見出し画像

『温室効果ガス排出量第6位』ジレンマを抱えるコーヒー産業とサステナブル

どこかクリーンな印象があるコーヒーですが、この産業はなかなか環境に悪い。

コーヒーはおしゃれでクリエイティブなドリンクなんだぜって思っている方には、ぜひ、心の片隅にこの事実をしまっておいて欲しい。

温室効果ガス排出量第6位

このグラフは、our world in dataってところに掲載されたもの。食品サプライチェーンにおいて、温室効果ガス排出量の第6位はコーヒーだ。

Our world in dataより

SDGsが話題に挙がったあたりで、マイボトルとか、紙ストローとか、いろんなカフェで推進されていたのだけど、それでは解決しきれない大きな現実をこの数字が語っている。


産地の水問題が現実味を帯びている

少し昔、2016年夏、インドネシアのコーヒー農園を視察した。北スマトラのリントンと言う場所に行く途中、タケンゴンという地域でレイクタワー(たしかこの名前・・・)と言う湖を見かけた。

この湖はインドネシアのコーヒー産業を支える水源なんだけど、年々水位が下がっているとのことだった。

タケンゴンにある湖 この周辺にはコーヒー農園が広がっている

実はコーヒーの生産には大量の水が要る。

推定値は諸説あるが、ユネスコの水教育研究所によると、コーヒー1杯つくるのに約39ガロン(約147ℓ)の水が必要とのこと。

特にコーヒーは精製処理の過程でも大量の水が必要。降雨の不安定化が懸念される昨今では、気候変動が現地のコーヒー生産に大きな影を落としている。

コーヒーとサステナブルの相容れない関係

コーヒーの多くは、途上国で生産され、先進国で消費されている。この産業構造が、環境問題の解決をより複雑にしている。

先進国でのコーヒー市場は結構大きい。

全日本コーヒー協会の調査によると、我が国日本では、コーヒー業界の市場規模は約2兆9000億円と言われており、これが年々増加している。

なおかつ、これはほとんど輸入品。高まる需要にこたえるため、現地の生産量は増えていく。

  • 森林がコーヒー栽培のための土地利用へと変わり

  • 栽培から精製処理までに大量の水を消費し

  • 近年は精製処理の過程で、複雑な発酵処理をガンガン実施

  • 生豆になったら船便で大量に輸入

先進国の要望に答えるほど、環境問題への負荷を、生産する現地が肩代わりしていると言ってもいい。

そして、先進国が引き起こす環境汚染が、気候変動と言う形となって現地のコーヒー農家を襲う。

かと言って、環境問題解決のためにコーヒーの輸入減らします!地産地消、もしくは代替コーヒーを使います!となったら、現地のコーヒー農家は暮らしていけない。

環境問題の解決は、現地の雇用問題に直結する場合もあると思う。盲目的な環境保護は、途上国で大量の失業を招きかねない。

最近の日本でも、紙ストローへの切り替えが進んでいるのだけど、プラストローを作っていた零細企業は、いったいどうなったんだろう。

ここに大きなジレンマがあって、特にコーヒーの場合は、海を越えた関係の中でこのバランスを考える必要がある。


こういった背景を知ると、1杯のコーヒーの大切さが変わってくる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?