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大学の研究室とは② 研究室での一日〜生物系大学の経験から〜

前回に続き、生物系大学の研究室についてご紹介します。今回は研究室での生活について詳しくみていきましょう。

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研究室での大学生の一日の例

参考までに私が学部生として生物系の研究室にいた頃の標準的な一日のスケジュールを紹介します。

⚫︎9時ごろ(コアタイムより少し早めに)に研究室に到着。
 ※コアタイムについては後述

⚫︎今日行う実験のための道具や生物を準備し、手順を確認する。

⚫︎生物実験では空き時間がある(生物を増殖させる時間や薬剤で処理する時間など)ので、その合間に講義に出たり食事をとったりする。

⚫︎実験を行い、途中で気づいたことは実験ノートにまとめる。

⚫︎実験結果をもとに考察や疑問点、進捗状況を教員に報告して今後の進め方を相談する(これは毎日ではない)。

⚫︎翌日の授業に行う実験の準備や方法を先輩の指導のもと確認する。

⚫︎さらに空き時間があれば実験器具の洗浄や掃除をしたり、勉強(講義の予復習・大学院入試のための勉強のほか、研究テーマに関係する論文を読む、研究報告の準備など)をする。

⚫︎18時頃に研究室を出てアルバイト(週2〜3日くらい)あるいは夜遅くまで残って勉強や雑談・食事などをして過ごす。

コアタイムとは

コアタイムとは◯〜◇時までは研究室にいるようにとの決まりのこと。コアタイムの有無や時間は研究室によってさまざまです。

コアタイムがない、あるいは短い研究室ではアルバイトや就活など、自分の時間を比較的自由にもつことができます。
ただしそういう自由な研究室でも研究を進めなければならないので、自分で計画を立てて研究室に通うことが大切ですから、自己管理能力の高さが求められると思います。
私のいた学科では月〜金曜日の10〜17時がコアタイムのところが多かったです。中には土曜日もコアタイムであったり9〜18時などの研究室もありました。

私のいた研究室はコアタイムはあってないようなもので破っても特に怒られず、かなりゆるい研究室でした。しかし実際には実験の都合で早朝に行ったり夜遅くまで残ったり(時には泊まり込みも)、土日にも行ったりなど忙しい時期もありました。
とはいえずっとガンガン頭を働かせているかというとそうではなく、生物系の研究室だと対象としている生物の予定(エサやりなど)が自分の予定よりも重要になってくるので、休日や深夜にエサやりのためだけにちょっと研究室に寄ったり、待ち時間は遊びに行ったり……なんてこともよくあるのです。

ゼミについて

多くの研究室では週に1回程度、研究室のメンバーが集まってゼミ(ゼミナールの略)というものが行われます。ゼミのやり方はさまざまですが研究報告勉強会を行うところが多いようです。
私の場合は各回で当番があり、1〜2か月に1度くらい自分の当番が回ってきて、他のメンバーの前で発表をしていました。

 ▶︎ 研究報告とは

自分の研究テーマ・実験の内容や進捗状況について報告をします。うまくいった実験結果だけでなく、失敗したところや行き詰まっているところも紹介します。

普段は関わりの少ないスタッフや先輩から「ここはこういう実験をしてみたら?」「実験がうまくいかないのだったら、ここを直してみたらどうだろう?」「自分の経験ではここはこうしたほうがいいと思う」などとアドバイスがもらえます。先輩の鋭い質問にビビったりしながらも、研究の目の付け所を養う貴重な機会です。

私の場合は実験データや実験方法を図にしたスライド(PowerPoint)を準備して、15分程度で発表、15分〜30分程度で質疑応答(ディスカッションとも呼ばれる)をしていました。

ゼミでの研究報告は学会発表や卒論発表などの練習の機会になりました。社会人になってからも、人に自分の言いたいことをわかりやすく伝えねばならない機会は多くあり、今でも役立っている経験の一つです。

 ▶︎ 勉強会とは

私の研究室では自分の研究テーマに関係ある、あるいは自分の関心のあるテーマの研究論文(英語の国際雑誌に発表されたもの)を読んで、その概要を紹介していましたます。
忙しい研究の合間にその研究分野の最新情報を収集し、研究室のメンバーで共有する貴重な機会です。

また、科学的な英語論文を読む練習や、科学論文の形式について学ぶ機会にもなります。

私の研究室生活は大体こんな感じ。
生物系あるあるとしては、生物の世話や培養のための待ち時間が長いので特に忙しい訳ではないけどとりあえず研究室に行かなくちゃいけない、あるいは待っていないといけないことが頻繁にあります。
私は最初は大学院入試(4年生の夏頃にありました)のための勉強で忙しかったのですが、無事に院試が終わってからは研究室の先輩とランチに行ったり、料理をしたり、お茶を飲みながら談笑したりなどのんびりと過ごしていました。
共に研究室で過ごした仲間は今でも大切な人々です。

次回は研究室の選び方について紹介します。

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