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映画 『almost people』9/14(木)開催プレミアム試写会〈オフィシャルレポート〉

嶺豪一、柳英里紗、井之脇海、白田迪巴耶、
石井岳龍監督、加藤拓人監督、守屋文雄監督登壇!
井之脇「“楽しまないぞ”と思っても楽しんでしまう」
“感情が欠けた”役柄の裏話をキャスト陣が披露!
ロンドン、ニューヨークへ…“全世界公開”への熱い想いを告白!


9月14日(木)、映画『almost people』プレミアム試写会が東京都内で開催され、上映前の記者会見に嶺豪一、柳英里紗、井之脇海、白田迪巴耶、石井岳龍監督、加藤拓人監督、守屋文雄監督が出席した。

「日本映画を世界のミニシアターに届けたい」という目標を掲げ、すでに日本のみならずロンドン、ニューヨーク、トロントでの“全世界同時期公開”が決定している本作。テーマは感情の一部が欠けている4人のきょうだいの日々を描くというものだ。

初期段階から本作に関わってきた加藤監督は「ないものを描くことは映画であまりないこと」と、本作のテーマを映画で表現することの難しさに触れつつ、「みんなで企画を話しているうちに形が見えてきました」と制作過程を振り返った。

守屋監督は「“感情がないって何がないの?”みたいな気持ちになって。でも、すぐ答えが出るものだと面白くないので、やりがいがあるなと思って引き受けました」と語り、石井監督は「ベテランから若い監督まで一緒に撮ることがとても刺激的でした」と本作への参加を振り返った。

続いて、難しい作品に挑戦した俳優陣がそれぞれの思いを語った。

嶺豪一さん

“喜び”という感情が欠けた長男・神尾光として「長男のはなし」に主演した嶺は「横浜監督にお会いした時からずっと“喜びって何ですかね?”と、映画の中と同じような感情で相談していました」と、役柄と同じ気持ちを抱いたと明かす。さらに「撮影をしていくうちに“今のかもしれないですね”みたいなシーンがあって。現場を通しながらシナリオではわからなかったことが見えてきた感じでした」と振り返ると、「そして今、すごく喜んでいるんですけど」と笑みを浮かべ、映画が完成した“喜び”を語った。


柳英里紗さん

“怒り”の感情が持てない長女・火水子として「長女のはなし」に主演した柳。石井監督との映画初タッグについて「映画を生きがいにして生きてきて、石井監督の映画を観て“カッコイイ!”と憧れた人間なので、石井監督とご一緒できることがすごく嬉しくて。高校生の頃の私に“いつか(石井監督と)ご一緒する未来があるわよ”と教えたい」と、まず本作出演への特別な思いを語った。作品のテーマについては「感情が欠落しているのが今回のテーマなので、元々持っているものをないとする表現が難しい。どうしたらそう見えるのかが自分の課題点でした」と振り返ると、「その点に関しては、すごく現場で話し合いをさせていただきました。石井監督は丁寧にお話ししてくださるし、心に密になってくれる演出をしてくれました」と監督への感謝を伝えた。

石井岳龍監督、柳英里紗さん


“楽しさ”がわからない次男・太陽として「次男のはなし」に主演した井之脇は「そもそも映画が大好きで、現場にいると楽しい気持ちが溢れてきてしまうのをどう抑えるかが大変でした」と、自身には少し無茶な企画だったことを告白。さらに、「遊園地のデートシーンがあるので、インの前に遊園地に行ってみました。“絶対に楽しまない!笑わない!”と思って最寄り駅に着いたのですが、遊園地に足を踏み入れた瞬間にもう笑っている自分がいて」とクランクイン前の撃沈エピソードを笑顔で披露。
そんな難しい役については「“楽しい”がわからなくても、それ以外の何かで彼らは心を満たしているんじゃないかということを考えながら、彼なりのデートや踊りを演じました」と語った。

井之脇海さん

“寂しさ”がない末っ子の次女・花子に扮して「次女のはなし」に主演した白田は「真鶴で撮影したのですが、現場自体に寂しさがある感じなので“どうしよう”という感じでした。“寂しさ”と“悲しみ”の違いなど考えることも多かったので、守屋監督にも沢山相談しました」と振り返り、本作が無事に完成したことに対する安堵の表情を浮かべた。

そして、話題は本作が海外で上映されることに移ると、白田は「本当に嬉しいです。私は海外に住んでいて、英語も話せるので英語でひとこと…」と、なんと流暢な英語で今の気持ちを披露!

