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「詩」月の香り

階段は消えてしまう
遥か遠くに佇む古城
空中庭園に滴る風
時は終わりへ針を進め
月の香りが森に滲む

降り出した雨と涙は
根源を彩る海へ
詩人はそっと目を閉じ
出港を告げる船の汽笛を聞く

失われた世界の陰で
道化師は劇場の幕を開ける
密かに実ったオリーブが
ハラハラと飴色の星になる


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