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自分の内面に向き合う旅 

今から遡ること10年前、私が28歳の頃、一人でパリとバルセロナを訪れた。

当時、編集部で朝方まで働いてタクシーで帰宅してシャワーを浴びて仮眠をとってまた出社するという日々を続けていた。
好きな分野の得意だと思える仕事ではあるが、このままこんな生活が続けられるとは思えなかった。

パートナーがいるわけでもなく、世間からは結婚への見えない圧力を感じていた時でもあった。

そんな時だからこそ、これから自分はどう生きていきたいのか?どう在りたいのか?という問いに対して、腰を据えて考えたくなったのだ。

でも、これからの未来のことを考えるのに、日常の延長線上と思えるような場所で考えていては、わくわくするようなことは思いつかないのではないかと思ったのである。

であれば、素敵な未来を描けそうな場所で自分のこれからの未来のことを考えようと、パリとバルセロナの旅へと向かった。

私がこれからの人生を考えるにふさわしいと思ったその場所は、サンジェルマンデプレエリアエリアにある「編集者」という名のカフェだ。
出版社の多い地区のため、その名の通り編集者が集うカフェで、文学イベントなども開催されているのだという。
行き交う人を眺めながら、日本から持ってきたノートを開き、
自分の内側に意識を向けて、ひとつひとつ感じながら考えた。

何も制限がなかったら何をしたい?
この世に生まれてきた理由は?
これからの未来、何をしたい?何をしたくない?
どう在りたい?
どんな状態だと幸せだと感じる?

どのくらいそこにいたのか。時を忘れて自分に問いかけ、答えた。

カフェの奥に鎮座するシンボルの大時計が時を告げる。その時、1分1分を刻む音に、人生の短さを重ねて、はっとしたのを覚えている。

これからの未来の進むべき道がはっきりと見えて、私はそのカフェをあとにした。

あれから10年。
転職をしたり、結婚をしたり、子どもを授かったり。思いのままにここまで来れたような気がする。そしてあの頃夢に描いたことに、今まさに挑戦中だ。


思い返せば人生の節目節目で、旅をして自分と向き合っているが、今でいうところの「リトリート」だったのかもしれない。

これからの自分の未来にワクワクするようなプランを立てたり、自分の内面に向き合い、本当の私らしさを思い出すには、旅が良い。
お気に入りのノートを片手に、自分と向き合う時間に投資をすることをおすすめしたい。

Les Editeurs レゼディテュール 編集者という名のカフェ

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