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「詩」再生の森

名を持たない 光だけが
差し込む 森の中で
悴む手を 私は震わせ
古い棺の 扉を開ける

朽ち果てた 亡骸の脇には
無数の虫たちが 艶めいている
それぞれに皆 尊い命を抱えて

決して 重なりあうこともなく
決して 分裂することもない
美しい 魂を抱えて

幾千もの 命の灯を消し
私の掌に 降り積もる粉雪は
強く生きていけと
私に語り掛ける

死に逝くものが
胎動へ変わっていく

春にまた この森を訪ねよう
色とりどりの 花が咲くだろう
だから 眠についた者たちよ
今はそのまま 温かな土の中で

おやすみなさい
よい夢を

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