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「詩」夜の列車

列車が私を飲み込む
テールランプ 町の古びた街燈
地に光はじめるものを
列車はただ 追い越していく

人々が夕の街へ 吐き出される
私は一人 どこかへ運ばれていく
列車は走り続ける 街は冷たく光る
私は降りる駅も 分らぬまま

長椅子の その固さに身を委ね 
埋もれていく 夜の鼓動の中へ
月もなく 星も僅かな夜の孤独の中へ 

減速もせず 列車が駅を通過する
終わらない町の 無機質な光を 
灯火を慈しむように 私は眺め続ける


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