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シスコン

僕には、双子の妹がいる。
生まれたときから、いつも一緒。

僕たちは、赤ん坊の頃から「かわいいね」って、よく言われた。

お父さんやお母さんはもちろん、親戚のおじさんや、おばさん。
近所の人たちも「かわいいね」って。

僕も妹のことが、かわいくて仕方ないから、そう言われると、嬉しくてたまらない。
兄として、妹のかわいさについて語りまくっちゃうのも、しょうがないよね?

でも僕の話が長いせいか、気がつくとみんな変な顔して、いなくなっちゃうんだ。

小学生になったとき。
妹から「外で話しかけるのやめて」と、言われてしまった。

僕の溺愛ぶりに、呆れたらしい。
「シスコンって言われて、友だちできないよ!」だって。

せっかく小学校でも、妹のかわいさを布教してまわろうと思ったのに。
残念だなぁ。

妹の言いつけを、守った結果。
幼稚園の頃が嘘のように、小中高と友だちが沢山できた。

高校2年生になると、彼女もできた。
同じクラスのコで、好きな作家さんが似ていて、よく本の話をしていたのが、きっかけ。

今日は学校帰りに、僕のオススメ本を貸すため、彼女を自宅へ招いた。
玄関のドアを開け、どこか緊張している彼女を促す。

「そうだ!紹介するよ。僕の妹」

リラックスしてもらえればと思い、隣に立つ妹を紹介した。
妹が驚いて、僕を止めようとする。

「…って言っても、いつも一緒にいるから、もう知ってるよね?」

あれだけいつも一緒にいるのに、妹と全然話さないから皆、不思議なんじゃないかと思うんだ。
外で話しかけないでって、言われてるから仕方ないけど。

自宅でなら、彼女にも正式に紹介できると思ったのに。
我が妹君は、なにをそんなに照れているのか?

妹をなだめていると、彼女の顔色がみるみる青ざめていく。
そしてそのまま、何も言わずに玄関を飛び出して行ってしまった。

なんだろう?
急に体調が悪くなっちゃったのかな?
大丈夫かな、彼女。
心配だなぁ。

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