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次世代キャリアの観点 #2『日本の危機的状況をどう見るか』

物騒なタイトルをつけたが、あくまでキャリア形成の観点だ。
もちろん、政治、医療、教育など様々な切り口があるが、専門外なので触れない。
前回世界のイノベーティブな企業について触れたが、日本の構造的な問題についてざっとポイントだけ見ていきたい。題材は経済成長率、GDP、人口構造あたりにフォーカスしてみる。

1)30年間の日本の経済成長

これは様々な文献や公開されているデータをもとに簡単にまとめたものだ。①名目GDPは、1989年 421兆円に対し、2019年 557兆円で 1.3倍。
②株価は、1989年末 590兆円に対し、2019年 648兆円で 1.1倍。一方、アメリカは9倍増えている。
③世界経済に占める日本経済のウエイトで見ると、日本は、1989年 15.3%に対し、2018年 5.9%。アメリカは、1989年 28.3%に対し、2018年 23.3%。日本の落ち込みが特に大きいことがわかる。
④国際競争力ランキングでは、1989年~4年 1位だったが、2002年では30位、2019年版でも30位に下がった。

つまり、この30年間、全く成長していない。

もともといいポジションにはいる。しかし実際は過去に築いたもので食いつないでいる状態なのだ。
政策の問題もあると思うが、一番危機感を持つべきは破壊的イノベーションにおいて世界の動きに遅れていること。

ある分野では極めて高度な技術を持っているがマーケティングが弱く市場で活かしきれないといわれている。
過去日本はVHSやDVD、スマホなど技術革新で世界トップだったが、実際のビジネスでは、負けてしまう。

これは、ガラパゴス化という。

2)ガラパゴス問題

日本特有の技術に固執するあまり使う側のポジションに立てていないということだ。
この30年、日本企業は様々なガラパゴスを作ってきた。
そしていつのまにか、アジアや中国の勢いに飲まれてしまった。

もうひとつまとめたものがある。
これはGDPの予測である。

注目すべきは成長率。
今、中国がものすごい勢いで成長している。上記の図でもあるように、30年で30倍も上昇した。そしてこの先は、インドやベトナムなど中東が盛り上がってくる。
日本の成長率予測は残念ながら今のところ32位である。

3)成長スピード

GDPを2倍増やすのにかかった期間を調べた。

19世紀のイギリスは、GDPを2倍増やすのに155年/人口約900万人かかった。人口数千万人のアメリカやドイツはGDPを2倍増やすのに30~60年。そして、中国やインドはいまだかつてないスピードと規模でGDPの倍増を実現している。実は、要した時間は10分の1、人口は100倍だといわれている。

2030年までに中国やインドを含むアジアが世界をリードするだろう。
ここで言いたいことは、とにかく変化のスピードがいちぢるしく速い、ということだ。
世界は今までにないくらい加速度的に進んでいる。

4)シリコンバレーに続く次なる都市

正解はイスラエルである。

イスラエルはわずか人口800万程度の小さな国(東京都の人口は1300万)だがナスダックに上場する企業の数がアメリカの次に多い。イスラエル発のスタートアップベンチャーに多くの大企業が積極的に買収している。

なぜイスラエルなのか?

それは彼らが必要に迫られているから、という説がある。

中東の政治的な緊張関係。周辺国との争い。政府・民間・大学・軍など全員が協力して収入を確保し、アメリカをはじめとする諸外国への影響力を保ち続けなければ国として危機に陥る。だから、エコシステムを作り上げる必要があるというのだ。

イスラエルはユダヤ人が多いが、ノーベル賞受賞者の全体の20%がユダヤ人だそうだ。迫害から生き延びるための知恵という説もある。

5)世界との比較で見た日本の問題まとめ
(イノベーションを伴う成長の観点で)

①他国からの圧力がない
②国家や国民単位での価値観
③単一民族・単一言語
④メイドインジャパンのブランド

ガラパゴス化+必要性の欠如

ということになりそうだ。

6)日本人として誇りをもって闘う

一方、忘れていけないのが、日本の労働人口構造の問題だ。

日本は2019年9月時点で65歳以上の割合が28%、45年後には38.4%。国民の2.6人に1人が65歳以上になる。

そして今日本の人口は1億2,800万人。2045~55年には1億を切るといわれている。

1人1人が創造性を高め生産性を上げなければ世界と闘えない。

現実を悲観的にとらえるか、チャンスととらえるかは自分次第。
その時代時代で課題はつねに変わる。
この現状、そして予測される未来は、ある意味宿命だ。
若い世代にはこの状況をチャンスととらえて、いきいきと働くための武器をぜひ見につけてほしい。

・・・続く。

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