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残業続きのチームから残業がなくなるまでにやったこと

自己紹介

株式会社エイチームコマーステックの鈴木晶介です。
現在は、コーポレートプランニング(いわゆる経営企画)として、予算管理や社内の仕組みづくりを中心に業務を行っています。

過去に記載した記事はこちら↓


はじめに

チームの残業が多く、現場が疲弊して困っている。

その一方で会社からは残業削減の号令がかかっていて、毎月のチームの残業結果を見るのが怖い。。。

そんな悩みを抱えているリーダー、マネージャーの方々。たくさんいらっしゃることと思います。

現状のエイチームコマーステックでは、大きな残業の問題は発生していないものの、時期によっては残業が常態化してしまうチームが存在していたこともありました。

今回は、cyma(※2023/3/1に事業譲渡済み)の仕入れチームの残業体質を改善した時のエピソードをお伝えさせていただこうと思います。


結論。約2ヶ月で残業ゼロ体制に

結果からお伝えさせていただくと、一人あたり30時間ほど残業が発生していたチームで改善を実行したところ、2ヶ月で残業がほぼゼロになりました。

下のグラフは、チームの平均総労働時間の推移です。

2021年5月~7月の2ヶ月の改善期間の前後で、平均労働時間が大きく下がっていることがわかると思います。

チームの平均総労働時間の推移

この結果を得るために何を行ったのか?

今回はこれをお伝えさせていただこうと思います。

が、前提として、実は僕はもともとこのチームの担当マネージャーなどだったわけではありません。

当時は主にcymaの出荷拠点の担当を行っていました。
その出荷拠点では、オペレーション改善・仕組み化・マニュアル化の取り組みを進めていたのですが、その取組みを一定評価していただき、このチームの業務改善の声がかかったというのがキッカケでした。

一つの事例として、参考になればと思います。

まずは「観察」からスタート

残業を減らすにあたり、まずやったことは、「観察」でした。

先程も記載した通り、当時の僕は別の部署の所属だったため、そもそも業務内容を知りませんでした。
また、業務内容を把握できるようなツールや一覧表のようなものもなく、客観的な業務把握が困難な状態でした。

そのため、まずは自分の目で観察することから始めました。

では、観察とは具体的に何をしたのか?

・メンバーの背後からやっていることを文字通り観察させてもらう
・見ていてわからないことがあれば詳細を聞く
・メンバーのチャットやメールのログを追ってみる

上記のような、かなり泥臭さのある動きを行いました。

もともと出荷拠点で現場の動きを毎日観察していた経験もあり、上記のような情報収集方法には抵抗がありませんでしたし、
結局、現場を直接見ることが一番質の良い情報が手に入る方法だと改めて感じました。

