見出し画像

芸術の秋 ~この秋、気になる展覧会! 静嘉堂文庫美術館 響きあう名宝

 ブログにお立ち寄りくださった方、インターネットラジオ番組を聴いてくださった方、ありがとうございます。

こちらは、ゆめのたね放送局 東日本第二チャンネル 13時から13時30分の 「Colourful Days」11月2日(再放送11月9日)にまつわる記事(補足)です。番組で伝えきれなかった事や補足したい事などを中心にこちらに綴っています。諸事情により、ブログが番組日時に追いついておらずすみません。

番組のなかで4つの展覧会をご案内したかったのですが、時間の都合で主に鑑賞済みの2つのご紹介になりました。そのうちの2つ目が、静嘉堂文庫美術館の展覧会です。

静嘉堂文庫美術館 響きあう名宝―曜変・琳派のかがやき―
 
世田谷から今秋丸の内へ移転した静嘉堂文庫美術館。
三菱2代目社長・岩崎弥之助、4代目社長・岩崎小弥太父子の所有した東洋古美術コレクションは、なんと国宝7点を含む6500点!民間の美術館でこれだけの収蔵品とはスゴイですよね。

 移転新開館を記念した今回の展覧会は、茶道具・琳派作品・中国書画や陶磁器などの名宝をご紹介しています。そのなかから、私が印象に残った作品を数点ピックアップして、番組でご紹介しました。

 イッタラ展もですが、こちらもやっぱり、百聞は一見にしかず!歴史や古美術に全く興味がない方も、ぜひ見に行っていただきたいです。国の宝を見るだけでも価値はあります。

唐物茄子茶入 「付藻茄子」
 
「つくもなす」と読みます。南宋~元時代13~14世紀の陶器の茶入れ(濃茶のための抹茶を入れておく器)です。一見すると手のひらサイズのコロンとした可愛らしい器なのですが、この茶入れのたどった道は、イコール日本の権力者の歴史といっても過言ではありません。

 まず室町時代の将軍・足利義満が所有、その後、戦国武将・松永久秀から織田信長へ献上されます。本能寺の変で火中にあったのですが難をのがれ、次に豊臣秀吉へと渡ります。

ただ、皆さんもご存じのとおり、豊臣家は大阪夏の陣で滅亡、茶入れも燃えてしまうのです。ところが、徳川家康があきらめきれず、塗師・藤重親子にがれきの中から破片を拾わせて修理をし、よみがえったのです!見た目には全く修繕跡は見受けられません。X線で撮影した結果も展示されていますが、本当に粉々でした…。

歴史上の人物が所有していた茶入れが目の前にあると思うと、それだけで感動します!

国宝 俵屋宗達 《源氏物語・関屋澪標図屛風》 江戸時代・寛永8年(1631)
 宗達は尾形光琳と並び称せられる近世初期(江戸時代)の大画家です。
光源氏と明石の君のすれ違いの場面が描かれているのですが、それまでの源氏物語絵巻の構図を大胆に変えて描き、当時でもセンセーショナルな作品だったようです。

作品のサイズは153×356㎝×2セット 6枚パネルと迫力大。鮮やかな金屏風に、松の緑の大胆な使い方、川の流れの書きかたが特徴的で、さらに構図が面白いです。江戸時代の作品があせることなく、鮮やかに目前に展示されているのを見ると、なんともいえない不思議な気持ちになります。

国宝《曜変天目(稲葉天目)》中国・南宋時代(12〜13世紀)
 中国南宋時代(12-13C)高さ7.2㎝・口径12.2㎝。世界に3つしかない曜変天目のひとつ。展示されている稲葉天目は、華やかな模様が特徴です。徳川家三大将軍・家光が、春日局に下賜され、嫁ぎ先だった稲葉家へ渡ったとされることから付けられています。

背景が漆黒の釉(ゆう薬)に、虹色に無数に光り輝く星を散りばめたような神秘的な茶碗。会場では美しく見えるように計算されたライトが当てられ、鑑賞者が見やすい高さに設置されています。

たとえ茶道や器の世界を知らなくても、極論をいえば、ただこれだけでも見にいってほしい…と思います!決して大きくはない口径12cmの椀に、宇宙がみえます。もう吸い込まれそうでため息がでました。

美術館に入るにはネットで予約をしていった方が確実です。後期もはじまり、一部入替もあるようです。私もまた行こうと思ってます(撮れたら写真追加しますね)

【展覧会情報】
静嘉堂創設130周年・新美術館開館記念展Ⅰ
響きあう名宝
―曜変・琳派のかがやき―

会期2022/10/1(土) 〜 12/18(日)
(展示替えあり)
[前期]10/1(土) ~ 11/6(日)
[後期]11/10(木) ~ 12/18(日)

10:00~17:00(金〜18:00)
※入館は閉館30分前まで。
最新情報は公式ウェブサイトにて確認ください

*こちらの記事で、ここで紹介した展示品の写真を見る事ができます!


*ミュージアムショップで販売中の曜変天目ぬいぐるみが大人気に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?