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「丸紅や住商、在職×退職者で新事業 専用SNS・共同投資」に注目!

丸紅や住友商事、「在職×退職者」で新事業 専用SNSに現役幹部も - 日本経済新聞 (nikkei.com)

総合商社が中途退職者のアルムナイ(卒業生)と新たな事業を興します。丸紅は部長級を含めた現役社員も参加する専用のSNSを立ち上げました。住友商事は退職者と共同で、新興など中小企業向けファンドをつくり、手薄な領域をカバーします。総合商社の離職率は1〜3%と産業界で低いが、転職先は幅広いです。再雇用狙いだけでなく、新事業の原動力として門戸を開きます。

「XX年に退職したAと申します。いま地域再生事業と公民連携事業を行っております。ご興味のある方は是非、よろしくお願いします」

丸紅の人事部や広報部、営業本部などの現役社員約50人が参加するSNSサイト「M-Alumni」(まるムナイ)には元社員からの告知や写真などが集まっています。

まるムナイは同社が2023年11月に立ち上げた退職者コミュニティーで、すでに登録者は退職者と社員で計260人(16日時点)にのぼります。現役の部長級も参加するネットワークは珍しいです。

1対1のダイレクトメッセージ、ニュースの投稿、招待者のみのトークルームを備えます。商社業界は産業界で離職率が低く、退職者との公式のネットワークづくりには消極的でした。だが試用期間を経て、正式な運用に踏み切りました。

背景には働き手の価値観が多様化し、幅広いスキルアップや人脈を求める傾向の強まりがあります。丸紅の宮下高明人財・組織開発課長は「異なる営業本部で活躍していた人材ともつながりやすい。社内外のオープンコミュニティーを推進し、ビジネスマッチングや再雇用につなげたい」と話します。

製造業や金融などでも主に「再雇用」目的のアルムナイの組織づくりが進みます。一方で商社はエネルギー、食料、金融、通信などあらゆる産業の川下から川上までカバーし、転職先も幅広いです。先端技術や新興とつながる資産として着目します。

商社で最初にアルムナイの交流組織をつくったのは三井物産の出身者です。2011年に自主的にSNSサイトを設け、「元物産会」と名付けました。

「投資先の核融合スタートアップでCOOを探しています」

サイトには人材募集や協業の書き込みが並びます。「商社出身者は互いに何を経験し、何ができるかすぐに分かる」(元物産会の橋本久茂代表理事)ため、新興企業の登用候補の「タレントプール」になりやすいです。

2021年にはOB有志が資金を集め、同会メンバーが興した企業に投資する基金を発足しました。三井物産は社員の退職時、元物産会のチラシを配布。交流会には経営陣も出席し、人材流出ではなく、成長戦略につなげる動きが増えます。

総合商社は学生の就職人気ランキングの上位を占めます。大手5社の2023年3月期の自己都合離職者率は1〜3%で、2022年の全産業平均(約11%)より低いです。それでも若手や中堅を中心に50〜100人前後が離職する年もあります。

組織が商材ごとの縦割りで、挑戦や投資の幅が狭くなりがちです。働き方を改革するが、価値観の多様化は進みます。外に出た社員がアイデアを具現化し、新興企業で活躍する例も増えています。

元社員との絆は総合商社がカバーしきれない新興との協業、出資・買収候補の発掘の芽になります。新興にとっては提携や資金調達、投資の選定で商社のネットワークを活用できます。

9月には商社6社のアルムナイが初めて、合同イベントを開きます。グローバルで人材の争奪は激しいです。元社員とヒト・モノ・カネで「化学反応」を起こしやすくする枠組みづくりが、新事業の創出力を左右します。

今、企業の人材獲得戦略で「アルムナイ」が注目されているそうです。このアルムナイとは卒業生や同窓生を意味し、企業人事では離職者や退職者を指します。中途退社した元社員を即戦力として採用するケースが出始めたほか、ネットワークを維持して優秀な人材の採用に役立てる企業も増えています。

なお、OBやOGは「Old」という昔や過去というイメージがあるのに対して、アルムナイはもともと卒業生を指す言葉であることから、永続的につながり続けるべきとの意識があるとのことです。

現在、多くの企業でアルムナイのコミュニティが増えているように思います。様々な経験を積んだアルムナイとどのような価値を生み出すことができるのか。今後の丸紅に期待しています。

※文中に記載の内容は特定銘柄の売買などの推奨、または価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。