子どもの成長を支える制度
こんなニュースを目にしました。
そもそも「こども庁」は、縦割り打破の組織ではなく、今(とこれから)の社会に合わせて、子どもの成長を社会全体でしっかり支えていくための制度を作る組織、ではないでしょうか?
そこで今回は、私の考える、「子ども成長を支える制度(≒教育制度)」をつらつらと書き連ねてみたいと思います。
まず、今の教育制度が作られたのは、昭和の戦後の時期。これから戦後復興し、経済成長し、欧米諸国に追いつけ追い越せという社会情勢の中で作られたものです。その制度を未だに使っていることを、私たちは自覚すべきでしょう。今の50代、40代、30代の皆さんが、当時感じていた「学校って、何かおかしくない?」という感覚。あれ、いまだに教育界に残っているんです。
一方、社会は大きく変化しました。核家族化に伴う家族構成の変化。交通網の発達や企業の集中による、都市部への人口集中。地域・社会のつながりの希薄化。ICT社会による人間関係の作り方の変化。超少子高齢化。価値観の多様化。日本の産業構造の変化等。昭和(戦後)の時代と比べて、社会はこれだけ変化したのです。そして、これからも変化し続けるでしょう。
社会がこれだけ変化しても、教育制度は戦後設計のまま(やり方の多少の変化はありましたが、根本的な見直しは一度もされていない)です。これでは、ひずみが生じるのは当然といえるでしょう。例えば、子どものいじめ問題、自殺問題、教員の長時間労働問題等。極論、旧態依然とした制度が、子どもはもちろん、保護者や教員をも追い詰めている、とも言えるでしょう。
さて、前置きが長くなりました。これらを踏まえて、「子どもの成長を支える新しい制度」を考えてみたいと思います。私の中で、考えが文章化できるほどまとまっていませんので、箇条書きになることをご了承ください。
【軸となる考え】
・中心に「子ども」を据え、その成長を第一に考えた新しい制度を考えたいと思います。その際、現行の教育制度の良い点は良いとして、悪い点は悪いとして評価し、参考にしていきます。
・「子どもの成長」を支える存在として、「家族・保護者」「教育機関・教員」「地域・社会」の三者を位置付け、相互補完的に「子どもの成長」を支え続ける社会の「新しい共通認識」を作るきっかけを考えます。
・これまでの「教育機関」にとらわれず、子どもの成長に必要と思われる機関(例えば調査機関・相談機関・保護機関)を俯瞰しながら考えます。
・「子どもの成長」にはコストがかかることや、短期的な利益は生み出さないことを前提として、長期的視野に立って子どもが幸せに成長できることと、社会を維持・発展させる人材を育成することを意識して考えます。
【家庭・保護者】
・人間形成の一番の軸は、家庭や保護者であると考えます。
・家庭や保護者が、子どものために全ての時間を割けるわけではない(仕事などの社会活動がある)ので、そこを相互補完的に教育機関等、社会全体で支えましょう。
・家族(保護者)であることは、子どもにとって大きな影響力があります。子どもに向けた言動はもちろん、あらゆる場面が子どもの成長に影響を与えていると自覚することが大事です。
【教育機関・教員】
・子どもを長時間預かる訳なので、まずは子どもの安全や安心を守ることが第一です。今回のコロナで学んだ、感染症に対する弱さ等の弱点を踏まえて、これまでの教育制度の良さを残しつつも、大幅な制度設計の見直しが必要です。
・保育所や幼稚園、学校といった枠組みにとらわれず、子どもに関わる専門職がいる機関を、全て教育機関ととらえる方向で検討してみてはどうでしょう。例えば児相や子ども向けの通信教育なども、公に認められた「教育機関」として位置付けます。それによって、子どもの成長や個性に合わせた、様々な選択肢が保証されると思います。
・多様化した社会に合わせて、子どもの個性に応じた、柔軟な対応が出来る環境を整えましょう。
・今の大人の当たり前を変えましょう。35~40人学級から、20人学級を目指しましょう。場合によっては、学級という集団がない学校(?)もあって良いかもしれません。
・「子どもたちに個別で最適な教育を」という国の方針が、絵に描いた餅にならないように、まず物理的な環境を整えましょう。
・業務内容に応じた職員(教える・相談する・支援する・運営する・調査報告する・会計管理する等、それぞれに専門性を持った職員が必要です。今は、全てを先生がやっています。)を雇用しましょう。
・学校の主役は、先生ではありません。子ども(児童生徒)が主役です。でも、主役は人間的に(特に社会性の部分で)未熟です。それを、たくさんの脇役で支えられる環境を作りましょう。
【地域・社会】
・地域や社会の繋がりが薄くなったと言われるようになって、地域・社会の力はすっかり影が薄くなりました。一方で、インターネットの発達やSNSの普及に伴って、物理的な距離とは関係のない、「新しい地域・社会」が生まれています。この「新しい地域・社会」をどう意識して活用していくか、まずは大人が理解する必要があります。
・旧来の「地域・社会」も、未だにその機能を失ってはいません。繋がりの濃い薄いに関わらず、物理的に近いという利点をいかして、子どもと積極的に関わることをためらわないようにしましょう。日々繰り返す挨拶ひとつ、声かけひとつで、つながりは力を取り戻します。
【その他機関】
・子どもの成長は多面的です。学問に関することは、いわゆる「教育機関」で支えます。しかし、社会性に関することは、いまの学校のままでは難しいでしょう(改善案は提示済み)。また、本来は教育機関以外も含めた、社会全体で支える形が理想的です。
・スポーツや文化活動も、子どもの成長には重要です。もっといえば、その素地となる「遊びの場」から、しっかり社会で支えていきたいものです。昭和の時代は、家庭や地域でみていたものが、社会の変化にともなって難しくなっています。そうであれば、しっかりとした制度を作ってみてはどうでしょう。
・例えば、地域スポーツ・文化活動クラブが、入り口のレクリエーションから競技、文化活動の専門的な育成まで、一貫して行える環境ができたらどうでしょう。素人顧問が教える部活動より、子どもの可能性を伸ばせると思いませんか。
・子どもの成長には、様々なトラブルが起きます。子ども同士のトラブルもあれば、保護者と子、保護者と保護者、専門家と保護者のトラブルもあります。中には、いわゆる刑法に触れるようなトラブルも報道されています。それによって、残念ながら命が失われてしまうことまであります。こうした状況から、子どもを(場合によっては保護者も)救える社会制度作りは、急務だと考えます。
・いじめ、虐待、ケンカ等。子どものやることだから、家庭の問題だから、と言わずに、しっかりと社会制度の中で支援していくことが重要です。日本は法治国家ですので、法執行機関はためらわずに介入してもらいたいと思います。その罪の重さを法に照らして学ぶことは、社会で生きていく上で不可欠な資質です。ただ、その罰は、子どもの更生の可能性を考慮しても良いでしょう。
・外国では、法執行機関の「暴力」が問題になっています。法執行機関が子どもの成長にともなうトラブルに介入する際は、細心の注意が必要です。子どもに関わる大人全ての一部に、法執行機関もある、という位置付けの共通理解が必要です。
・前述の「子どもに関わる大人全て」とは、家庭・保護者、教育機関・教員、地域・社会、その他の機関の全ての大人を指します。全ての大人が、同じ距離で子どもと関わることを、これからの子どもの成長の軸としましょう。
ここまでお読みいただいた読者の皆様、長文駄文にお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
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