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海外で生きること 語学学校でのお話

早いもので、日本に帰国して早4ヶ月経ちました。今回は、私が去年在学していた語学学校での出来事とそれにまつわる英語のフレーズについてのお話です。

私はもとよりとてもネガティブな人間で、人見知りも激しくコミュニケーション能力もそれほど高いわけではありませんでした。そんな私が、英語もままならないまま海外の語学学校に入学して、すぐに馴染めるはずもありませんでした。
それは私が入学してから1ヶ月ほど経ったころの出来事です。その時は学校の制度上同じ英語レベルのクラスがいくつかあり、人数や新入生の関係で時々生徒が入れ替わっていました。私はクラスが変わった初めの1週間はいつも何も話せず、自分から授業に積極的に参加できず、常に緊張していました。
しかもその日は、どうも気分が優れないしモチベーションも上がらないし、なにより遅れてきたホームシックに襲われていました。初めの1ヶ月は瞬く間に過ぎていったので、ようやく海外にきてひとりぼっちなんだということを実感し始めていたころですから、今考えれば無理もなかったなと思います。
英語のレベルは同じでも急に変わったクラス初日、もうそのクラスでは仲間の輪ができており誰に話しかければ良いのかもわかりません。で、ですよねー…その時は若干学校のスタッフを恨みました。
授業が始まってもその日はなぜか英語が頭に入ってきません。もう途中からみんなが何をやっているのかちんぷんかんぷんです。
「Are you OK? Do you have any question?」
狼狽していた私を見かねてか、声をかけてくれた先生、しかし私に集まる注目。

次の瞬間、私の目から溢れる涙。授業中に急に泣き出す26歳、日本人。

終わった…と心から思いました。何が終わったなのかはわかりませんが、とにかく終わった、と思いました。

するとどうでしょうか、隣の席に座っていたトルコ人のI君が咄嗟に「大丈夫!?先生、ちょっと彼女と外にでて一服してきてもいいですか?」的な事をいってくれたのです。(その時私は混乱していたので正直なんと言ってくれたのかあまり覚えていません)
とにかく私はI君と偶然同じクラスにいた日本人の男の子に連れられ外に出ました。ホームシックだしクラスに馴染めなくて英語も入ってこなくて悔しくて、と私が泣きながら伝えるとI君は私の肩を優しく抱きしめ、

「それは“It's not my day”ってことだよ。今日はそういう日だったんだよ。明日はそんなことないかも」

と言ってくれました。
”It's not my day”
直訳すれば、私の日ではない、という簡単な言葉なのですがこのフレーズに意味がぎゅっと詰まってる気がしてすごくすとんと心に落ちました。
今日は私の日ではないけど、そういう日もあるよね。とか、ちょっと今日は気分がよくないしテンション上がらないんだよね。みたいな。この一言を言っておけば「あ、そっか今日はちょっと調子悪いんだね」ってなるような、シンプルに伝わりやすいなと。

もちろん、このフレーズを英語圏の人がよく使うのかは知りませんし、そのI君は名言系男子だったので語録の一つかもしれません、でも私はこのフレーズは詩的で素敵だなと感じたのです。

それから、私たちはちょっと調子悪いな、みたいな日にはこの言葉でコミュニケーションを取るようになりました。後日、I君がとても落ち込んでいた日も、そっと寄り添って

「It's not your day. Don't worry」

と言ってあげることができました。I君、今もどこかで元気にしてるかな。


#君のことばに救われた

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