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【絵本】はみがきれっしゃ しゅっぱつしんこう! くぼまちこ

私は小学校の教員をしています。今年は児童会主任。
児童会をざっくりいうと、「学校を自分たちの手でよくしていこうぜ!」っていう組織です。

児童会といえば、当番活動。「気持ちのいいあいさつをしよう!」「廊下の右側歩いてね!」など児童が呼びかけます。でも、なかなか上手くいかない。
そりゃそうだ。呼びかけで済むなら、そんな世の中なら誰も苦労しない。
「ちょっとあんた、洗い物しといて!」と言われて、気持ちよく「あいよ~!」と答えてすぐ取り掛かる。そんなことが成り立つなら、世界はもっと平和だ。

当然、児童はどうすればよくなるか考えます。やはり、指摘するようなアイデアも多いです。「右側歩行ができていない人に、イエローカードを渡そう!」とか。
そんなとき、「おいおい…。児童会スローガンに掲げた笑顔という文字はどうした…?目先のことに捕らわれすぎだぞ~。森を見ろ~。」と思います。

話は変わりますが、私には1才の息子がいます。かわいいのなんのって。最近は自由に歩けるようになり、とっとことっとこどこへでも行きます。そしてどや顔で見つめてくる。笑顔がまぶしい。本当に、目が離せません。
そんな息子には、毎日試練がやってきます。

歯磨き

「虫歯にさせたくない親心」VS「歯ブラシが嫌な子心」
両者がぶつかり合います。毎日バトルしてるわけですが、ある日、聡明な妻(絵本大好き)が絵本を持ってきました。それがこれ。

この絵本は、はみがきれっしゃが、歯磨き嫌いな子どもの口をきれいにする物語です。「しゅっ しゅっ しゅっ」というオノマトペが心地いい。

息子の「好き」な電車と息子の「苦手」な歯ブラシがセットになっているこの絵本。これを読み聞かせると、魔法がかかったかのように歯ブラシを口に受け入れてくれました。

やりたくないことが、やってもいいかなってことに変わったんです。

あれ?これって、児童会もそうじゃね?と思いました。
「右側歩けよ~!」というのは簡単ですが、「右側歩きたいな~!」と少しでも思わせる手立てが打てれば、楽しくない?

そんな話を学年集会でしました。こういった状況の中、自分たちにできることをやる。「何ができるかを考える」尊敬する学年主任の言葉が胸に響きます。

ちょうど仕事の内容と家庭の内容がつながった瞬間でした。

(息子、歯ブラシを口に入れるところまでは受け入れてくれるのですが、磨くと「いやあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」と泣き叫びます。甘い歯磨き粉をつけてみてはいるのですが、なかなか人生は甘くないですね。)



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