花がふってくるとおもふ
友人から片耳のイヤリングが届く。
友人曰く偽物のパールだというが、丸々としてうつくしい。同封されたお菓子も、丸い形のものが多かった。
「わこちゃん、妊活には丸いものだよ」
なるほど彼女が言うならそうだろうと思い、日々丸いものを意識的に選んで摂っている。
卵、豆類、トマト、みかん、ボーロ、飴玉、巻きずしや円形の煎餅なんかも仲間に入れてみる。
なんなら食べ物ばかりではなく、雑貨や道具も丸いものを選んでしまう。
化粧パウダーのコンパクトケースは四角いものではなく丸い形のものを選んだ。ブローチも平面だけど丸い形のものを着けているし、昨日はガチャガチャを回した。出てきたカプセルケースは中身を確認した後もしばらく丸いケースをカバンに忍ばせていた。
コロン、という音がする。
丸い形のものが本当に妊活に効くのかは、わたしのあずかり知らぬ範囲だから言及はできない。そこになにがしかの力が働いているとしても、わたしには認識もできない。
ただ、数日丸いものに触れて暮らして感じるのは、そこはかとなく優しい気持ちになっている自分である。
それが、妊活に良いということを実践している達成感から来るのか、神様とかそういう存在の計らいなのかはわからないけれども。
角がなくて尖ってもいない、コロコロと丸いものを目にし、それを手に取ると、自然とリラックスするような気がしている。
何にも攻撃されていないし、攻撃する気にもならない。痛くないし、傷つかない。
そんな世界に触れていると、心も丸くなってゆくようにおもう。
子供が欲しいという気持ちは、自分一人のものではない。複雑でとげとげしいものも含まれているから、その残酷さに折れてしまいたくなる時もある。
けれどそんな時、我知らず自分を外側から癒してくれるのが、単純で裏表のないシンボリックな存在としての〝〇〟なのかもしれない。
丸は円。
円は縁にもつながり、結局はわたしにつながる大きな世界となる。
今日も注射を打った。
耐え難い痛みに泣きたくなるが、注射終わったらぜったいシュークリーム食べる、と甘いもので自分を鼓舞する。
「ハイ終わり」と看護師さんが注射後に貼ってくれた小さな絆創膏が、今日は丸い形だった。
救われる思いがする。
わこ
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