アイスクリーム

甘くて、ふわふわな、
あなたが大好きだった。

初めて出逢ったときから、ずっと。

可愛くて、仕方がなくて、

時間が許す限り、
ずっとそばで、眺めていたかった。

やがて、
あなたは溶け出した。

わかるよ。

この世界は、あなたには辛すぎる。

あなたは、自分の輪郭を失って、

やがて私のことも、
分からなくなっていくでしょう。

私が、あなたのお母さんなのか、
看護師さんなのか、
ただの通りすがりのお姉さんなのか、

それすらも、何も分からなくなっていく。

自分と他人、という境界線が完全になくなり、

つまり、
あなたにとって、
特別な人がいたという記憶は消えて、

ただ一つの、命に還っていく。

それはきっと、とても甘美な瞬間で、

楽しそうに笑っている、あなたが見える。

溶けたアイスクリームは、
どこへ行くのかな。

あの日握った冷たい手が
まだ名残惜しい私は、

愛していると伝えたくて、
あなたの詩を書き続ける。

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