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「詩」開かれた場所~雨~

懐かしく甘い 雨の香り
ベランダに 置き忘れた
ティーカップに 幾つもの
水滴が 吸い込まれる

あの日 猜疑の果てに見た
鰯雲がまだ 心から消えない

救われたい
今は素直に それを望む
浄化された世界

そこにあるはずの
旋律を想いながら 曇った
窓ガラスに 正円を描き

そこから 外を眺める
雨に溶ける 世界の中で
踊るように 点滅する街灯

雲間から 微かに
甘い 月の香りが漏れている

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