障害があるとかないとか。

私の婚約者は軽い知的障害を持っている。
正直、一緒に暮らしていても、仕事をしていても、何も障害を持たない人にしか思えないくらい。
だけど、時々意味の分からない発言や行動で私を怒らせたり、困惑させたりはする。
どうしても相手の気持ちが理解出来なくて、推測出来ない故の発言や行動なのだ。
感情が落ち着けば、私も「あぁ、分からなかったのか。」と納得して冷静に話し合えるし、言えばきちんと分かってくれる人である。
だからなのか、私はよく彼が持つ障害を忘れている。

かく言う私も、双極性障害の持ち主である。
結構な頻度で酷い鬱症状や自殺未遂など、大変でめんどくさいであろう行動と言動を取っている。
それでも毎回向き合ってくれて、私のことを助けてくれて、私を諦めないでいてくれる。
それがどれだけ大変なことで、どれほど幸福なことかを私は知っている。 
お互い大小あれど、自分にある凹凸を何とか相手に合わせようと均して生活しているのだ。

けれど、私の両親には伝わらないのだ。
彼が障害のことを言わない、言いたくないと決めているから余計に。
私のことを思っての行動なのだ。
『大切な我が子の婚約者が知的障害を持っているなんて知ったら困るだろうから』
などと言っていた。
自分の子どもの障害は受け入れられても、その婚約者となれば話は別だろう、と。
確かに、常識や偏見に囚われがちなあの人たちならありうると厭に納得してしまった。
しかし、思うのだ。
障害を持っていることで何か大きく変わるのだろうか、と。


何かの漫画で見た印象的だった言葉がある。 
『障害は本人が困ってなければ個性に過ぎない』

私は困っているからきっと障害と言って差し支えない。
だが、彼は困ってないし、特段私も気になることはないのだから、個性と言った方が近いのかもしれない。
それでも、そのことを彼らに理解してもらうのは難しいことな気がしている。
いつか彼の個性として認めて、歩み寄ってくれるのが1番嬉しい願い事。
障害があるとかないとかは関係なく、私の愛しているパートナーなのだから。

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