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厚木珈琲 酒井さんインタビュー



個人的に念願の酒井さんへのインタビューということで、本日はよろしくお願いします!恐らく皆さんご存知だとは思いますが、まずは自己紹介お願いできますでしょうか?


わかりました。酒井 涼旦朗(さかい りょうたろう)です。1993年生まれの29歳で、神奈川県 厚木市生まれ、厚木市育ち、厚木市在住になります。今はクラウドファウンディングのCAMPFIREに勤めながら、自身でコーヒー事業をこの8月から始めました。よろしくお願いします!


ショートケーキみたいなコーヒー




酒井さんは前職はSUNTORYのコーヒーの焙煎をされていた訳ですが、キャリアについても含め、ご自身とコーヒーの馴れ初めについてのお話を伺っても宜しいでしょうか?


じゃあまずキャリアの方からお話しすると、前職であるサントリーコーヒーロースタリー(当時サンカフェ)に入社したのは高校卒業してすぐだったので、今から10年ほど前でした。僕、小中高ずっと家の近くの学校に通ってて、就職する時はコーヒーには全く興味はなかったんですが、高校に求人票が来ている会社の中でも家から近いという理由で入社を決めました。


入社してからも2年間くらいは全くコーヒーに興味がなくて、言われたことをこなすような毎日だったんですが、当時今の妻が短大卒業するタイミングで、「僕は社会人として2年も先輩なのに何も頑張ってないのってダサいな」と思って、ちょっと挑戦してみようと思ったのが、コーヒーインストラクター1級っていう資格でした。合格率20〜30%の試験だったんですが、何も勉強してなかった僕にとってはかなり高いハードルでしたが、とりあえずがむしゃらになって勉強し始めたら、結構コーヒーって面白いなって思うようになってきたんです。


そんな時に、当時サンカフェの焙煎グループのリーダーで現在BLUE BOTTLE COFFEEのヘッドロースターをされている方に、これ美味しいから飲んでみなよって言って渡されたコーヒーを飲んだんですけど、そのコーヒーが本当にショートケーキを食べたんじゃないかっていうくらい、いちごのような酸味の中に生クリームのようなふわふわ感があって、めちゃめちゃ衝撃を受けたんですよ。こんなコーヒーがあるのかと。

そっからめちゃめちゃハマって、色んなカフェ行ったりコーヒー飲んだりし始めたって感じですね。


そこからCAMPFIREに転職されて今に至るわけですね。

では本題(?)の焙煎所の話を聞かせてください。
酒井さんは「#
厚木焙煎所計画」としてCAMPFIREのクラウドファンディングを立ち上げ、開始からわずか41時間で目標達成されましたよね。そしてこの度「厚木珈琲」を屋号として焙煎所を立ち上げられたわけですが、まずはその経緯について教えてください。


はい。
今CAMPFIREに3年勤めて、その間も週末プロジェクトみたいな感じで個人で焙煎はやっていました。
ただ、場所も手狭になってきたので、もうちょっと大きいところでやろうと思ったのが最初のきっかけでした。


最初は別にプロジェクトとして始めたわけじゃなかったんですが、CAMPFIREでみなさんの取り組みを見てて面白いと思っていましたし、だったら自分自身が焙煎所を作る過程を公開して、皆さんとその紆余曲折や喜びや苦労を共有できたらいいんじゃないか、と思って経緯をNoteにUpし始めました。


最初はおばあちゃん家の裏のガレージを改装しようと考えていて、そこを整理したり、ガスや水道の見積りに来てもらったりしてたのが今年の3、4月くらいですね。

ただ、そうすると思っていたより結構費用が掛かることが分かり、これは予算オーバーかもと思っていたところ、たまたま別件で厚木グラススタジオのオーナーとお会いする機会があり、今焙煎所作ろうと思ってるっていう話をしたんですよ。そしたら、厚木グラススタジオでは夏くらいにカフェをオープンしようと思っているから、焙煎所作るならうちに来ればっていう形でお誘い頂きまして、その日のうちに即決して、厚木グラススタジオさんの場所での開業に向けて進めていったって感じです。


