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ilo
「詩」白い雨
※
開演時からもう 雨は降り始めていた
私は客席にいた 招待券を握っていた
“雨が白く見えます 危険です”
誰かが言った 観客たちは去っていった
私は動けなかった 招待券を握り続けた
※
気が付けば 私はロビーにいた
古い劇場は 丘の上に建っていた
私は椅子に腰かけた 丘の麓の街を眺めた
雨は滝のように 下へと流れ落ちた
私は声の主を探した 街は沈みかけていた
※
舞台の幕は 上がる気配がなかった
私はまた 客席に座っていた
招待券は すっかり湿っていた
誰もいなかった 突如スクリーンが降りた
沈んだ街が 映し出されていた
※
私は目を覚ます そして窓を開ける
夢の中と同じ色の 白い雨が降っている
それは誰も 脅かすことのない
慈しみの雨 古い祈りの言葉のように
雫がポタポタと 心地よく大地を鳴らしている
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