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一瞬で青い春が蘇った話


青い春、昔は青春と言ってみたり、今では格好つけてアオハルなんて言ってみたり。つまりは青年期に過ごす生涯において若く元気な時のことを指す言葉だそう。(Wikipedia参照。ありがとうwikiさん!)

皆さま初めましてであるから、そんな事言われても何が?となるかもしれませんがかくいう私にも青春時代と言うものがございまして。

アルバイト先で知り合った同い年の男の子。彼は当時高校生で、私は当時フリーター。

最初こそ接点のなかったものの、同い年という事もあり気が付けば仲良くなり、バイト終わりにバイクで二人乗りをして家へ送ってもらったり、夜中に2人でラーメンを食べに行ったり。しかしお互い彼女や彼氏がいた事で一切恋愛関係には発展せず、なんとも不思議な間柄。

当時初めて出来た年上の彼氏と付き合っていた私は、同い年の男の子の存在にいたく救われていた。

よく彼氏と喧嘩をしていた当時、愚痴を聞くのは彼の役目であったし、当時流行っていたmixiで愚痴の日記を書けば彼から即座に電話がかかって来て話を聞いてもらったりもした。

落ち込み具合が酷いと、「よし!ラーメンでも食べに行くか!」と誘ってくれ、散々話を聞いてもらい元気をもらった。

お互いの彼氏彼女のクリスマスプレゼントを2人で買いに行ったのもいい思い出である。

少し前に流行った言葉で言えば2人は多分、私が勝手に思っているだけかもしれないけれど、ニコイチだった。どこへ行くにも一緒で、バイトの研修に行く時すら、バイトを辞めてしまう人達のプレゼントを買いに行く時ですらいつも2人で行った。


そんな中で、私が彼に恋愛感情を持つまでにそう時間はかからなかった。

けれど、彼氏がいた事もあり、彼が彼女を大切にしていた事もあり、その気持ちを伝える事なく私はその職場を辞めた。

そうして私はその当時付き合っていた彼と結婚する事になる。子供にも恵まれ順風満帆…とはいかず、その結婚生活は僅か8年足らずで終わりを迎えた。

この話については、また後日気が向けば記事にしたいと思う。


そんな終わりを迎えて1年が過ぎた頃。

結婚していた当時から勤めていた職場でいつも通り仕事をしていた。販売業であるから、道行く人を見ながら呼び込みをする。


その時。明らからにどう考えても見た事のある面影が目の前を通る。向こうもこちらを見ている。少しニヤついたと感じたその目。その表情。このご時世であるからマスクはしていようとも、見間違えるはずがなかった。

でも、ここにいるはずがない。どこか遠くで仕事をしていると風の噂で聞いていたから。

けれど間違いない。私の脳内がそう叫ぶ。

気が付くと持ち場を離れそちらに近付いた。向こうも近づいて来る。

ああ、やっぱりそうだ。

やっぱりあの彼だ。

職場を辞めてからも少し付き合いはあったが、私の子供が赤ちゃんの時に会ったのを最後にしばらく会っていなかった。赤ちゃんの頃であるから実に8年ぶりぐらいであろうか。

それでも分かるその面影。変わってないなあと懐かしくなった。

少し会話ともとれない会話を交わす。

風の噂で聞いた父親になったと言う話も、気が付けば2児の父親になっていたという。

それを聞いた時、俗に言う下ネタ、を話すと具合が悪くなると言っていたあの頃の君はもういないのだなぁと思うと少し寂しい気持ちにもなった。

きっと子供好きの君だから、目に入れても痛くない程可愛がっているんだろうなあと思うと微笑ましくなった。

仕事の上司といた彼は少し話すと、またゆっくり、と言って去っていった。

話したい事は沢山あるのだけれど、昔みたいに聞いて欲しい事も沢山あるのだけれど、

昔みたいに2人で会って話す事はもう叶わないのだ。だってそんな事、お互いに気持ちがなくとも、快く思わない人がいる。

彼の大切な、見た事もない誰かを不快にさせる為に私は存在しているのではない。

そして今いる私の大切な、彼が見た事もない誰かを不快にさせる為に彼も存在しているのではないから。

そう思うと、そのゆっくりが永遠に来ない事に私は密かに安堵した。


けれども、彼に偶然会った、時間にしたら1分もないあの一瞬で、気持ちが一気に10代に引き戻されるのだから、思い出は侮れない。


改めて思う。あれは私の青い春、だったんだなあ。

思い出すと色濃くて、噎せ返りそうな程の思い出は、きっとこのまま色褪せもせず私の中の思い出の忘れられない青い春として残って行くんだろう。

彼のバイクの後ろで、大音量で聞いたL'Arc-en-Cielのヒット曲のように。


そして今、私が青春を執拗に青い春と記述するのは、何を隠そうback numberの大ファンだからである。


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