わかった気になることとわかること―『ニッポンの思想』から読む『構造と力』(一)
近年のヘーゲル復権という流れで、浅田彰『構造と力』を読み直す機会があった。
現代思想の「チャート式参考書」とも言われる『構造と力』では、現代思想を過去の思想史の中に埋め込むなかで、より大きなパースペクティブの中で見直すことが試みられている。具体的には構造主義のサンボリック一元論とクリステヴァのサンボリック/セミオティック二元論の対比が、カントとヘーゲルの対比のなかで改めて整理される。
さて、佐々木敦『ニッポンの思想』は、「80年代から現在までに至る「ニッポンの思想」の変遷