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内転筋-リハビリ後のスポーツ復帰-

こんにちは!!

理学療法士の小室です!!

今回は英語論文に関しての記事第2弾となります!!


グローインペイン(鼠径部痛症候群)というものを聞いたことがあるでしょうか?

今回はグローインペインの中でも頻度の高い、内転筋(内側にあり、ボールを蹴る際に使う筋肉)由来のものについて触れていきます!

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どこかのタイミングで、グローインペインについてまとめた記事を作成できたらと考えています!!

それでは早速内容に行きます!


論文タイトルとアスペター

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論文のタイトルとしては、「男性アスリートの急性内転筋損傷の基準に基づくリハビリ後のスポーツへの復帰について」です!

「Aspetar(アスペター)」とは、2022年のワールドカップが開催されるカタールにある専門整形外科とスポーツ医学の病院になります!

サッカー選手ではネイマール選手やエムバペ選手、テニス選手ではナダル選手と有名なスポーツ選手が治療したことでも有名です!

詳しくは下記の記事のリンクを参考にして下さい!


これまでの内転筋損傷のリハビリプロトコル、スポーツ復帰基準

急性の内転筋損傷はスポーツでは一般的になります。

しかし、これまでに、急性内転筋損傷の基準に基づくリハビリテーションプロトコルは公開されていません。

また、いつ選手がスポーツに復帰できるかについての特定の基準も記載されていません。


⇒これがまさに自分が今回のグローインペイン、まずは内転筋損傷を調べたいと考えた理由です!!

ケースバイケースと言えば当たり前にそうなってしまいますが、一般的なリハビリプロトコルと復帰基準がクリニックや現場で働く際に必要だと思います!

今回の論文からその分野に関しての知識を深めていきます!

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スポーツ復帰基準

スポーツ復帰は3つのレベルで構成されると言われています。

①参加への復帰(ただし目標よりも低いレベル)

②前のスポーツレベルへの復帰

③パフォーマンスへの復帰(以前またはそれ以上のRTS)


特にサッカーでは、スポーツ復帰は

「チームトレーニングへの完全な参加への復帰と試合で使える選手である可能性」として定義

完全参加の準備に関する決定は、医療チームによって大きく異なる可能性があります。


また、スポーツ復帰の決定は多くの状況要因によって影響を受けることもよく知られています。

シーズンのタイミングやアスリートの重要性など、リスク許容度に関連するさまざまな決定因子によって影響を受けることがよくあります。


方法

【対象】

競技スポーツに参加した18〜40歳の男性アスリート。

またアスリートは、スポーツ中に発生した鼠径部痛の急性発症から7日以内に病院に行った者。

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サッカーとフットサルのプレイヤーの確率がかなり高いです!


【MRI評価】

グレード0:急性損傷所見がない(否定的な所見)

グレード1:浮腫のみ

グレード2:構造的破壊を筋肉内の浮腫

グレード3:複数の内転筋損傷を負ったアスリートでの脱臼または完全な筋腱破壊


【リハビリプロトコル】

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リハビリテーションプログラムは、スポーツ理学療法士が監修し行われました。

プロトコルには9つの「股関節エクササイズ」が含まれています。

サポート付き股関節内転・内転のレッグスイング

②サポート付き股関節伸展・屈曲のレッグスイング

③立位股関節サークル

④立位股関節内転

⑤股関節屈曲

⑥体幹回転

⑦弾性バンドを使用したテンションアーク

⑧片脚コーディネーション運動

⑨コペンハーゲン内転運動



アスリートは、10分の2に相当する軽い痛みでエクササイズを行うために負荷を増やしていった。 

つまり、痛みが10分の1である場合、負荷を増やすように促され、痛みが10分の3である場合、負荷が軽減されました。 

私たちはこれを「痛みを制御した反復最大値」と呼んだ。


治療用超音波、レーザー、ドライニードル、および他の同様の補完的および代替治療は、リハビリ期間中は原則禁止。


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【臨床的な無痛】

・内転筋の触診が痛みなし

・外転位における等尺性収縮の痛みなし

・他動的な最大限の内転筋ストレッチで痛みなし

・弾性バンドを用いた最大10回の内転筋エクササイズで痛みなし

・コペンハーゲン誘導運動を10回繰り返して痛みなし 

・リニアスプリントを自己申告での強度100%で行い(10回30m) 痛みなし

・Tテストを自己申告での強度100%で行い痛みなし


【コントロールされたスポーツトレーニング完了】

・イリノイアジリティテスト自己申告での強度100%でので痛みなし

・スパイダーテスト自己申告での強度100%で痛みなし

・アスリートのスポーツ(サッカーなど)に合わせたスポーツトレーニングやテストを行い痛みなし

・ボールの有無に関わらず、計画された反応的な方向転換 

・ジャンプ(両側/片側、水平/垂直) 

・ストレートパスを徐々に距離を伸ばして 

・クロス(立っているときと走っているとき) 

・コーナーキック/ゴールキック

・シュート

・1対1


結果

【参加】

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急性のグローインペインを持っているアスリート150人から、クラブでのリハビリを優先する等の参加を辞退した41人を除外。

グローインペインに含まれる109人から、内転筋損傷を含まない股関節屈筋損傷、腹筋損傷、股関節損傷の28人を除外。

急性内転筋損傷の81人から、痛みがあってもクラブに戻ったりしてリハビリが中止になった20人を除外。

臨床的な痛みのない基準61人から、コントロールされたスポーツトレーニングを完了せずにクラブに戻った11人を除外。


コントロールされたスポーツトレーニングを完了した50人、臨床的に痛みはないが、コントロールされたスポーツトレーニングは完了していない11人、痛みにもかかわらずリハビリ中にクラブに戻った11人を含めた、完全なチームトレーニングに戻った75人。


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考察

急性内転筋損傷に対するアスリートのスポーツ復帰にかかる期間は、比較的長くほとんどの選手は1ヶ月以内に完全にチームトレーニングに復帰しました。

MRIグレード0〜2の怪我をしたアスリートの多くは、標準化された基準ベースのリハビリプロトコルを2〜4週間で完了しました。

また、MRIグレード3の怪我をしたアスリートは、2〜3か月でプロトコルを完了しました。


【ストレングスと制限】

さまざまなスポーツのエリートアスリートが必要なよう、治療にある程度の柔軟性を持たせるため、鼠径部以外のエクササイズのエクササイズは標準化しませんでした。

急性筋損傷の研究では、特定のスポーツ復帰基準が報告されていないことが多い。


結論

3つのスポーツ復帰基準のマイルストーンに到達するのに必要な時間には比較的大きな範囲がありました。

ほとんどのアスリートは1か月以内に完全なチームトレーニングに戻りました。 MRIグレード0-2の内転筋損傷のあるアスリートは、約2週間で臨床的に痛みがなく、約3週間で完全なチームトレーニングに戻りました。 グレード3の内転筋損傷のあるアスリートは、臨床的に痛みがなく、3か月以内に完全なチームトレーニングに復帰しました。

全体的な再損傷率は8%でした。 

基準に基づくプロトコルを完了すること、特に臨床的に痛みのない基準を満たすことにより、再損傷が少なくなる可能性があります。


内転筋損傷に関しては、1ヶ月程度で復帰が可能!

グレード3程度の場合は、3ヶ月程度かかる場合もある!


実際に患部の股関節に対する治療や痛みの評価は是非参考にしてみたいと思います!!

また、リハビリやプロトコルの詳細については付録があるので、そちらで詳細をまた追っていこうかと思います!!



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