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モール型ECサイトとは?メリットとデメリット、代表的なモールを徹底解説!

オンラインショップを始める際、自社ECを構築しますか?
それともモール型ECに登録しますか?
どちらが適しているかは、事業の目標や戦略、リソースの有無によっても異なるため、慎重な検討と自社のニーズに合った選択が重要です。
この記事では、自社ECとモール型ECの基本的な違いと、それぞれのメリットやデメリットについて詳しく解説します。


この記事でわかること

  • 自社ECとモール型ECの違い

  • モール型ECのメリット・デメリット

  • マーケットプレイス型とテナント型の特徴

こんな方におすすめ

  • オンラインショップの開店を検討している

  • モール型ECについて詳しく知りたい

  • 国内3大モールの特色がわからない


1.モール型ECとは?

「モール型EC」とは、インターネット上でショッピングモールのように複数のショップが集まっているECサイトを指します。
つまり、1つのウェブサイト上に複数の店舗や企業が出店し、それぞれが独自の商品を販売する形態のことです。
代表的なモール型ECには、「Amazon」「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」「ZOZOTOWN」「メルカリShops」などがあります。
モール型ECでは、消費者は1つのウェブサイトで複数の店舗の商品を比較検討することができ、また、1つの買い物かごで複数の店舗の商品をまとめて購入することもできるため、ユーザーにとって利点が多いといえるでしょう。
また、モール型ECには「マーケットプレイス型」と「テナント型」があります。それぞれの特徴については後半で詳しく解説します。

1-1.自社ECとモール型ECの違い

「自社EC」とは、企業が自社のウェブサイト上で商品を販売する形態のECサイトです。
モール型ECと違い、販売手数料などを支払う必要がないため利益率が高く、独自ドメインを設定してデザインやシステムを自社のブランドイメージ通りに作ることができます。
また、自社で商品の仕入れと販売を行うため、商品ラインナップや販売価格などを自由に設定することができるのも特徴です。
さらに、顧客情報を自社で管理するため、顧客データを活用したマーケティングやカスタマーサポートなども行いやすいという特徴があります。
ただし、自社ECにはサイトの構築や維持管理に多大なコストがかかる場合があり、導入には慎重な検討が必要です。
初期費用が高く、ショップページの構築に時間がかかるため、サイトの運営には専門的な知識や経験と、多くのリソースが割かれるでしょう。
また、自社ECでは、特に開店初期にはモール型ECのような集客力を持たないため、サイトのSEO対策やコンテンツマーケティング、広告運用など、Webマーケティングの知識が必要になり、集客に時間や費用がかかります。
自社にWebに精通している社員がいない場合や、初めてオンラインショップを開こうとしている場合は、いきなり自社ECを構築するよりも、まずはモール型ECでECサイト運営に慣れていくことをおすすめします。


2.モール型ECの3つのメリット

モール型ECには高い知名度があり、自社ECとは比較にならないほどの集客力を持ちます。
また、プラットフォームが整っているため出店がしやすい、サポート体制が整っているといった点も大きな利点です。
それぞれについて詳しく解説します。

2-1. 大きな集客力

モール型ECの最大のメリットは、その大きな集客力です。
多数のユーザーが集まっているモール型ECに出店することで、膨大なアクセス数やネームバリューを活用することができます。

①大きなユーザーベース
大手モール型ECでは、月間利用者数が数百万人以上に達することもあります。
したがって、モール型ECに出店することで、自社の商品やブランドを多くのユーザーにアピールする機会が広がります。
既存の顧客層にアクセスしやすくなるため、効果的な販促活動やブランド認知の向上が期待でき、これにより、新規顧客の獲得や売上拡大につなげることができるでしょう。

②モールの信頼性と知名度
マイナーなブランドから商品を購入する際、有名なモール型ECで購入すること自体がユーザーに安心感を与えます。
また、モールサイト内での検索やランキングに掲載されることで、まだあまり知られていない商品でも露出が高まります。
結果、より多くのユーザーに商品をアピールすることができ、新規顧客の獲得やブランドの認知度向上にとって有益となります。