I hope this movie success for in the world and I hope everyone will watch it.
I feel like this story is a bit difficult to understand, and I was also kind of frustrated when I was acting.
but I hope everyone will enjoy, and in many ways because we have four stories. Thank you.
(この映画が世界で成功することを願っていますし、皆さんにも観ていただけることを願っています。
この物語は少し分かりにくい気がして、演じていてもどかしさもありました。
でも、4つのストーリーがあるので、いろんな意味で皆さんに楽しんでいただけたら嬉しいです。ありがとう。)


白田迪巴耶

MCから思わず「次、大丈夫ですか?」と振られた井之脇は「こんなに立派なスピーチのあとで!」と白田のスピーチに脱帽した様子も「日本の映画を海外のミニシアターで同時に公開できるのは本当に嬉しいことです。同じタイミングで海外の方のレビューや意見を読めるのがすごく楽しみですし、多くの人に届いてほしいと思っています」と語ると、柳も「日本映画として(海外に)飛び込むのは素晴らしいことだと思うので、どんな反応が待ち構えているのか緊張しながら各国の方の感想を待っている状況です」とドキドキを告白。

俳優陣の最後にコメントが回ってきた嶺は「妹、弟が本当にしっかりしていて」と笑いを誘うと、「日本でも色んなミニシアターで上映されるので、自分自身も映画ファンとしてワクワク、ドキドキしています。地元熊本のミニシアターでも上映されるのであいさつに行きたい。作品をきっかけに色んな映画館に遊びに行ったりもできる。そういう繋がりを持てたことが嬉しいです」と、改めて本作に参加できた“喜び”を噛みしめた。

無論、監督たちも海外での上映には期待を寄せている。守屋監督は「昨年撮影した日本が映っているわけで、海外の人は我々が思いもしないことを面白がってくれるのかもしれない。“エッ、そこ観ていたの?”みたいな感想が聞きたいです」、加藤監督は「ほぼすべての人間が持っている感情を軸にした映画ですが、どの国のどんな人が観ても何かしらの共感性やそうではないことがあると思う。同じような意見がくるのか、受け取り方が違うのか。そういう感想が届くと、この映画を作った意味があると思います」、石井監督は「単純に“面白い”や“つまらない”では終わらない映画だと思います。新しい対話をたくさん生む映画だと思います。日本に限らず世界各国の感想からどういう対話が生まれてくるのか楽しみです」と海外での上映とその後の反響に期待を寄せた。

上映後には最速で本作を鑑賞した観客を交えたトークイベントも開催。監督とキャストが登壇すると大きな拍手が会場に響き渡った。

参加した男性から「観る前はシリアスな物語を想像していたが、かなり笑えるところもあってとても素敵な作品でした」と感想が伝えられたのち、「ご自身の関わっていないパートの感想を教えてください!」とのリクエストが飛ぶと、柳は「スゴイ4つの作品が並んだなと思いました」と率直な感想を披露。自身の作品が最初に作られていて他作品を知らなかったという井之脇は「スゲー、姉ちゃんだったんだな!」と柳の作品にコメントし、会場からは笑いが起こった。そして、守屋監督が「嶺豪一が素晴らしかったです!」と答え、回答を締めくくった。
そんな嶺を見事に演出した横浜聡子監督からはビデオメッセージが届き、「とても楽しい、充実した撮影期間を過ごしました。その楽しさが皆さんに伝わればと願っています。身近な人にこの映画のことをお伝えいただければ嬉しいです」と本作への応援を呼び掛けた。

最後に石井監督が「大事なことに切り込んでいる、対話を促す企画です。世界の共通言語としての映画ゆえの非常に面白い試みだと思います。意欲的に、さり気なく色んなことをやっているこの映画がたくさんの方々に観ていただけること、そして対話が生まれることを楽しみにしています」とメッセージを送り、トークイベントは幕を閉じた。

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