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気づかないでと願いながら匂わせる/『クラスで一番可愛い子』を読んで

「どうしてわざわざ匂わせるの!?」

付き合ってることを匂わせることに対して、世間の声はシビアだよなと日々思う。

かくいう私は特殊例。推しが被るのは拒否しておきながら、プライベートでのなにかが発覚したところで、まじでなんとも思わない。(いや、昔は思ってたけど今はまったく)というのも、結局のところ、私は仕事に打ち込んでる彼らが好きなのだ。俳優なら演技をしているところが好きだし、ダンサーならダンスをしている時が好き、アイドルならステージで笑ってる時が好き。だから、極端な話、ステージでかっこいいなら演技が上手くなくても、バラエティ番組で態度が悪くとも、「人間だもの!なんでもできなくておっけーだよ!」ってスタンス。

そんな私の匂わせに対するスタンスも、へぇ〜そうなんですねでしかない…………いや、これをいうと全然わかってもらえないと思うんだけど、むしろ匂わせる気持ちってちょっとわかる。

もしも私がすごい好きな推しとなんらかの形で繋がったとしたら、たぶんだけど匂わせをしちゃうと思う。でも、それは別にバレてほしいからじゃない。私がちゃんと彼の目に映ったことがヒトトキでもあるよっていうのを記したいんだと思う。

最近読んだ『クラスで一番可愛い子』はそんな話だった。

自分の容姿にコンプレックスを持っていて、推しに愛されたいからと言って全身整形しちゃう主人公。やっと繋がれた推しの寝顔を見ながら「あの時のブスだって気づいた?」「ずっと気づかないでね?一から始めさせてね」と呟くモノローグが妙に切ない。

経験はないけど、オタクは繋がりたいけど、オタクだと絶対に気づかれたくないものだ。だって、私がオタクであるとわかった途端に、推しはオタクを前にした推しスイッチが入っちゃうし、牽制してくるから。でも、絶対難しいよね。推しが目の前にいたら、顔が良くても騒げないだなんて。みんなはできる?私はできない。なんのエピソードを話していても「あ、それ、前に雑誌で……」とか言っちゃいそう。

話は『クラスで一番可愛い子』に戻るけど、主人公はわりとあっさり推しから切られちゃうのよね。んで、その切られる間際に自分がどんだけ努力したかを告げる、その挙句「私のこと切ったら、あんた終わりだから!」と宣告する。

もうこの時点で匂わせるということは彼女の中で決めていたのよね。なぜそう思ったのか、そんなことするのかには触れられてないけど、彼との関係が終わったら彼を終わらせると彼女は決めていた。ここの心理が書かれてないからこそ、わからんな〜と感じたのだけど、なぜ匂わせたのだろうね。

だって、たとえ別れても、あとでやっぱり好きってなったら、ワンチャン戻ってくる可能性はあるじゃない?でも、匂わせどころか流出させる女なんて、もう絶対にノーチャンスじゃん。んー………そして今売れどきな彼を陥れる必要はあったのかな。(ちなみに彼側も犬写り込ませるというやらかしはしていたようで、それはマジで謎)

んーすごくモヤモヤする。自分の証として残したくても、相手に迷惑がかかるなら絶対に絶対にダメだよ。

これで終わりじゃないのがこの作品。全身整形して繋がれたけど速攻関係が切れてしまった主人公は、その後どうなるのか。ぜひ気になった方は読んでみてね。

3作品収録ですが表題の作品は1話目のみです。

クラスで一番可愛い子 (FEEL COMICS)

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