コインベース研究会(Coinbase Study Group)

コロナが直撃した2020年、米IPO市場にはAirbnb, Palantir, Sno…

コインベース研究会(Coinbase Study Group)

コロナが直撃した2020年、米IPO市場にはAirbnb, Palantir, Snowflake, DoorDashなどの大型上場が相次ぎました。続く21年最大の注目IPOはコインベースでしょう。世界最強のブロックチェーン企業のビジネスモデルを読み解きます。

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時価総額10兆円のビジネスモデル【11】一分でわかるコインベース(第3版)

 「一分でわかるコインベース・仮想通貨経済圏の総合金融サービス(第3版)」、4月6日公表の2021年第1四半期業績見通しや投資家向け説明会の内容を反映しました。最終利益の推移からは、21年第1四半期の非連続な成長を見て取れます。  NASDAQ市場・直接上場は4月14日です。 ※第2版はこちらです。

    • 時価総額10兆円のビジネスモデル【13】上場初日の時価総額9.3兆円ーーMUFG、Nintendoを上回る

       コインベースが14日、ナスダック市場へ直接上場しました。終値は328.28㌦、希薄化後の時価総額は約858億㌦(1㌦109円換算で約9.3兆円)と、鮮烈なデビューを飾りました。例えば、GM(約840億㌦)、BNP Paribas(約770億㌦)、CME Group(約740億㌦)、Nintendo(約700億㌦)、Mitsubishi UFJ Financial(約690億㌦)などと比較すると、時価総額の大きさが感じられると思います。市場のビットコインへの期待を表したと言

      • 時価総額10兆円のビジネスモデル【12】株主にMUFGやNTTドコモ、Sozo Venturesなど日本勢もーー競合のNYSEも出資

         あまり知られていないことですが、コインベースの株主にはAndreessen Horowitz、Union Square Ventures、Draper Associatesなど錚々たる米ベンチャーキャピタルと並んで、NTTドコモ系ベンチャーキャピタルや三菱UFJ銀行、Sozo Venturesなど日本勢が顔を出します。彼らはまだまだ仮想通貨黎明期の15年、16年に出資しました。当時は14年に巨額のビットコインが取引所から消失した「マウントゴックス」事件の記憶が生々しい時期で

        • 時価総額10兆円のビジネスモデル【10】コインベースCEOは38才!ーー年収5900万㌦

           目論見書に相当するS-1によると、共同創業者兼最高経営責任者のブライアン・アームストロングの年齢は何と38才(!)だそうです。日本のレガシー企業の場合、同じくらいの年齢だと金融機関で上席調査役/参事役クラスでしょうか(笑)。年収も5900万㌦と破格で、これまた国内金融機関やベンチャー企業の経営者とは比較しようがない(する意味もないですが)水準です。  スタートアップ投資的な発想では、コインベースの業績や幹部の年収が絶好調で、仮想通貨・ブロックチェーンビジネスに関しては①仮説

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        時価総額10兆円のビジネスモデル【11】一分でわかるコインベース(第3版)

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          時価総額10兆円のビジネスモデル【9】強烈な最終利益見通しの背景は?ーー4/6投資家向け説明会

           コインベースが米国時間4月6日、21年第一四半期の業績と21年見通しを発表、21年第一四半期の最終利益見通しは7億3000万㌦~8億㌦(1㌦110円換算で803億円~880億円)と、前年通期(1月ー12月)の最終利益3億2230万㌦を大幅に上回りました。ビットコインをはじめとする仮想通貨価格の大幅上昇が寄与した格好です。同日の投資家向け説明会(議事録)の様子を速報します。業績見通しはもちろんのこと、設備投資の方針や機関投資家向けビジネスの現状などを説明しているので、要チェッ

          時価総額10兆円のビジネスモデル【9】強烈な最終利益見通しの背景は?ーー4/6投資家向け説明会

          時価総額10兆円のビジネスモデル【8】1Qの最終利益見通し、前年通期を大幅に上回るーー7億3000万㌦~8億㌦(速報です)

           コインベースが米国時間4月6日、21年第一四半期の業績と21年見通しを発表しました。 21年第一四半期の最終利益見通しは7億3000万㌦~8億㌦(1㌦110円換算で803億円~880億円!)と、前年通期(1月ー12月)の最終利益3億2230万㌦を大幅に上回りました。ビットコインをはじめとする仮想通貨価格の大幅上昇を背景に売買手数料収入が大幅に伸びました。14日のNASDAQ市場直接上場を前に、強烈な業績見通しを示した形です。 以下、速報します。 ※同日のブライアン・

          時価総額10兆円のビジネスモデル【8】1Qの最終利益見通し、前年通期を大幅に上回るーー7億3000万㌦~8億㌦(速報です)

          時価総額10兆円のビジネスモデル【7】4月14日上場へーー6日に投資家向け説明会

           コインベースは4月1日、米ナスダック市場へ14日に直接上場すると発表しました。ティッカーシンボルは「Coin」です。また、6日午後の電話会議で21年第1四半期の業績や21年の見通しを公表する見通し。この電話会議の様子については同社のサイトで公開される予定です。  同社は当初、3月上場を狙うと伝えられていました。しかし、米商品先物取引委員会(CFTC)が3月19日に、コインベースが過去に仮想通貨の売買高水増しや不正確な報告をしていたとして、罰金650万ドル(約7億円)の支払