結果、下記のような課題が見えてきました。

1.なんの業務で残業が発生しているのかわからない。
2.定時で帰るという意思がそもそも感じられない。
3.チャット、メール、電話をしている時間が多い。

これらの課題に対し、手探りながら同時並行的に手を打っていきました。
以下、それぞれ具体的に何をやってどんな結果が得られたのかを説明します。

課題1.なんの業務で残業が発生しているのかわからない。

やったこと:「とにかく業務を書き出そう!」作戦

ここについては、メンバーにはとにかく各自が持っている業務を書き出してもらうことから開始しました。

具体的には、書き出し用のスプレッドシートを用意し、
そこに業務内容と期限をセットで書き出してもらうことにしました。

また、朝会を毎日行い、朝会の場で業務内容やTODOを一緒に確認することを徹底していきました。

こんなイメージ↓

メンバーのTODO管理表

わかったこと:「意外と業務自体は少ない」

この結果としては、予測と違うことが発生しました。

当初の予測としては、「よほど大量のタスクがリストアップされることになるんだろうなぁー。。」でした。

が、実際にリストアップされた業務を眺めると「あれ?これだけ?」と感じるほど少ないものでした。

何か思い出せていない業務があるのだろうと思い、何日か粘って書き出してもらったり、観察したりしましたが、結果はあまり変わりませんでした。

とはいえこれは不幸中の幸いでした。
リストアップされる業務が少ないということは、残業の要因は業務の量の問題ではないということがわかったためです。

課題2.定時で帰るという意思がそもそも感じられない。

やったこと:「とにかく定時で帰ろう!」作戦

残業改善に着手した当初、チームは残業することが当たり前になっているようでした。

毎日の朝会の中で、退勤予定時間の確認も行っていたのですが、当初のメンバーから発せられる退勤予定時間は残業が前提の時間がほとんどでした。

その状況を見かねてか、当時一緒に改善に着手した別チームのマネージャーからある発案がありました。

それが、業務が途中になってもいいからとにかく定時で帰る。というものでした。

メンバーは不安そうでしたが、いったんやってみることになり、毎日の夕方に行われていた夕会時に、本日の退勤時間を報告するという運用が始まりました。
このタイミングで定時退勤の報告がされなかった場合、マネージャーが業務切り上げor残業の実施を判断しました。

このあたりは、やはりメンバーのみだと勝手に業務を切り上げるのは憚られるため、直属のマネージャーの判断があることが大切だったと思います。

わかったこと:「定時で帰っても大きな問題は発生しない」

やってみた結果、定時で退勤しても大きな問題が発生しないということがわかりました。

よく言われることでもありますが、逆に時間が限られることで、定時までに仕事を切り上げるよう生産性も上がったと感じます。

実際に、開始当初と数週間後で比較すると、夕会の時点でマネージャーが「この業務はやめましょう」と判断する頻度も減りました。

逆の意味で使われることも多いですが、パーキンソンの法則の良い例かなとも思います。

課題3.チャット、メール、電話をしている時間が多い。

やったこと:「役割の整理・フォーマットの作成」

ここで行ったのは、シンプルに役割の明確化・コミュニケーションのフォーマット化でした。

とにかく、コミュニケーションのプロセスに時間がかかっていました。
が、それと同時にわかったことは、ほとんどの連絡が定型的なやり取りだということでした。

それらのやり取りが、毎回フリーフォーマットのチャットや電話・メールで行われていたため、非常に効率の悪い状態になっていました。

また、ログもフリーフォーマットで蓄積されるため、過去のやり取りの検索や改善材料としての機能も果たしていない状況でした。

そのため、役割の明示を含めたフォーマットの作成が効果的だと考え、フォーマット化を進めました。

一例として、下記のようにスプレッドシートに必要情報を集約しました。
これは発注依頼のコミュニケーションのフォーマット化例なのですが、依頼者はスプレッドシートに「担当」や「依頼内容」「詳細」など決まったフォーマットで入力するだけで依頼が完結する形としました。

発注依頼のやり取りのフォーマット化例

上記のようなものを、すべての定型的なコミュニケーションに対して実施しました。

わかったこと:「問題は業務の量ではなく質」

上記の取り組みにより、下記の効果がありました。

  1. 担当者が明確になることで、対応の"お見合い"が発生しない

  2. 決まったフォーマットにすることで、入力のたびに情報を考える手間がなくなる

  3. ログが標準化され、情報分析に活用できる

もちろん、それによりコミュニケーションにかける作業時間もさらに短くなっていきました。

「課題1のわかったこと」にて下記のように書きましたが、ここでも改めて業務自体の量は少ないにも関わらず、時間がかかっていた理由が明確になりました。

わかったこと:「意外と業務自体は少ない」
この結果としては、予測と違うことが発生しました。
当初の予測としては、「よほど大量のタスクがリストアップされることになるんだろうなぁー。。」でした。
が、実際にリストアップされた業務を眺めると「あれ?これだけ?」と感じるほど少ないものでした。

まとめ

残業が常態化してしまうと、残業で業務を回すことが当たり前になってしまい、前提を疑ったり改善を考える余裕がなくなっていることが多いです。

が、ひとたび残業を改善をして振り返ってみると、行ったことは下記の通り非常にシンプルで当たり前のことです。

・とにかく業務を書き出す
・とにかく定時で帰ってみる
・繰り返しの業務はフォーマット化する

残業が発生するたびに上記を実行することも対処として考えておくのと同時に、対策としては、業務を行う際は準備として上記を行ってからスタートできる文化にすることで、より効率の良い組織になるのだとうということを実感しました。

この経験もあることで、現在は組織全体の標準化や業務効率化に取り組んでいるので、他の事例はまたどこかで記載していこうと思います。