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なぜ、わさび農家を目指すのか。その訳はとてもエモーショナル。

夢のことを考えて、今日もドキドキわくわく、へらへらしているコーラ屋&わさび屋 準備室です。
わさび農家として半農半Xを実現しようと、まずは、わさび田候補を毎日探しています。わさび作りは、わさびにとってばっちりな環境を見つけられれば、半分は成功、と言われているのですよ。
わさび農家は、僕の目指す兼業農家のスタイルにとても合っている、と運命的なものを感じているのですが、今回は、半農半Xになるための相棒になぜ「わさび」を選んだのか、その訳について書こうと思います。

日本列島のみに自生していた植物、わさび。

わさびは日本にしか自生していなかった、日本固有の植物です。わさびの文化は日本にしかない、ということはご存じでも、このことはあまりご存じではないのではないのでしょうか。
今でも、木漏れ日が差し込んで、清らかな水がちょろちょろと流れていて、マイナスイオンがありあまるほどに漂っているような、涼しい山間の森の中には、わさびが自生しているのを見ることが出来ます。

このわさびは、当然ですが、日本の気候や風土が自分に合うからこそ、日本を好んで生きているわけです。普段はあまり意識していない愛国心を、わさびを見ると感じます。ああ、日本はよいなー、と思うわけです。これを僕は、「わさびナショナリズム」と勝手に呼んでいますが、このわさびを見るたびに感じる、日本回帰感が好きなのです。

海外でも、この日本固有種はとても人気です。海外での、日本食への興味が高まっている昨今、その重要な食材であるわさびに対しても需要が高まっています。このわさびが持つグローバルな可能性も、僕がわさびをひいきする理由です。

あとで書きますが、わさびを育てるには、ハードルのとても高い条件が必要になります。残念なことに、この条件を満たす環境は日本でも少なくなってきました。かわって、ワサビ生産場所として台頭してきたのが、イギリス、オーストラリア、カナダです。これは日本人としては負けられないなと思います。自分ができるのであれば、日本の復権に一役買いたいなと思っています。

やっぱり惹かれる、わさびの味

わさびの味、と聞くと、かつての自分はスーパーで売られているチューブ状の練りわさびを思い浮かべました。この市販の「チューブ入りわさび」は、実は「わさび」が原料ではなく、ホースラディッシュと呼ばれる西洋わさびが原料となっている場合がほとんどです。本当の「わさび」ではないのです。

本当の「わさび」はあんなに刺激的なものではありません。僕は御殿場産の最高級わさびを食べさせてもらったことがありますが、本当のわさびの味は、上品な辛味の中にも、さわやかさや、育った清流のような清涼感を感じさせる、「ああ、美味しいな」と余韻にひたることのできる特別な味です。

文章で味を表現できるほどの文才のない僕は、うまくお伝えすることができずとっても歯がゆいかぎりです。こればかりはご自分で体験されるのを心よりおすすめします。
このわさびの極上の味。自分でつくったものを味わってみたいという欲求を、情熱を、抑えることができないのです。

とっても省コスト、省力野菜。でも、どこでも作れるわけではない…。

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兼業農家として、聞こえよく言えば、半農半Xとして、農業を行う場合、できるだけ手がかからない、束縛される時間が少ない作物を育てたいと考えます。例えば、普通に会社員をされている方が、お米作りを兼業としてできるのは、生産期間中にそれほど手がかけないで作ることもできるからです。
もちろん極上のお米を作るためには、手をかけて、それこそ八十八の手間暇かけることが必要になります。でも、手を抜こうとすれば、結構抜けるのがお米作りです。

わさびもお米作りに似ているところがあります。
わさびは水が清らかに流れる渓流で作られます。農薬も肥料も必要ありません。と、言いますか、農薬・肥料は与えることが現実的に不可能です。
農薬は川にそのまま流すことになりますので、与える影響を考えますと、通常はほとんど使用できません。肥料は、植物が養分を吸収する間も与えず、流れていってしまいますので、川に肥料を捨てているような感覚です。
わさびは、水そのものが持つ養分、ミネラルを、その体に少しづつ吸収して大きくなっていきます。
生産している期間中も、やることはそんなに多くはありません。夏に日よけを作ってあげることと、水路に落ちた落ち葉をたまに掃除することと、雑草をシーズン中3回くらい除草するくらいです。これは兼業農家には最適な作物だと言えます。

ただし。わさびはどこでも作れるものではありません。

まず流す水は、ミネラル豊富でとてもきれいな名水でなければなりません。また、その水温は、年間通して9-15℃を維持しなければなりません。川の水は、冬は凍るほどに冷たくなりますので、普通は適しません。地中からこんこんと湧き出でる、湧き水が必要になります。
その水量は、常にさわさわと流れる程度の量が必要ですので、ある程度の湧水量が確保できないとわさびは生産できません。

取り巻く環境は、空気がきれいで、森林に囲まれていて、夏は冷しい場所でなければ、わさび枯れてしまいます。
自然の風景が清浄で美しいこと。日の光の中で山は紫にかすみ、川は澄みきって美しいことを、「山紫水明」と言いますが、わさびはこの「山紫水明」の申し子といって良いくらい、清廉で豊かな自然の中でしか成長することができないのです。

選ばれた場所でなければ作れない。その場所を探し当てることができれば、その環境を日常的体感できる。そんな場所で心豊かに農業をしてみたい。そう思うのです。

いやらしい話、単価が高い…

エモーショナルと言っておきながら、最後はお金のお話を少し。
わさびは、他の野菜にくらべて、圧倒的に高価で販売することができます。圧倒的です。

たとえば、主要野菜8品といわれる有名な野菜の中で、一番取引価格が高いのはトマトですが、その価格は1kg950円ほどです。それに比べてわさびは、1kg4370円くらいで取引されます。桁が違います。高級食材です。
欲深く、煩悩にまみれた僕は、激しく心が揺さぶられます。継続して事業を続けるには、お金は必要なのです…。

わさびは説明をいたしました通り、どこでも作れるわけではなく、また大量に作れるわけではありません。また、植え付けから収穫まで、2-3年かかります。これが割高な価格で取引きされる理由です。

最後はリアルな経済面の理由をむきだしにしてしまい、お見苦しいところをお見せしてしましたが、情熱の源泉は、おおむねエモーショナルな理由です。
というわけで、まだ見ぬわさびを求めて、毎日わさび田候補を探しています。

よい場所がありましたら、後生ですので、僕に教えてください。教えて下されば、毎年わさびをお送りいたしますよ(ハート)。

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