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入れ替わり

「夫くんはさぁ、わたしと入れ替わりたい?」

ドライブ中、嫁ちゃんが唐突に聞いてきた。
入れ替わるって、なんだ?何を言っている?

「だから、“瀧君”、“三葉”、のアレだよアレ」

あぁ、『君の名は』のアレか。なるほどね。
え、なに、入れ替わるの?ぼくが?君と?
そりゃあちょっと、嫌だなぁ

「ええっ、嫌なの?わたしと入れ替わるのが」

嫌だなぁ。つまりぼくが女になるわけだろ?
えっ、ちょっと、想像できないというか
想像したら気持ち悪いというか。

「わたしは入れ替わりたいよ。夫くんと」

はぁ、そうなのか。
そりゃまたどうして?

「げっへっへ(下卑た笑い)」

ああ、ああ、そのいやらしい笑い…
いいよ、いい。みなまで言わなくていい。

「そりゃあ〇〇がねぇ。△△でねぇ」

言うなっつってんだろ。やめなさい。
そうかそうか、そういえば嫁ちゃんは
見た目は良いけど中身はオッサン成分強めだ。
性格的には男の体のほうが合っているのかも…

「まあそれは冗談としてね、夫くん」

絶対冗談じゃなかったよね。

「料理、してみたいんだよね~。夫くんの体で」

はあ?料理?ぼくの体で?どういうこと?

「私の心のまま、夫くんの体で料理したら
上手に料理ができるのかなって、思ってね」

ははぁ…なるほど。そんなこと思ってたのか。

「上手にできればそれで良し、だけど
全然上手くできなかったら、やっぱり夫くんは
料理に向いていない体なのかなぁってね」

君の心(記憶)があるならさぁ
料理なんてパパっとできそうじゃない?

「やってみないと分からないじゃない」

そりゃ、そうだけど。
変な事考えるよね、嫁ちゃんって。

「そうかなぁ?変かなぁ。他にもねぇ
スキンヘッドにしてみたいとか、あるよ」

ぼくの体で遊ばないで?

「女の体でやったら出家っぽいでしょ」

ぼくの体でも僧侶待ったなしですが。

「他にもねぇ、目線とか」

目線?

「私たち身長差15cmくらいあるでしょ。
それが入れ替わったら、どう見えるかなって」

ああ、それは確かに、ぼくも興味あるぞ。

「お、夫くんも入れ替わる気になったか」

ならないよ。

「どうしてよ。きっと面白いよ。やろうよ」

だってさぁ、もし入れ替わったらさ
寝るとき、ぼくの隣にぼくの体があるんだろ?
そんなんアタマおかしなるで(エセ関西弁)。

「そう?いいんじゃないの」

いやー、ぼくは全く良くないね。気持ち悪いよ。

「げっへっへ、いいじゃないですかァ旦那…」

やめろやめろゲス顔やめろ。


この記事は【#仲良し夫婦サークル】の
今週の企画記事です。

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