③検索エンジンの優位性
大手モール型ECは、検索エンジンの上位にランキングされやすい傾向があります。
これにより、ユーザーが特定の商品やカテゴリを検索した際に、モール型EC内のショップが表示される確率が高まります。
つまり、モール型ECに出店したショップは、多くのユーザーにアクセスされやすくなり、集客効果が期待できます。

④モールサイトのプロモーション活動
モール型ECでは、モールサイトが広告運用やWebマーケティングにおいて多大な投資を行っているため、その恩恵を受けることができます。
具体的には、定期的なキャンペーンやセールなどの実施です。
これにより、モール全体の集客効果を享受し、自社の商品が注目を浴びる機会が増えることになります。
このような要素により、モール型ECでは自社ECに比べ、短期間で効率的に顧客を集めることができます。

2-2. 自社ECと比べた出店のしやすさ

自社ECを構築するためには、ウェブサイトの設計やデザインから、セキュリティ対策、決済システムの導入など、多岐にわたる技術的な要件があります。
しかし、モール型ECでは既に構築されたプラットフォームを提供しているため、自社でECサイトを一から作る手間や費用を省くことができます。
さらに、多くのモール型ECではショップページ用のテンプレートが提供されています。このテンプレートを使用することで、独自のデザインやレイアウトの詳細を考える必要がなくなります。
商品情報や画像を入力するだけで、比較的簡単に出店することができるという点は、モール型ECに出店する際の大きなメリットでしょう。

2-3. モールの充実したサポート体制

出店者へのサポートが充実しているモール型ECも多く、中には専門のコンサルタントが運営や広告に関する相談に乗ってくれるサービスを提供しているモールもあります。
こうしたサポートを受けることで、出店者は自社のECビジネスをより効果的に運営することができるようになるでしょう。
さらに、一部のモールではアクセス解析機能を提供しており、出店者はリアルタイムでサイトのトラフィックやコンバージョン率などのデータを把握することもできます。

3.モール型ECの3つのデメリット

多くのメリットがあるモール型ECへの出店ですが、そのプラットフォームの特性ゆえに欠点も存在します。

3-1. オリジナリティが出しづらい

モール型ECでは、出店が容易な反面、ショップページやデザインが統一されているため、個々のショップが独自のデザインやブランディングを表現することが難しい場合があります。
モール内の多数のショップが同じようなレイアウトやスタイルを持っているため、ユーザーから見ると各ショップを見分けづらくなってしまいがちです。
また、商品検索やカテゴリ表示などの一覧表示では、他店と同等の優先順位で掲載されるため、ショップ単体で顧客にアピールする機会が限られてしまいがちです。
そのため、ブランドやショップの独自性を十分に伝えることが難しくなり、顧客がショップを覚えてリピーターとなる可能性が下がってしまいます。
総じて言えば、モール型ECでは個々のショップが独自性を発揮しにくく、顧客に強く印象づけることが難しいというデメリットがあると言えます。

3-2. 差別化が難しいことによる価格競争

先程も述べたように、モール型ECでは多くのショップが同じプラットフォーム上で商品を販売するため、独自性や個性の出し方が限定されてしまいます。
商品やサービスの特徴や付加価値を他店と明確に差別化することが困難であり、その結果、競合他社との価格競争が頻繁に発生しやすくなってしまいます。
ユーザーは商品の価格を比較しやすい環境にあり、同じ商品をより安く提供するショップに注目する傾向があります。
そのため、ショップ側は価格を下げることでユーザーの関心を引かなくてはなりません。
したがって、販売商品のジャンルにもよりますが、価格競争に巻き込まれやすいと言えるでしょう。
他店との差別化が難しいため、商品やブランドの独自性を醸成する努力や、他の要素(品質、サービス、顧客体験など)に注力する必要があります。
価格だけでなく他の付加価値を提供することで顧客の選択肢を広げ、価格競争に依存せずに競争力を維持することが重要です。

