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岐阜の小さな本屋さんは増えてる?

少し前にお客さんとカウンター越しに話をしている中で「最近あまり本屋さんオープンの話を聞かない」との話になり…確かに最近あまり耳にしていない気が…

愛知や岐阜界隈では、コロナ禍に当店も含めて小さな本屋さんのオープンラッシュ(ラッシュと言える量でもないのだけれど)がありました。その後はどうなっているのだろうか…

そんなことから少し書き出してみることにしました。

本屋をオープン順に並べてみると…


  • 2018年4月 庭文庫(恵那市)

  • 2019年3月 ひらく本屋 東文堂本店(多治見市)

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  • 2021年4月 住職書房(高山市)

  • 2021年4月 HUT BOOKSTORE(美濃加茂市)

  • 2022年6月 Gifuto(加茂郡東白川村)

  • 2022年11月 カクカクブックス(各務原市)

  • 2023年5月 本と暮らしの用品ソウコ こども文庫(揖斐郡池田町)

  • 2023年6月 本屋メガホン(岐阜市)

  • 2023年6月 のきさき書店(大垣市)

  • 2024年2月 土間と窓(郡上市)

  • 2024年4月 ましろ文具店(岐阜市)


情報が抜けていたり、間違っていたら本当にごめんなさい。私のリサーチ不足です…

このように書き出してみると、意外と本屋増えてるとも言える気がしないでもない。けれど…悩ましい。というのは…コロナウィルスにより行動が制限される前と後ではオープンする本屋に変化を感じているから。

本屋+αから本業+本屋の組み合わせへ

コロナ禍前にオープンした「庭文庫」さんは、古本と新刊書籍を扱う本屋としてスタートし、2020年に出版社「あさやけ出版」を立ち上げ、2023年に1日2組限定の宿(本屋に泊まれる宿)を始めた本屋さん。

「ひらく本屋 東文堂本店」さんは、元々駅前の商業ビルに店を構えていた本屋さんが、ヒラクビルのリノベーションに合わせて移転オープンした”真っ当な”新刊書店。誰が見ても本屋さんです。

ヒラクビルは元々、宝石や眼鏡、時計を売るお店だったビルをリノベーションして、メインテナントとして東文堂本店が入居している

コロナ禍中、もしくはコロナ禍後にオープンしたのが点線の下に並ぶ本屋さん。

「住職書房」のサブタイトルは”暮らせる古本喫茶”。そのタイトル通り、本屋+喫茶+ゲストハウスを行っている。当店の「HUT BOOKSTORE」は本屋+建築設計事務所であり、「Gifuto」も日本茶喫茶+本屋、そして「カクカクブックス」は専業!(←すごい!)。

「本と暮らしの用品ソウコ こども文庫」は”こども文庫”という私設図書館がメインであり、「本屋メガホン」の店主さんは、本業は会社員をされていて、「のきさき書店」はライター業もされている。「土間と窓」は建築から小物までモノをつくる工房でもあり、「ましろ文具店」は文房具を扱う中で本も扱っている。

コロナ禍前にオープンした「庭文庫」さんも宿業を始められたり、コロナ禍中、もしくはコロナ禍後にオープンした多くの本屋さんが、カクカクブックスさんを除いて、本屋+αもしくは、本業(など)+本屋(本)の組み合わせで、本屋を営業をされている。


それはなぜだろう。限られた本屋を除いて、みんな本屋だけでは生きていけないことを知った上で本屋を始めているからだろうか。生活が破綻しないように、安全をみての対策なのだろうか、それとも本来伝えたいことがあり、本屋”も”やりたいからなのだろうか。どちらにしても、多様な手段で今の時代の本屋と向き合い挑んでいる。

そんな中で、仕入れ値が比較的安価で絶版本も取り扱えることから古本のみを販売したり、今を伝えるべく新刊書籍のみを販売したり、または新刊書籍と古本の両方を販売したり。新刊書店や古本屋という形式的な垣根を越えて、主軸が”店主の考え方”に移ったようにも思う。


岐阜でも独立系書店という言葉が本が好きな人の間で認知されていた2020年頃。それから時が経ち、本屋の形はさまざまなものとなった。近年オープンした小さな本屋をみてみると、”本屋の形”を意識せず、抽象的な”本屋の成分”が凝縮されて、別のなにかを補完する形での本屋さんが増えてきたように感じている。そして、これからも増えていくだろう。

枠組みとしての独立系書店は役目を終えて、次のフェーズに入ったという感覚的な何かが肌に当たるのを実感しつつ、これも時代の流れだと感じています。

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