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「詩」誰かのための場所

ペンキの薄れた 白いポーチの階段を降り
茂る青草の野に敷かれた 石畳の道を歩いて行く
遥か彼方なのか 少し先なのか
鳥たちが羽ばたいていく 初夏の日差しの中を

白いバラの園を抜け 小さな墓地に差し掛かる
今では誰も使わない言葉が 幾つかの墓碑に
刻まれている もういない人のために

小高い丘が 近くに見える
石畳の道は 途切れることなく続く
綿のような雲が 渇いた空を流れていく

丘の上の ハンノキのほとりに
白いテーブル その上には
マグカップと 一冊の詩集が置かれている
風が緑の葉を揺らす ページをめくる音がする


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