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今年の漢字はなんですか

美容室で髪を切ってもらっているとき、美容師のお兄さんにふと「今年を漢字で表すとなんですか?」と聞かれ、瞬発的に「"苦労"ですかね…」と答えたのは2日前のことだ。

「苦労」の二文字が口をついて出たのには我ながら驚いたし、疲れてますアピールをするのは嫌いなのだが、嘘をついたわけではない。今年はやはり苦労の年だった。少なくとも僕にとっては。

かなり無理をして頑張って東京の某国立大学の大学院に入り、それだけでもかなり苦労したのだったが、入学してからも苦労の連続だった。授業のレベルは高く、同期もとんでもない奴ばかり。授業準備に追われる毎日で、気が休まった日はほとんどなかった。しかもオンライン授業が中心だから、人とのふれあいもほぼない。人と話さないのはやはりきつい。そんなこんなで、かなりの頻度でメンタルブレイクを起こしかけた。というか、もしかしたら起こしていた。

恋人が遠方に転勤になったのもメンタルブレイクに拍車をかけた。会えないぶん勉強に時間を充てられたのはよかったと言えばよかったが、そうは言っても遠距離恋愛は面倒だ。なにが面倒かと具体的に聞かれれば答えに窮するが、ともかく遠距離恋愛は精神的に参るものだ。前の恋人とも遠距離になって結局別れたことを時々思い出してはしんどくなった。なぜ再度同じようなシチュエーションを経験しなければいけないのかと怒ってみても、怒りをぶつけるところがない。遠距離恋愛の神様に文句のひとつでも言ってやりたいが、おそらく神様のほうも文句を言われまくっているだろうから、まあ今回は見逃してやることにした。実際は、今回"は"というか今回"も"だが。

忙しさというのは不思議なもので、頼んでもないのに突発的にやってきては去っていく。僕もここのところ忙しい日々が集中的に続いていて、一段落しかけたところで気が抜けたのか体調を崩した。「苦労」なんて答えたのはそのせいでもあったと思う。深夜にランジャタイの漫才を見て大笑いするくらいには疲れていた。僕は比較的、自分が疲れていることに無頓着というか、倒れかけてようやく「疲れてるな」と気づくことが多々あるので、そういう意味でも今回はかなり参っていたのだと思う。

疲れてますアピールが嫌いなのは、おそらく自分が疲れているということをあまり認知できていないからなのだろう。僕は0か100かで疲労を考えているフシがある。「ギリいける」は僕にとってはまだ「疲れていない」の範疇なのだ。が、本当はそんなことはなく、全然いけないことがほとんどだ。それと、他人の「ギリいける」はだいたい「無理です」という意味だ。それは最近知った。

昔、身体が重いのに学校に行かされ、授業の途中で保健室に運ばれ、蓋を開ければインフルエンザだったということがあった。それも2回も。母親は何を思って学校に行かせたのだろう。僕のこうした傾向は絶対に母親のせいだと強く主張しているものの、僕も親になったら同じことをするのではないかと思うと少し怖い。

話がまとまらない。疲れてますアピールが嫌いだと言いつつ疲れてる感が満載の文章になってしまった。そうそう、今年も終わりに近付き、師が走るくらいには忙しい日々をきっとみなさんも送られていることだろうから、体調には気をつけましょうねということが言いたかったのだ。「ギリいける」なんて思う前に、きちんと休んで、無理せず頑張っていきましょう、と。

締まらないが、最後にひとつだけ。「みなさんの今年の漢字はなんですか?」と聞かれて、みなさんが「苦労」なんて答えないような一年であったことを切に願います。来年はいい年でありますように!

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