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怖そうで怖くない少し怖い映画と本

【おだこうせいより】
ミーーンミンミンミーーーー... ... ...
暑いですね。
日本の夏といえば、怪談、ホラー、肝試し!ということで、今回はそんな怖い話を披露いたしましょう...ひひひひ


...となれば話しが早いんですけど、僕自身にあまり怖い実体験が無いのです。でも昔からこの手のコンテンツがどうにも好きなので、楽しみ方とオススメの怖い作品を紹介したいと思います。

ちなみに夏にホラーコンテンツを盛り上げる文化は欧米には無いみたいです。日本はお盆があるからかもですね。


『怖い』という味

そもそも怖いのが苦手!という方もいらっしゃると思います。無理する必要は全然ありません。しかし、苦手な人ほどこういうものは『恐怖を感じない人が楽しむもの』と思われてるフシがある気がします。でもそれは全く逆なんですよーという話しを先にいたします。


普段、僕が映画を観ていると、小5息子がよく少しだけ覗きに来ます。ほとんどの場合、まず最初に「怖いやつ?」と質問してくるので、ジャンル的にどの程度怖い可能性があるかだけを少し説明します。そしてそれがホラーやサスペンス的な内容のとき、息子とはよくこんな会話になります。

息子「はあ...お父さんそんなの観てよく怖くないね。」
僕「いやいや、そうじゃないよ。父ちゃんだってめっちゃ怖い!」
息子「じゃあなんで観るのよ?」

はいココっ!!!
こう思うのは当然。これはホントに深い深い話にも出来ます。でも、とりあえずすごく簡単に言えば、僕はこれが『怖い』というひとつの味のようなものじゃないかなという論を持っています。

例えば『辛い』という味。(←「つらい」じゃなくて「からい」)
ウクレレのオロロトリヒロ君はスパイシー好きで、よく「久々の〇〇の〇〇ラーメン、ヤバかった...」と、たまに食べては嬉しそうに美味しさとしんどさを語っていました。きっとさぞ真っ赤っ赤なのでしょう。僕は辛いものは嫌いじゃないけどあまりに辛いのは食事の楽しみ範疇を超えてしまうのでNG。けど、オロロくんは辛さを感じないから食べれるんじゃなく、辛さを楽しめる人なのだと思います。

それから『苦い』
チェロのこうりょう君以外の3名はコーヒーを好き好んで飲むのですが、コーヒーが苦いと感じないから好きなのではなく、その苦さを楽しめるということです。でも、こうりょう君は紅茶を無糖で美味しく飲むし、苦さの種類に好みがあるというだけです。ミルクや砂糖を入れたのが好きな人も、酸味が加わったものが好きな人も居て、飲み方や楽しみ方に優劣があるわけじゃありませんね。

というわけで、僕は『怖い』という味が好きなんです。
さらに、『怖い』にも様々な種類や度合いがあり、僕の好きなもの、苦手なものもあります。
ですので、怖いものを「怖い!」と思える人ほど、せっかくなので、全てを遠ざけてしまわず、自分に合う怖さを探ってみるのもよいかと思うのです。


時間が止まってしまった人

ホラーや怪談が好き、と言うと、悪趣味さと切って切り離せないなというのは事実。怖いもの見たさ、グロテスクさ、それに実際の事件事故に関わるようなものを面白おかしく楽しむなんて...という部分はたしかにあまりよろしくない。でも、そういった倫理感があるからこそ『怖さ』が生まれるというのもあるので、難しいところ。
ただ、『怖さ』を楽しむとは、ワハハと手を叩いて楽しそうにすることとは違って、さっき例えた味覚のように、静かに自分に取り入れて味わうような行為でもあると思っています。
なので、僕が好きな『怖さ』の種類の中から、辛さで言うと『爽やかな辛さ!』みたいな立ち位置になれそうな、『時間が止まってしまった人』というテーマを紹介&説明させていただきます。

僕はそもそも映画は好きなのですが、ジャンル問わず『時間が止まってしまった人』が出てくる作品が好きです。それはどういう人かと言うと、何か一つの強い感情や思いに囚われて抜け出せなくなってしまった登場人物、というイメージです。例えば『怒り』や『悲しみ』あとは『後悔』...etc。
で、それを抽象的&純粋にした存在が物語で語られる『幽霊』だな思うのです。うらめしやです。だからホラーとの相性が良い!
実際に幽霊が居るかどうかわからなくても「何か生前にやり残したことがあるから成仏できない」みたいなイメージは世界共通で深く広く定着していますね。それに、生きている人物でも、同じく大きな悲しみや後悔に囚われてしまった人は、傍から見ると幽霊的に見えてしまうところがあると思います。

そんな存在が、物語を経て「解放される」または「時間が動き出す」ようなストーリーが僕はものすごく好きでして。
ホラーの中でも、そんな展開を内包した作品は、ほどよい恐怖の向こうに柑橘類やハーブのような爽やかさな余韻を届けてくれること間違いなしっ!


推薦!「時間が止まってしまった人」映画&本

そんなこんなで、爽やかちょい怖、なんなら親子で楽しんでいただきたい『時間が止まってしまった人』映画2本+本1冊、紹介!!

まずは、超有名作。
『シックス・センス』

ラストのオチがとにかく取り上げられがちですけど、僕にとってこの作品の大事な所はそこじゃなくて、登場人物の3つの視点がすごく味わい深いと思います。過去に患者を救えなかった心の傷を持つ小児科医のマルコム、誰にも秘密を打ち明けられず絶望している少年コール、情緒不安定で心を閉ざす息子に思い悩む母親。
大人と子ども、それぞれの立場で見え方、感じ方が変わるお話だと思います。故に、数年後に再度観ても発見がある作品でもあると思います。


続いて、
『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』

これは、普通の一本にまとまった起承転結がある物語というより、幽霊の視点で感じる時間感覚の流れや風景を疑似体験するような、とっても不思議で味わい深いお話。まさしく『とある幽霊の話』なのだと思います。
こう来たか!って思わされたのが幽霊のビジュアル。ある意味で衝撃的な斬新さ。なんか萌え感すらある。
静的で台詞や心情説明も多くないのだけど、だからこそ何が語られているのかを想像したくなる余白の心地よさがありました。
あ、幽霊出てくるけど、恐怖のための映画じゃないから、ホラーじゃないや。


最後は本。
『仄暗い水の底から』鈴木光司

同名の映画化作品がありますけど、実はこの短編集の中の1話です。
たぶん僕が中学生くらいのときに読んだのですが、都市×水がテーマの各話、実に怖いし面白いので、全部通しで読むのをオススメしたいと思いました。鈴木光司さんはなんといっても『リング』で有名ですけど、リングシリーズもこの短編も、随所に親子の愛情や絆がテーマの主軸になっているので、恐怖の向こうに深い感動があります。『時間が止まってしまった人』と、そこに立ち向かう人々もあちこち登場します。



『時間が止まってしまった人』という考え方は、映画監督&脚本家&スクリプトドクター、三宅隆太さんのお話にかなり影響を受けています。心の師匠です。現実にこういう状況に陥って苦しむ人たちに思いを馳せるきっかけになりうるような側面もホラー作品にはあるのだとおっしゃってます。その通りと思います。
三宅隆太さんの作品もホラーでありながら死者と生者の心を描いたお話が多い。物悲しくて心に残ります。
ただし怖い!親子で鑑賞はちょいハードかもしれない!


ラジオドラマ「令和版 夜のミステリー」は、ウチの子供たちも一緒にワーキャー楽しめたのでオススメ。不可解さが怖いぞ。


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