僕は最初から卸だけでやろうと思っていて、そのためには営業をしに行かないといけないわけですが、厚木グラススタジオさんはメディアで取り上げられることも多いですし、工房体験の方も多くいらっしゃるので、そういう意味でもメリットがありました。ドラマやバラエティの撮影なんかもあるんですよ。


そういう人脈があるところが、流石は酒井さんですね。


そうですね、けどそれってただコーヒーだけやってきてたらそうなってなかったなと思っています。

コロナ禍になって在宅勤務になり、家で過ごす時間が増えたことで今まで外に向いていたベクトルが内を向くようになりました。そうすると、今までずっと暮らしてきた厚木のことを意外と知らないなって思うようになったんですよね。


そこから、厚木のことを調べるようになったんですが、やっぱ改めて厚木って面白いなと思って、同級生4人とまちづくりの任意団体を作ったんです。

その活動を通して地域のある酒蔵の方と繋がって仲良くなって、さらにその方が紹介して下さったのが、厚木グラススタジオのオーナーさんだったんですよ。コーヒーとは関係ないところで地域の面白い方達と繋がれたんですよね。


卸売りに専念されて、今後こうやっていきたいという構想はあるのでしょうか?


はい、今考えているのは商圏を絞った卸売りをやっていこうと思っています。日本全国どこにでも豆を売るわけじゃなくて、完全に神奈川の県央エリア(厚木、海老名、相川、伊勢原、相模原周辺)にのみ卸していくつもりです。


それは僕がまちづくりをやっていて思ってきたことなんですが、この地元を盛り上げていこうとした時に、ただ厚木に来てください!って言うだけじゃ響かないわけじゃないですか。そこで地元を盛り上げられるツールの一つがコーヒーだなと思ったんですよね。


いわゆるおしゃれなコーヒー屋さんをやるわけではなく、この地域に来てもらうためのコーヒー作りをしようと考えています。だからこの圏央エリアに絞って自分の焼いたコーヒー豆を提供するつもりです。

自分が豆を卸すことによって、地域の飲食店を盛り上げることができれば、それが自分が一番やりたいことだなと思っています。


それと、友人たちや今回のクラウドファンディングで資金提供してくださった方に向けては、僕の焼いた豆をお譲りさせて頂く予定です。これについては後でお話ししますね。



「厚木」という土地の名前を背負う決意



厚木の地名を冠した「厚木珈琲」という屋号の由来についてお伺いしても宜しいですか?


屋号についてはですね、最初色々ひねろうかとも思ったんですよ。「〇〇Roastersとかの方がええんかな?」とか思ったりもしたんですが、逆にグローバルな目線で考えた時に、日本の神奈川の厚木にあるコーヒー屋ということを主張する意味であえて漢字にしました。

それと、この焙煎所設立はこの土地に来てもらうための事業だと思っていますので、そこはこの土地の名前である「厚木」を背負わせて頂こうということで、「厚木珈琲」に決めました。決意の表れ、というところもあります。


ロゴについても由来を教えてもらえますか?



ロゴは圏央エリアにある大山の阿夫利神社にお願いしたんですが、その理由についてもお話をさせて下さい。

Qグレーダーの資格を取得した時の話なんですが、Qグレーダーって国際資格なのでせっかくなら海外で試験受けようってことで、台湾で試験を受けて取ったんですよ。

その時、試験が終わった日の午後に近くのコーヒー屋さん回れるってことで出かけたんですが、そこで中国茶の茶器でコーヒーを提供されまして、そのことにすごい衝撃を受けたんですね。

コーヒーってグローバルな飲み物で、提供される国の特色って出しづらいものかなと思っていました。日本でもカフェで提供される器ってマグカップとかラテボウルとかじゃないですか。

