江月照松風吹永夜清宵何所為
まだ冬の、寒い明け方のこと。
朝五時にむくりと起きた嫁がガサゴソしている。
なんだろうと覗いてみたら
二階のベランダで湯を沸かしていた。
寝巻に上着を羽織り、Colemanの椅子に座って
膝掛をかけアルコールストーブで湯を沸かす嫁。
「( ノ゚Д゚)おはよう。早いね。ソロキャンかな」
「家キャンだね。パーコレーターの珈琲飲む?」
「パーコレーター?」
「キャンプ用の珈琲抽出器具だよ。忘れたの?」
「そうだった、そうだった」
「紙コップで良いよね。キャンプの雰囲気で」
「うむうむ、いいね。最高だね」
去年の冬、私たちは某キャンプアニメに影響され
キャンプ飯ブームが到来していた。
ベランダでキャンプ飯を作ることもしばしば。
めちゃくちゃ寒いし、非効率だけどそれがいい。
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江月照松風吹永夜清宵何所為(こうげつてらししょうふうをふくえいやせい
しょうなんのしょいぞ)とは
月は水面を照らし、松を吹く風は爽やかである。
素晴らしき夜の景色はなんのためにあるのか?
という意味の禅語です。
月が淡い光で照らすのも、風が松林を駆けるのも
本来意味などありません。
月は月としてそこに在るだけです。
風だって誰かのために吹くわけではありません。
自然の作り出す美しさに
理由なんてないということです。
しかし私たちは自然を慈しむことができます。
感謝することができます。
月に神秘性を持たせて崇めることもあります。
風を神風と称えて喜ぶこともあります。
自然に限らず、目の前のもので
楽しむことができるのは自分次第。
キャンプブームがまだ続いているのは
自然を楽しめる人が増えてきたから。
かもしれませんね。