考察#2［ステラーブレイド］ストーリー解説と問題点 エイドス7記録保管庫～アルファネイティブ遭遇【ネタバレ注意】

この記事はサブ記事です。

メイン記事「ストーリーのネタバレ考察 総評と問題点まとめ」を読んでもいいし、読まなくてもいいかも知れない。

［メイン記事概要］
ステラーブレイドを200時間以上遊び倒して執筆。圧倒的高評価のゲーム性やシステムには敢えて触れず、唯一、遺憾なストーリーに焦点。未プレイ者も楽しめる読み物を目指すが、ネタバレ注意。ストーリー総評は「世界観◎プロット◯人物描写✕筋書き✕」大きな問題点を2つ指摘。考察のためメインストリームのプロットを書き起こし。

この記事には、ステラーブレイドのストーリー部分を中心に編集した動画と、その中で描かれているストーリーの考察、アナザーストーリー的な二次創作アイデアがあります。

［動画］ステラーブレイド
私的まとめ第2話「エイドス7」

全12話完結。ストーリーを追いやすいようガッツリ編集の動画です。

廃墟都市エイドス7の後半パート。
イヴは記録保管庫を経て、最初のアルファネイティブと対決します。

次の動画 ▶ 第3話「ザイオン」

ここから先は、この動画に含まれていない全てのネタバレ要素を踏まえた文章となりますのでご注意ください。

ストーリー解説

記録保管庫

ここでは主人公イヴの知らない人類の歴史が明かされます。

プレイヤーたる私たち現人類から見ると、イヴのような機械の骨格とナノテクノロジーで武装した人類は、進化した未来の姿に見えるけれども、イヴの側からは、現人類のような生身の身体を持った人類がかつて存在していた、ということを知らない設定になっています。アダムの言う「最終戦争で歴史は失われた」は、最終戦争より以後のことはイヴも知っているが、それより前のことは知らない、ということを意味しています。

このあと、なぜ歴史が失われてしまったのか、最終戦争の前後に何があったのか、ゲームが進むにつれて世界の謎が徐々に明かされていきます。

ステラーブレイドのストーリーでは、このような世界の成り立ちの説明が大半を占めており、それらによって強固な世界観が構築されていきます。また、動画をご覧になればわかる通り、美しいグラフィクスで表現された廃墟などのビジュアルが、さらにその世界観を補強します。これが筆者の総評において、世界観に太鼓判を押した理由です。

しかしながら、主人公イヴの「今」プレイヤーがイヴと共に経験する冒険活劇という意味のストーリーは、残念ながら問題が多く希薄であり、いたたまれない気持ちからこのような記事を書くに至っています。

ストーリーの問題点

アダムのストーリーを語らない台詞

アダムはエルダーネイティブであり、何らかの意図や目的を持って行動していて欲しいですが、悪い意味でそれを微塵も感じさせません。筆者が目を覆いたくなったのは以下の場面です。

（物資キャンプでのイヴとアダムの会話）
イヴ「どうして私を助けたの？」
アダム「どうしてだろうな」
アダム「とにかくそうするのが… 正しいと思えた」
アダム「うまく言えないが… あの瞬間 強くそう思ったんだ」
筆者「？！？！？！」

アダムの事情や心情としては以下のいずれかのはずです。

a. 理由はあるが、話せない、話したくない。
b. 理由があり、話してもよい。
c. これといった理由は特に無い。

物語として c. であって欲しくはないですが、もしそうなら、「特にない、ただの気まぐれ」等と言うしかない。
問題なのは、a. でも b. でもないことです。

「実はゲームの最後で融合を提案することになっているからなんだ」
と喉から出かかってるの、本当にやめて。

1周目の初見だった筆者には、「もちろん理由はある、でもごめん、まだアダムの設定が固まってないんだ、これでなんとか納得してくれ」というライターさんの嗚咽にも聞こえました。

もう一つ、問題の台詞があります。

（アルファネイティブを倒しアルファコアを入手したあと）
イヴ「間違いない アルファネイティブだ　コアを見れば見分けがつく」
アダム「アルファコアか…　（つぶやき）もしかしたらイヴは…」

「もしかしたらイヴは…」この台詞は、イヴには聞こえておらず、プレイヤーに向けた独白で、明らかに伏線です。しかし、3つのエンディングすべてを見ても回収されません。放置です。つまり、それっぽいことを雰囲気でしゃべっているだけです。

これらアダムの意味不明な言動は、筆者が「物語が放棄されている」と考える要因の一つです。

プレイヤーのモチベーションとなるストーリー不在

プロットの構成上、「イヴたち空挺部隊は、エルダーネイティブの潜むネストに入るための鍵であるアルファコアを入手する任務を負っている」ことをプレイヤーが知るのは、このあとザイオンに移動してからです。

アダムは記録保管庫の話をし、イヴはアルファネイティブの話をし、プレイヤーは何も知らないまま流れに身を任せているのみ。
プレイヤーを引っ張るストーリーが必要と思います。実際、筆者の初見プレイ時は、「エルダーネイティブを倒すはずなのに、どうしてアルファネイティブを探してるんだろう」となりました。