そんな中で、台湾風の茶器でコーヒーを飲むっていう体験がすごくいいなって思ったんですよね。


その体験から考えたのが、海外の人が厚木のコーヒー屋さんに来た時に、よりLocalizeされた飲用体験を提供したいと思ったんですよね。

そういったものを突き詰めることは同時に、海外のお客さんのみならず、日本のお客さんへの価値提供にもつながるとなと思いました。

そういうLocalizeという切り口が、今回阿夫利神社さんに毛筆でロゴを書いて頂くという発想につながりました。


コーヒー業界の外からも、コーヒーを盛り上げたい


今後もCAMPFIREのお仕事はやりつつ、主に夜にコーヒー豆を焼いてってスタイルを継続されるんですかね?


そうですね、たまに「酒井、CAMPFIREやめるの?」って言われたりするんですが、そんなつもりは全然ないです笑

というのも、僕にとっては両方必要なものだと考えているからです。CAMPFIREでクラウドファンディングのアドバイスをさせて頂くにしても、やっぱ自分でやったことない人から色々言われたくないだろうなって思っちゃうんですよね。サッカーやったことない人がサッカーの解説をする違和感みたいな。


僕らも色々なクラウドファンディングの案件を見てきているので、実際色々とアドバイスもさせて頂くんですが、一方で実際言うのとやるのとでは全然違いますし、やるのはすごく大変なんですよね。

僕は自分で手を動かせるプレイヤーでいたいと思っているので、そういった考えも今回自分でクラウドファンディングをやった理由の一つになっています。


そもそも、CAMPFIREに入社した理由の一つとして、もっとコーヒーを盛り上げたい、もっと色々な人にコーヒーを飲んでもらいたい、って思っていたこともあります。コーヒーを通じて色々な人の人生が豊かになってくれればいいなと思う一方で、そのためにはコーヒー業界の中にいるだけじゃダメなんだろうな、とも思っていました。

そこで資金調達やオンラインサロンといった側面からコーヒーを盛り上げることができるんじゃないかと考えてCAMPFIREに入社したので、その意味でスタートアップ企業の目線と、ものづくりの目線両方とも僕にとっては必要なものです。

厚木珈琲の仕事をするからこそ、CAMPFIREでの仕事に立体感が出ますし、CAMPFIREの仕事をするからこそ、厚木珈琲やコーヒー業界を盛り上げられるんじゃないか、と思っています。


以前関口さんにお話伺った時にも、コンサルタントとしてお客様にアドバイスするためには自分も現場に立たないと、ということを仰っていましたし、やはりそう感じる点は大きいんですね。

アドバイザー目線も持ってるというのは、ご自身で事業をやる上でもかなりの強みですね。


CAMPFIREでの知見が生きてくるだろうなっていうのは感じています。井崎さんもそうですけど、今までたくさんの人達とお仕事ご一緒させて頂いて、押さえるべきポイントみたいなものは勉強させて頂いてきました。あと、WAGYU MAFIAの方からもすごく影響を受けています。


おにぎり握ったり、一緒にイベントにも参加されていますよね。


そうですね、飲食業をやる上で美味しい食事、飲み物を提供するっていうのはもちろん大事なんですが、ただ美味しいものを準備して待つだけじゃ足りなくて、いかにして多くの人に提供できるかも大事なわけじゃないですか。

WAGYU MAFIAの皆さんはその点をすごく突き詰めていらっしゃると感じます。月に何本もイベントを開いたり、営業もすごく熱心にされていたりという点ですね。

それにエンターテイメント性もすごく高いですし、あと驚いたのは食としての学びもあるってことなんですよ。

井崎さんやWAGYUMAFIAさんと一緒にお仕事させて頂いて、僕の中で飲食業として大事な要素って結構絞られたと思っています。

それは美味しさ、エンターテイメント性、コミュニケーション、学びの要素です。学びっていうのは、ペアリングみたいに、意外な組み合わせで食材の美味しさがより一層際立つ、みたいな発見とかですね。

