見出し画像

「詩」秋雨

洋傘を差し 私は佇む
秋雨が コスモスを濡らしている
その花弁から 零れる滴のように
あなたは 泣いているのだろうか

田んぼの 稲は刈り取られ
そこにもう 農夫はいない
小さな納屋の 錆びたトタンの屋根に
雨は落ち 悲しい音を鳴らす

十一月の雨は 青く冷たい
あなたの歌う歌は
もうここへは 届かない

そしてあなたのいない ここに風は吹き
淋しい冬を 誘っている
葉がひらり 楕円を描き落ちていく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?