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ピンときてごめん

へんに勘がいい。

「あ、この人とわたしは波長が合うだろうな」と思うことがある。これが、ほぼ外れることがないのだ。

先日、友人Aちゃんから連絡があった。久しぶりに帰阪するので、そのときに会おうという内容のLINEだった。

Aちゃんとは20年来のつきあいだ。わたしが勉強しない、どうしようもない大学生だった頃に知り合った。

京都の喫茶店ではじめて会ったとき、わたしはAちゃんの仕草や言葉づかいにピンときた。この感じ、絶対に波長が合うタイプの人に違いない。

Aちゃんはぐいぐいと押してくるような積極的な姿勢には見えないのに、人への興味が隠しきれていない。あれこれと詮索するわけではないのに、人の事情をなんとなく感じとっている様子でもあった。

「こういう人、好き」

わたしはそう思った。そして、好きだと直感した相手に率直な態度で接すれば、なんだかんだのうちにつきあいがうまくいく。そういうパターンが多かった。

以来、Aちゃんと友人づきあいをさせてもらえていることが嬉しいし、感謝してもいる。

わたしはとくに突出した才能がある人間ではないと、妙な自信を持っている。そこそこできることはあるけれど、絶対に絶対に誰にも負けないとお腹の底から言えるかと言われれば、おそらく言えない。

しかし、「ピンとくる」のは得意だ。まわりにいてくれる得がたい人たちを見るたびに、この才能には恵まれたんじゃないかと思う。

素敵な友人が長年つきあってくれている幸せをじわじわと感じながら、二人で落ち合うのにふさわしいカフェを選定しているところだ。秋いちじくのスイーツが食べたいな。Aちゃんといちじくに舌鼓を打つ時間を想像すると、にんまりと頬がゆるんでしまう。

あのとき、ピンときてよかった。

もしかしたら、こうやってわたしに好意を向けられたなんて、実は向こうにとっては迷惑かもしれない。迷惑ではないと思ってもらえていることを祈りたいけれど、それはもうわたしのあずかりしらぬところだろう。

万が一迷惑だったらいけないので、先に謝っておこうと思う。ピンときてごめん。

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