新装ボールペンといっしょに

ずいぶん前にいただいたボールペンをずっと大切に使っている。わたしがある職場を去るとき、お世話になった方々がプレゼントしてくださった。

つやつやの白いボディにピンクゴールドの金具がよく映えてきれいなボールペンだ。いただいて10年近く経つ今も、ペンケースに収めて持ち歩いている。

しかし、わたしはこれを含めて何本かのボールペンをメインで使っている。取り出すタイミングや気分によって、ほかのボールペンで書くことも少なくない。

書きやすく、思い入れもあるこのボールペンをもっと活躍させてあげたい。そう思って、インクがかすれてきたのを機に、赤ボールペンとして使うことにした。

赤ボールペンは、仕事でもプライベートでも頻繁に使う。それに、手持ちの赤ボールペンは1本しかない。我ながら名案のように思えた。

いざ、替芯の品番を調べよう。

み、見えにくい……。

黒の替芯から品番を調べる。老眼が始まったかもしれないわたしにはちょっとつらい作業である。

品番変更があったようだけれど、後継品と思われる替芯の赤色をネットで見つけられた。よし、これだ。

また、ボールペンはセーラー万年筆の「ファシーネ」というシリーズのものであるとも思い出した。日々使っているのに、すっかり忘れていた。

しっかりした替芯です。

文房具好きなのに、赤の替芯を買うのははじめてだ。ボールペンと言えば黒！　とばかり思っていて、赤にしてみようと考えたことがなかった。

とりあえず「ありがとうございます」と
書きがちです。

無事にボディに取りつけ完了し、赤字で書けるようになった。これで2本挿しのペンケースにはモンブランの黒とセーラーの赤が入ることになった。

このボールペンをいただいたとき、贈り主の方々は「これからも頑張ってね」と言ってくださったのだ。その言葉に背中を押されたことが何度もある。お一人はときどきお会いするたびに娘たちの成長を喜んでくださる。白くてつやつやのボールペンには、そんなあたたかな交流が詰まっている。

赤ボールペンへと変身したこの子を見ていたら、なんだか頑張る気力が湧いてきた。モノにはいろんな記憶がのっているなあ、と思う。