アナザーストーリー［二次創作版］

オリジナル版の良質なプロットはそのままに、このあとの展開も考慮したアイデア版です。

素晴らしいゲームをリスペクトしつつ、素人たる筆者がおこがましい限りではあるけれど、ストーリーに問題が多くもったいない過ぎるので空想するに至った次第。どうか許してほしい。
改ざんや創作したカットやシーンと、その前後だけ抜き出して書いています。略してあるシーンはオリジナル版ままを想定しています。

動画を見ながら脳内で展開すると、より楽しめます。

［凡例］
xx:yy 動画内タイムコードと劇中の場所
＊ オリジナル版まま
－ オリジナル版の記憶よ永久にあれ
＋ アナザーストーリー版（追加または置き換わり）
※タイムコードは動画の概要欄に同じものを記載しています

03:55 エイドス7/物資キャンプ

＊イヴ「アダム　これまでにも空挺部隊とはよく出くわした？」
－アダム「いや 滅多に見ないな　昨日は単に近くにいただけだよ」
＋アダム「（あいまいに）そうだな…　昨日は単に近くにいただけだよ」
＊アダム「あそこまで大規模な部隊は初めて見た」
＊イヴ「どうして私を助けたの？」
＊アダム「どうしてだろうな」
－アダム「とにかくそうするのが… 正しいと思えた」
－アダム「うまく言えないが… あの瞬間 強くそう思ったんだ」
＋アダム「昔の知り合いに似ていた… もしかしてと思ったんだ」
＋アダム「（つぶやき）そんなことあるわけないのに」
＋イヴ「ただの 知り合い…？　命をかけるほどの？」
＋アダム「そろそろ出発しよう　記録保管庫は近いぞ」

05:31 エイドス7/記録保管庫/内部

－アダム「記録保管庫に入れるなんて 夢のようだ」
＋イヴ「タキ ここに何があるの…？」
＋アダム「それらしいものは見当たらないな」
－アダム「ハイパードライブを探すとしよう」
＋アダム「ハイパードライブを探してくれないか」

07:27 エイドス7/記録保管庫/内部/奥

－イヴ「ハイパーセル… これがあなたの探しもの？」
＋イヴ「ハイパーセル… これがあなたのお宝なの？」
＊アダム「ああ　ドライブから取り出してくれ」
＊（ハイパーセルを取り出すイヴ）
－アダム「よし 1つ目の目的は達成した」
＋アダム「よし 俺はもうここに用はないが…」
＋（イヴを促すアダム、諦めて首を振るイヴ）
＊（薄暗くなり警報が鳴り始める）
＊アダム「予備電源が切れる前に出よう」

08:04 エイドス7/記録保管庫/出入口付近

＊アダム「ふう やったな　ハイパーセルは確保した」
＊アダム「これは大きな収穫だ　イヴ 助かったよ」
＊イヴ「そう… よかった」
＋イヴ「タキに報いるためにも　私は任務を続ける」
－イヴ「それじゃあ アルファネイティブのもとまで案内してくれる？」
＋イヴ「アルファネイティブのもとまで案内してくれる？」
－アダム「焦るな　そう遠くない」
＋アダム「そうか…　助けたからには付き合うよ　ここからそう遠くない」

09:31 エイドス7/クレーター付近

（前略）
－イヴ「なんであんなところにポッドが？」
＋イヴ「あそこにポッドが見える」
＊アダム「随分前のものだな　あのポッドがクレーターを生んだんだ」
－イヴ「あれは… 第5空挺部隊のポッド」
＋イヴ「あれは… 旧型だけど 空挺部隊のポッド」
＊アダム「近くで調べてみるか」

11:32 エイドス7/クレーター（戦闘後）

－アダム「嘘だろ…　全く驚いたよ」
＋アダム「（驚いて）嘘だろ…」
＋アダム「（嬉しさを押し隠して）全く驚いたよ」
＊イヴ「間違いない アルファネイティブだ　コアを見れば見分けがつく」
－アダム「アルファコアか…　（つぶやき）もしかしたらイヴは…」
＋アダム「アルファコア…」
＋アダム「（つぶやき）侵食されない人間が現れるとはな…」
（後略）

空想ポイント

「どうして私を助けたの？」の答えは、筆者のアナザーストーリーでは、王道ですが鉄板のパターンにしました。様式美です。このまま放置してもプレイヤーが勝手に想像できます。

記録保管庫のシーンは、前回のアナザーストーリーであるタキの遺言と辻褄が合うようにしました。結果的にこれというものは見つからない肩透かしパターンですが、タキの背景（なぜエイドス7に記録保管庫があることを知っていたのか）については、筆者の創作が後の展開で明かされますのでご期待ください。
記録保管庫に到達したことでタキの遺言によるモチベーションは終わってしまいますが、イヴの決意を語らせることでプレイヤーを引っ張る意図の台詞を追加しました。

筆者のアナザーストーリーでは、クレーター到着直後のシーン、ポッドが墜落しているのは意外なことではないため、イヴの驚きに満ちた台詞を、当たり障りのない台詞にしました。また、かなり遠方にあるポッドを、ひと目で第5空挺部隊のものと特定するのは不自然かつ、筋書き上、特定する必要がないため、こちらも当たり障りのない台詞にしました。

最後に、イヴとアルファコアに関するアダム（エルダーネイティブ）の反応を筆者の創作した筋書きに合わせました。普通の人間はアルファコアに接触すると汚染され、ネイティブになってしまうという設定を創作しています。

次の記事 ▶ 第3話「ザイオン」