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「第4回 メディアスタディーズ・フォーラム」に参加して

今回のテーマは「今のゼミはこれでいいのだろうか:変化する大学、メディア環境のなかでの学びの共同体のゆくえ」。

飯田豊先生(立命館大学)と水越伸先生(関西大学)のご進行のもと、伊藤高史先生(同志社大学)、畑仲哲雄先生(龍谷大学)、劉雪雁先生(関西大学)のお三方がそれぞれのゼミの現状や課題について報告してくださいました。

簡単ではありますが、感想をまとめます。

ゼミ運営の課題

ゼミによってカラーがあり、学び方は多種多様であると改めて感じた一方で、先生方はゼミ(院は除く)について同じような課題を抱えていらっしゃるように思いました。

・モチベーションの高い学生が集まるとは限らない

・ゼミ以外の活動との兼ね合い(学生が忙しすぎる問題)

・学術的な学習?(輪読や文献研究など)と実践・実習(企業や行政と連携したプロジェクトや映像・ラジオの作成など)のバランス

・正確な日本語を書けない学生が多く、卒論指導が大変
→しかし、だからこそ卒論が完成したときは教員も学生も達成感がある

・メディアについて学んだからといってメディア関係の職に就くとは限らない
→学んだことと卒業後のキャリアがつながらない?

・協調生が高い一方で、批判的な意見を言うのが苦手な学生が多く、ディスカッションが深まらない

などの課題を抱えながらも、先生方は毎年やり方を変えながら、学生の学びが深まるように工夫を凝らしてゼミ運営をされていることがわかりました。

わたし自身、1年ちょっと前まで学生だったので、「もしかしたら、わたしもゼミの先生方を困らせていたのかなあ」と、苦笑いをしながら聞いていました(笑)

伊藤先生、畑仲先生、劉先生のご報告、大変興味深く拝聴させていただきました。ありがとうございました。

ゼミと就活の板挟みになっていた学生時代

ちなみに、わたしは大学在学時、ゼミで学ぶ内容が専門的になってくる3年〜4年次の時期と、就職活動が盛んな時期が重なっていることにモヤモヤを感じていました。就活のためにゼミを欠席せざるを得なかったり、就活を理由にゼミを欠席する人が増え、ゼミでのディスカッションが成立しなかったりなど、ゼミと就活の板挟みになってしまうのが今の大学生の現状かと思います。「勉強も頑張りたいけど、就活に乗り遅れたくない」という葛藤に悩んでいる学生は多いのではないでしょうか。

ただ、これは大学側がどうにかできる問題でもないので、新卒一括採用という仕組み自体をいつかは見直さなければならないときが来るかもしれません。

大学教育は実学であるべきか?

「大学での専攻が卒業後の進路に活かされない」という問題について。
わたしは大学で人材開発・組織開発について学び、仕事でその知識や経験が活きているのですが、そういうケースはむしろ少ないのではないかと思います。
実際、企業が新社会人に求めるスキルは協調性や主体性であって、学術的・専門的知識はそれほど必要としていないということが、今回のフォーラムでわかりました。
わたしは、大学で学んだことが社会に出てから活かされることが望ましいと思っているのですが、一方で、「大学では実学を学ぶべきた」という立場には立ちたくないなとも感じています。ビジネスに活かせる学問や職業訓練的な学びが重視され、それ以外の学問が軽視されてしまうことはあってはならないように思えます。「たとえ社会人になってから直接的に役に立つことはなくても、今はこの分野を学びたい」という学生の熱意を尊重するべきだと思うのです。
大学教育のあり方、大学から社会人へのトランジションについては、産学官で考えていくべきテーマかなと思います。

おわりに

自分の学生時代を振り返り、学びのあり方を考えるいいきっかけになりました。

わたしは大学教員でも、現役の学生でもありませんが、在学当時に感じていたモヤモヤたちを活かし、これからも大学教育のあり方について自分なりに考えていきたいと思います。

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