          時価総額10兆円のビジネスモデル【7】4月14日上場へーー6日に投資家向け説明会

          時価総額10兆円のビジネスモデル【6】取引プラットフォーム「Coinbase」と「Coinbaseプロ」ーー4月14日上場へ

            コインベースは4月1日、米ナスダック市場に14日に直接上場すると発表しました。ティッカーシンボルは「Coin」です。また、6日午後に21年第1四半期の業績、21年の見通しを公表する見通しです。   さて、コインベースは世界32か国でビットコインなどデジタルアセットのオンライン取引プラットフォーム「Coinbase」と「CoinbasePro 」を提供しています。前者は販売所、後者は取引所と捉えるとよいでしょう。特に、シンプルなユーザーインターフェース(UI)をもつ「Co

          時価総額10兆円のビジネスモデル【6】取引プラットフォーム「Coinbase」と「Coinbaseプロ」ーー4月14日上場へ

          時価総額10兆円のビジネスモデル【5】一分でわかるコインベース(第2版)

           開示資料(S-1)から「一分でわかるコインベース・仮想通貨経済圏の総合金融サービス」をまとめました。(3月7日に2版発行)

          時価総額10兆円のビジネスモデル【5】一分でわかるコインベース(第2版)

          時価総額10兆円のビジネスモデル【4】コインベース創業者からの手紙

           コインベースの創業者・CEOのBrian ArmstrongのS-1に添付した投資家向けレターが秀逸です。クリプトエコノミーの実現により、世界の経済的自由を実現するとの考えを改めて強調しています。まだまだ世間に馴染みのない言葉や考え方が頻出しますが、コインベースの上場をきっかけにこの世界観が広く受け止められるようになり、近い将来クリプトエコノミー内の様々なサービス(コンセプト)が当たり前のものになるかもしれません。以下、全文翻訳してみました。 経済的自由(Economic

          時価総額10兆円のビジネスモデル【4】コインベース創業者からの手紙

          時価総額10兆円のビジネスモデル【3】誰でも、どこでも、ビットコインを簡単に売買できる世界に

           インターネットの黎明期、Googleはユーザーフレンドリーな検索エンジンを提供し、インターネットに接続しているユーザーであれば誰でも世界中の情報を見つけることができるようになりました。いわば情報へのアクセスを民主化したと言えます。  コインベースは2012年に、誰でも、どこでも、ビットコインを簡単・安全に売買できる世界を作る、とのコンセプトで事業をスタートしました。インターネットに接続している人なら誰でも暗号資産へ投資できるようにすることで、ネット上での価値移転手段であるデ

          時価総額10兆円のビジネスモデル【3】誰でも、どこでも、ビットコインを簡単に売買できる世界に

          時価総額10兆円のビジネスモデル【2】個人投資家や機関投資家の売買取引手数料が収益源ーー売上の96%超に

           コインベースは2月25日、米証券取引委員会(SEC)に日本の目論見書に相当する開示書類「Form S-1 」を提出しました。上場後の時価総額1000億㌦(10兆円兆)ともいわれるコインベースの売上とビジネスラインを読み解きます。 20年売上は前の期比2.4倍の12億㌦ 注目の2020年12月期の売上高は前の期比約2.4倍の12億7748万㌦(1㌦105円換算で1340億円)、最終利益は3億2231万㌦(338億円、前期は3038万㌦の赤字)でした。同社のビジネスラインは①

          時価総額10兆円のビジネスモデル【2】個人投資家や機関投資家の売買取引手数料が収益源ーー売上の96%超に

          時価総額10兆円のビジネスモデル【1】コインベースのIPOが意味するもの

           コインベースは3月にも、仮想通貨・ブロックチェーン専業の企業として初めて、米ナスダック株式市場へ直接上場(ダイレクトリスティング)する見通しです。これにはどんな意味があるのでしょうか。  インターネット上で価値を移転する手段であるビットコインは、"デジタルゴールド(※1)"と呼ばれています。非中央集権型の決済手段のため、法定通貨を司る国・政府とは当然相性が悪く、またテロ資金などアングラマネーのマネーロンダリングなどに利用されるといった課題もありました。  しかし、米国で

          時価総額10兆円のビジネスモデル【1】コインベースのIPOが意味するもの

          コインベース研究会、ビジネスモデルを読み解きます!

           コロナが直撃した2020年、米国のIPO(initial publiv offerings)市場にはAirbnb (ticker: ABNB), Palantir (PLTR), Snowflake (SNOW), DoorDash (DASH)などの大型上場が相次ぎました。米調査会社によると494の企業がIPOにより1740億㌦(1㌦105円換算でざっと18兆円)もの資金を調達したそうです。これはIPO数、資金調達額いずれも過去最高です。  21年も低金利と世界各国の景気

          コインベース研究会、ビジネスモデルを読み解きます!