3-3. モール運用の手数料

モール型ECでは、月額利用料以外にも、売上に応じた手数料が発生する場合があります。
この手数料は売上に比例して増加するケースが多いため、売上が大きいほど手数料も増えていきます。
その結果、ショップの利益率が低下し、収益性が悪化する可能性があるでしょう。
手数料の負担や収益性のバランスを考慮し、モールを選ぶ際には慎重な判断が求められます。
経営戦略や商品の特性に応じて、最適なモールを選択することが重要です。

4.3つの代表的なモール型ECサイト

国内だけでも数多くのECモールが存在しますが、例としてここでは国内3大モールといわれる「Amazon」「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」の3つを、それぞれの種類別に紹介します。

4-1. マーケットプレイス型

「マーケットプレイス型ECモール」とは、複数の企業が1つのモールプラットフォーム上で商品単位で出品するタイプのモール型ECサイトです。
ウェブ上の大きな仮想スーパーマーケットに出品者がそれぞれ商品を並べている状況をイメージするとわかりやすいかもしれません。
代表的なマーケットプレイス型には「Amazon」や「ZOZOTOWN」などがあります。

4-2. マーケットプレイス型とは?

マーケットプレイス型では、各企業は自分たちの商品データをモール側に提供し、モール側が商品の出品や販売に関する業務を担当します。
ユーザーが商品を購入すると、その購入データが企業に送信され、発送作業を行うという流れです。
このため、企業はあくまで商品を出品するだけであり、店舗という概念が薄くなりがちです。
また、モール側がサイトのデザインや運営をコントロールするため、企業側で自由にできる領域が限られます。
しかしながら、商品の出品や販売時の配送に集中することができるため、ECサイトの運用の負担が軽減されるともいえるでしょう。

①Amazon
マーケットプレイス型の代表的な例として挙げられるのが「Amazon」であり、多くの企業や個人がここで商品を出品しています。
世界中に数億人以上のユーザーを抱えており、出品者はその幅広い顧客層にリーチすることが可能です。
ユーザーは「Amazon Prime(月額プラン500円、年間プラン4,900円)」に登録すると、お届け日時指定便、お急ぎ便、当日お急ぎ便が無料になり、送料を気にせず商品を購入できるのが大きな利点となっています。
その会員数は、2021年のデータによると約5120万人で、モール全体の売上は約2.5兆円と推測され、現在も増加し続けているようです。
国内のユーザーには比較的男性が多いとされ、電気製品ジャンルが充実していると言われています。
また、定期的に「タイムセール祭り」や、「サイバーマンデー」「プライムデー」といった大型セールを行っているほか、プライム会員限定のポイントアップキャンペーンなども開催しており、集客に向けた精力的な取り組みを行っているのも特徴です。
キーワード広告やディスプレイ広告などのプロモーションツールも豊富に提供されており、出品者はこれを活用することで商品の露出や販促活動を効果的に行うことができます。
さらに、Amazonでは独自の物流ネットワークである「FBA(Fulfillment By Amazon)」を提供しており、利用料を払うことでAmazonが商品の保管・梱包・出荷・カスタマーサポートなどを代行してくれます。
Amazonの出品プランは、「大口出品」と「小口出品」の2つです。

大口出品プランは月額登録料4,900円がかかりますが基本成約料は無料であるのに対し、小口出品プランは月額登録料は無料ですが商品の販売ごとに基本成約料が100円かかります。毎月の出品数が49点以下で、広告や出品用ツールを使用する予定がない場合は、小口出品プランがおすすめです。毎月50点以上販売する、また広告を出したり詳細な出品用ツールを使用したいという場合は、大口出品プランの方がよいでしょう。

4-3. テナント型

「テナント型ECモール」では、オンライン上の仮想商店街に、複数の企業や個人が独立した店舗スペース(テナント)を借りて自社の商品やサービスを展示し、顧客に向けて販売を行います。
代表的なテナント型は「楽天市場」や「Yahoo!ショッピング」などです。

4-4.テナント型とは?

