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ルールや仕組みを組織に浸透させるための3つのコミュニケーション要素

  • 新しくルールをつくったが、守られたのは最初だけで、半年も立たずにルールが有耶無耶になってしまった。

  • メンバー全員で同じ方向性を向いて走っていきたいのだけど、なかなか思ったように方向がまとまらない。

そんな経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

こんにちは。
株式会社エイチームコマーステックの鈴木晶介です。
現在は、コーポレートプランニング(いわゆる経営企画)として、予算管理や社内の仕組みづくりを中心に業務を行っています。

業務の性質上、組織横断的にルールやツールの導入をすることが多いのですが、幾度となく作ったルールが守られない・使われない、方向がまとまらない といった悩みを抱えてきました。

しかし、ルールや仕組みの組織への浸透を何度か行う中で、少しばかり意識すべきコミュニケーションが見えてきたため、今回はそれをお伝えさせていただければと思います。

最初にまとめ

ルールや仕組みを組織に浸透させるためには、情報発信の質と量のバランスが大切。
これが結論です。

情報発信の質と量を因数分解してみる

情報発信における質と量を因数分解してみると、下記のようになるかなと考えています。

    • ①具体的であること

    • ②正しい情報であること

    • ③タイミングと頻度

それぞれ説明していきます。

①具体的であること

これは、情報発信の中でも、主にルールや仕組みを説明する際に意識していた部分です。

  • 根拠の具体性

  • 行動の具体性

この2点を意識していました。

根拠の具体性とは、主にルールや仕組みを導入する理由を説明する際の説明の方法です。

「事実と解釈を分ける」とはよく言われることですが、ある課題をできるだけ定量的に捉えた上で、説明することを心がけていました。

例えば、slackによるコミュニケーションの効率化を図る仕組み(ルール)を導入した際には、投稿数の変化、投稿のカテゴライズを数値的に算出した上で全体に課題感や効果を説明しました。

slack投稿数計測
slack投稿カテゴライズ分析

次に、後者の行動の具体性
こちらは、組織のメンバー各自が自分の行うべき行動を明確にイメージできるかどうか。ということです。

5W1Hを明確にすると言い換えてもいいかもしれません。

5W1Hを口頭で説明するだけでなく、ドキュメントやツール内に落とし込み、常に確認できる場所を設けることで、各自が行動をイメージできる状態にしています。

例えば、現在のエイチームコマーステックではプロジェクトの進め方の標準化を進めています。

その中では、各プロジェクトのプロセスにおいて、誰がどのような情報をどこの場で決済or共有するのか がわかるような一覧表を設けて、全体に共有しています。

一部のイメージ


②正しい情報であること

ここで言う「正しい」とは、経営の方針と合っているかどうか ということです。

繰り返しになりますが、僕の役割として、組織横断でエイチームコマーステック全社に影響するルールや仕組みの整備を行っています。

これは内容に不備があった場合、小さな範囲でルールや仕組みを導入する際に比べ、手戻りが大きく発生することを意味しています。

そのため、事前にキーパーソン(主に上司や社長)と方向性をすり合わせ、後の手戻りが発生しにくい状態を作ることを意識しています。

エイチームコマーステックの性質上、新規性のある挑戦が受け入れられやすい土壌はあるものの、不備があった場合はやはりスピード感に影響するため、地味ですが大切なポイントです。

③タイミングや頻度

伝えるタイミングや頻度も非常に重要な要素です。

エビングハウスの忘却曲線というものがあります。

人間は、一度記憶した内容でも、時間が経てばすぐに忘れてしまいます。

※厳密には「忘れやすさを示す」ものではなく、「忘れた知識を再び記憶しようとした場合の節約率を示す」ものであるそうなのですが、ここでは置いておきます。

出典:Manabrain

繰り返し学習における記憶の定着を語る文脈でもよく使われるものでありますが、組織におけるルールや仕組みの定着(学習)においても、繰り返しの説明は効果的だと思っています。

この理論に則り、組織へのルール導入の際は、多少くどくなることも承知で、繰り返しの発信を心がけていました。

具体的には、下記のようなタイミングでそれぞれ同じルールや仕組みについての説明を行いました。

  • 頭出し:ある程度方向性が固まってきた段階での軽い共有

  • 直前の説明:内容の詳細が決まり、これからルールや仕組みを実行する直前の詳細説明

  • 振り返り:ルールや仕組みを導入して一定期間経ったあとに、その効果や利用の状況の説明

最後はバランス

以上のように、下記の3つを意識したコミュニケーションをとることで、ルールや仕組みの定着率を高めることができると感じております。


①具体的であること
②正しい情報であること


③タイミングと頻度

が、もちろんすべての状況に置いてこれらを完璧にこなすことができているわけでもなく、その必要もないかなと思っていたりもします。

組織メンバーの理解度、ルールや仕組みの内容の違い、様々な変数があり状況が異なります。
そのため、結局最後は質と量を適度にバランスをとっていくことがきっと大切。

どちらにしろ、その組織のメンバーにルールや仕組みが正しく理解され、運用され、成果につながることがゴールなので、その本質を僕自身忘れないようにしたいと思います!