携して反映します。
類似した発注の実績のほか、新旧の図面の細かな違いを示す機能もあり、それらも参照して見積もりの作成を効率化できます。どの企業にいくらで依頼していたかも分かり、担当者による見積額のばらつきも起きにくいです。メールやFAXではなくソフト上で取引先との受発注が完結し、連絡漏れもなくなります。
「モノだけでなく、コトも売っていく」。レボックスの宮季高正社長はそんな思いを込めます。経営する樹脂加工会社、プラポート(静岡市)の社内スタートアップとして2021年11月に立ち上げました。自らも受発注に煩わしさを感じシステム化を探るなかで、「いっそのこと作ってしまおうと思った」と振り返ります。
開発したソフトは社内で使い勝手が良く、レボックスを通じた外販に乗り出しました。導入先の企業ごとに最適化して売り込みます。導入費用は100万円からで、運用コストが月約10万円から。「競合の図面ソフトと比べて価格も優位性を持たせている」(宮季氏)。
約50社が導入済みで年内にも100社、5年後をメドに1000社を目指します。実現へ手を組んだのが丸紅です。5月中旬にレボックスは第三者割当増資で数億円の出資を得ました。丸紅は社員2人も送り込んで事業拡大を支えます。
その1人、徳村大樹最高執行責任者(COO)は「中小企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)支援は新規事業の一つになり得る。丸紅の持つ広い裾野を生かしたい」と語りました。セルボットは受発注それぞれの企業が使うことで業務効率化などの効果がより高まります。まず川上の製造業で普及させ、供給網全体に広げたい考えです。
セルボットの導入拡大へ、生産管理システムを4500社以上に導入した実績のあるテクノア(岐阜市)とも13日に提携しました。半導体関連産業の集積が進む九州や北海道などにも丸紅の営業網を生かし進出します。海外展開もにらみ、9月に米シカゴで開かれる北米最大の工作機械の展示会「IMTS」の参考出展へ調整を進めています。
受発注価格などの情報をビッグデータとして活用すれば過度な安値受注を避けるなどコスト管理も徹底できます。将来は需要予測や従業員の繁閑管理などにも踏み込みたい考えです。収益力の向上も実現するツールとして、「中小製造業の働き方まで変えられないか」。宮季社長はそんな青写真も思い描きます。
丸紅は、5月17日にREVOXが第三者割当増資により発行する株式を引き受けました。理由として、製造業は日本の基幹産業でありながら、労働人口の減少、若年層の製造業離れによる人手不足が社会課題となっており、特に製造業全体の企業数の約99%を占める中小製造業において、業務の効率化が急務となっていることが挙げられます。なかでも中小製造業における見積業務は、専門的な知見を要する業務である一方、件数が多大であることから、効率化の大きなボトルネックになっています。
REVOXの「SellBOT(セルボット)」は、中小製造業及び中小製造業と連携する中堅・大手製造業のDXを推進するプラットフォームとして着実にユーザー企業数が拡大しています。丸紅は、国内外の製造分野における知見とネットワークを活用することで、「SellBOT」の販売拡大と機能拡充を支援し、REVOXの事業運営をサポートしていくとのことです。
丸紅が持つ国内外約5,500社に上る産業用機械の顧客網を通じて拡販を支援し、丸紅の知見も活かして機能拡充などのサポートをしていく方針とのことです。日本の製造業の課題解決に貢献する丸紅に今後も期待しています。
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