そういった点をちゃんと意識して事業を展開していきたいと考えています。


美味しいコーヒーを用意するだけじゃ足りないんだろうな、というのは素人ながら感じる部分ですね。そこにどうやって付加価値をつけていくのかっていうのが難しいんだと思います。


そうですね、厚木珈琲を展開するにおいても、厚木に来てもらわないと味わえないコーヒー、できない経験っていうのを作っていきたいですし、それは地域の方達と協力しないと出来ないものだと思っています。


まさに厚木珈琲を目的地として、厚木に来てもらうってことですね。


どこかに遊びに行く時って、誰か会いたい人がいるからそこに行くみたいなことあるじゃないですか。もちろん景色や名産品ってのもコンテンツとしてあるとは思いますが、人に会いに行くっていうのも大きい要素だと思うんですよ。

お店づくりもそうだと思っていて、僕なんかはコーヒー屋さん行くようになって、気づいたら知り合いのバリスタさんがいるお店ばっか行ってるな、ってなっていましたし、そういう意味でコミュニケーションって大事だと思っています。


コーヒーで厚木を表現


酒井さんが焼いた豆が届くのを楽しみにしています。


コーヒーの提供をし始めてるんですが、クラウドファンディングで支援して下さった方には特別なブレンドをご提供しようと思っているんですよ。


現在、厚木珈琲として提供しているのは「厚木ブレンド」というオリジナルブレンドのみになります。その「厚木ブレンド」を設計した時に考えたのは、厚木自体をコーヒーで表現したいと思いました。

厚木って、駅の周りは意外とビルが建っていたりして、ちょっと都会的な面もある一方、ちょっと駅を離れると田んぼがあったり雄大な自然があったりもして、そういったグラデーションを感じられる土地だと思っています。


それをコーヒーで表現しようと思ってやったことが、まず一種類の豆を焙煎度合いを焼き分けました。

且つ、グアテマラ産のみの豆を使用したブレンドにしており、その焙煎度合いを焼き分けた一種類の豆と、グアテマラの別の産地の豆をブレンドして作ったのが厚木ブレンドになります。

グアテマラにした理由は、僕が初めていったコーヒーの産地がグアテマラだったという思い入れからチョイスしました。そういえば、グアテマラが初めて行った外国でしたね。


ブレンドに使っている豆は、僕の友人達が取り扱っている豆だけ使用しています。カフェタイムズの糸井優子さん、Good Coffee Farmsのカルロスさんから購入させてもらっています。


ただ美味しいコーヒーを取り扱うだけというのは僕がやりたいことではなくて、友人達が関わっている美味しいコーヒーを提供させて頂きたいと思っています。


以上がスタンダードな厚木ブレンドの説明です。


そして、クラウドファンディングの支援者の方々にご提供しようと思っているのは、「厚木ブレンドCAMPFIRE Version」です。

僕のパーソナルな部分を落とし込みたいと思っています。

僕のコーヒーのキャリアって今年でちょうど10年になりまして、その内訳としてはSUNTORYが7年、CAMPFIREが3年ということで7:3っていう比率に分けられるな、ということでこの比率をちょっと使おうと。

あと、2つの会社からそれぞれ連想されるものとして、SUNTORYが扱うのは主にコモディティコーヒーですが、当然コモディティでも良い豆はあります。CAMPFIREはザ・ベンチャー企業って感じをプロセスとかで表現したいと考えていて、そういうのを組み合わせてブレンドを作ろうとしています。


そういった過程も動画にしようと思っています。いわばブレンドのプロモーションビデオですね。


それもまた新しい試みですね!


そうやって色々仕掛けていこうと思っています!


いろいろお話を伺ってますます楽しみになってきましたね!酒井さんの厚木珈琲の豆で淹れたコーヒーを飲めるのを楽しみにしています。
本日はありがとうございました。

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