テナント型ECモールでは、独立した店舗としてモールプラットフォーム内に出店をします。
各店舗は独自のショップイメージを持ちながら商品の管理や発送を担当しますが、広告やサーバーの維持などの業務はモール運営者がサポートし、集客や決済などはプラットフォームのサービスを活用して効率的に行うことができます。
テナント型ECモールでは各店舗が個別の特徴をアピールすることで、リピート率の向上も期待でき、またある程度サイトデザインに自由度があるため、自社の個性を売り場に反映させたいという方にはおすすめの形態です。
ただし、マーケットプレイス型と異なり、商品の登録や受注管理、売上の集計などは自分たちで行う必要があります。

②楽天市場
楽天市場は、楽天グループ株式会社が1997年に開設したオンラインモールです。
ユーザーにとって最大の魅力は、楽天グループが提供するさまざまなサービス(クレジットカード、銀行、電気、ガス、スマホなど)を利用することで楽天ポイントを貯められる点でしょう。
このポイント制度により、楽天は特に女性ユーザーの囲い込みに成功しており、コスメ・健康食品ジャンルに強いと言われています。
テナント型の楽天市場では、商品だけでなく店舗自体を出店することで、ユーザーがショップを認識しやすい環境を提供しています。
また、幅広い広告メニューを揃え、店舗から顧客へメールマガジンを送ることができるのも大きな特徴です。
楽天市場では1つの店舗に必ず1人のECコンサルタントがつき、サポートを担当するため、運用施策や広告に関する相談などができるのも魅力です。
さらに、楽天大学という出店店舗向けにECノウハウを提供するサービスもあり、ここでは初心者からでもネットショップならではの販売方法を学ぶことができます。
楽天市場では、従来はショップごとに商品を管理する方法が主流でしたが、最近では「RSL(楽天スーパーロジスティクス)」を利用する店舗も増加しているようです。
RSLは楽天市場出店店舗向けの物流アウトソーシングサービスで、有料ではありますが、楽天が店舗に代わって商品の入荷、保管、配送までを一括して行ってくれるうえ、365日稼働し、あす楽などのオプションにも対応しています。
楽天市場の出店プランは1年契約で、現在「がんばれ!プラン」「スタンダードプラン」「メガショッププラン」の3つがありますが、いずれも法人・個人事業主のみが利用できるという点には注意してください。

さらに、有料で以下のオプションサービスを利用することもできます。

  • R-SNS(月額3,000円)

  • R-Mail(1通あたり1円(税別))

③Yahoo!ショッピング
Yahoo!ショッピングは、Yahoo! JAPANが提供するテナント型のECモールです。
出店は無料であり、初期費用を抑えて始めることができる点に最大の魅力があるといえるでしょう。
Yahoo!ショッピングのユーザーには比較的若年層が多く、Yahoo!かんたん決済やPayPay連携などのスムーズな決済手段が用意されており、ユーザーが利用しやすい環境が整えられています。
また、PayPayカードの利用でポイント還元率がアップし、「PayPayモール」や「LOHACO by ASKUL」「一休.com」などでもポイントが使える点も魅力です。
現在ではヤマト運輸と提携し、入庫から受注・梱包・発送まで行うフルフィルメントサービスも提供しています。
ただし、Yahoo!ショッピングには膨大な数の出店店舗が存在するため、出店する際には自店舗が埋もれてしまわないように工夫が必要となります。
マーケティングやプロモーション活動などを通じて差別化を図り、自店舗の魅力をアピールすることが重要です。
Yahoo!ショッピングの出店は無料ですが、ポイント原資の負担など一部の費用は発生します。
また、成約ごとに手数料がかかる点にも注意が必要です。

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