C of C
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はじめまして、CofCです。今日は2023年12月31日。大晦日の朝です。 明日から新しい年になりますが、私が所属している、あるアーティストの方のファンコミュニティで、Xの「鍵アカコミュニティ」があり、毎年元旦には「今年の抱負」を投稿してます。 で「2024年は何にしようか?」と考えてたのですが、思い立ち、小説を書いてみようと思い、「思い立ったら吉日」と1分でnoteのアカウントを作りました(笑) 実は、そのコミュニティの中で、あるきっかけで「ラジオ小説」(スタエフ)を作
月曜日、19時前に仕事を終え帰ろうとすると 事務局長から声をかけられた。 明日の火曜日、外科医局で8時30分から、 朝礼が行われるとのことだった。 朝礼が行われるのは、大体、人事絡みの事で、 異動や、昇格、退職などだ。 何が、あるのか? と聞こうと思ったのだが、 事務局長は要件だけ言って出ていったので 聞く暇がなかった。 と言ってもそれほど興味はなかった。 帰りに、コンビニに寄っていると、 晴香からのLINEが来た。 「部屋の明かりが消えてるから まだ仕事だね?お
その夜はずっと晴香が 私の体の上で、私を制していた。 晴香の身体が幾度となく跳ねる。 互いが何度尽きても、その度に身体を重ね、 舌を絡ませては、再び高みに達する。 私の体の上で断続的に体を反らす 晴香の美しさに見とれる一方、 今夜の晴香は、いつもと少し違うと感じた。 一晩地上に舞い降りることを許された妖精が、 残された時間を惜しんで魔法をかけて まわっているかのようだ。 そんな夜が更け2人の体力が限界に達すると、 晴香は私に身体を預けたまま眠りについた。 彼女を
私が、晴香と初めて出会った日のことを 思い出し、心地よい回想に浸っていると、 遠くから晴香の声が聞こえた。 晴香「ねえ、どうしたの拓也? ボーッとして?具合悪いの?」 その声で現実世界に戻った。 拓也「ごめんごめん。さっきの晴香の言葉で、 晴香とはじめて話をした日を思い出してた。 病院初日に食堂で話かけてくれた時のこと」 晴香「拓也、覚えていたんだ、あの日のこと? でも拓也は変わってないよね、凄いと思うよ。 拓也って、いつも何かに媚びへつらう事なく、 自分の意見を言う
次の週は、余り2人のシフトが合わなかった。 晴香は土曜日が非番だったが、 日曜日は仕事、私は逆だった。 そのため金曜日の夜に会うことになった。 きっかけになったイタリア料理店でも いいかと思ったが、 2人の終業時間も合うとは限らず、 どちらかが、店で待つのもよくないと思い、 結局、この日も家で会うことにした。 そして料理する時間がないかもしれないので、 ピザを取ることにした。 私が帰宅したらLINEをする段取りにした。 結局、私の帰宅は19時半になった。 晴香に連絡
朝食を食べながらの、会話は弾んだが、結局、 この日は遠出はやめようということになった。 お互いに溜まっている家事を片付けていると、 出かけるのが遅くなってしまう可能性が高い。 そうなると出掛ける移動時間がもったいない という理由だった。 同じマンションなのだから、家で過ごす方が、 2人だけの時間が増えるという結論だった。 朝食を食べ終わり、一旦、 晴香は自分の部屋に戻っていった。 私も家事を片付けることにした。 洗濯機をまわそうとしたら、 上に晴香が忘れた袋がある
外から聞こえる、犬の鳴き声で目覚めた。 時計を見ると、7時前だった。 横を見ると、晴香がまだ眠りの中だった。 晴香を起こさないよう、慎重に布団から出て、 リビングに移動した。 リビングテーブルには、昨日のワイングラスが 出したままになっていた。 昨晩、2人で寝室に向かう時、 晴香が「片付ける」と言ったが、 晴香を一時も離したくない、 という衝動にかられ、 「明日でいいよ、一緒に寝よう」と言った。 ワイングラスを洗い終わって、 洗面所に行き、顔を洗った。 そして、服
先にシャワーを浴びていると、 晴香が洗面所に入ってきた音がした。 そして、暫くして晴香の声がした。 晴香「ねえ、今から入るよ。 恥ずかしいから、向こうをむいてて」 私はわかったと言いドアに背を向け シャワーのお湯を浴びていた。 ドアが開く音が聞こえ、晴香の気配を 背中に、しっかりと感じた。 と、次の瞬間、晴香が私の背中に体を寄せた。 そして、言葉を発した。 晴香「寒いから私も一緒に浴びたい。 こうして身体をくっつけたら、 一緒に浴びれるでしょ?」 私は晴香の温も
部屋に入った晴香は、マフラーを 取りながら、私に、話かけた 晴香「オーブン借りていい?」 私は、勿論と言って、オーブンの扉を開けた。 晴香はマフラーを畳みソファーの端に置くと、 トートバッグを持ってキッチンに来た。 そして、中から、ラップをされた グラタン皿を2つ取り出した。 下調理は既に終わらせ、 あとは加熱するだけになっている。 ラップを外して紙袋から取り出した チーズをたっぷりとかけオーブンに入れた。 加熱ボタンを押したあと、腕まくりしながら、 再び晴香
ある週末は、2日とも、非番だった。 晴香に、予定を聞くと、同様だった。 2人で会うのが夜ばかりというのは あからさまと思うこともあった。 だからと言って、昼に2人で 一緒に行く場所も思いつかなかった。 正直、あまり遠出をするのも気乗りしない、 かと言って、病院にも近いこのあたりを、 ウロウロして人目につくのも変な話だと思う。 そう考えると同じマンションにいるのだから、 どちらかの家で、2人で過ごすという選択は、 合理的だとも思う。 ただ本当の恋人同士なら、 合理性だ
私が起きた気配で、晴香も目を覚ました。 そして私と目が合うと、背中を向けて言った。 晴香「おはよう、、、、、、、 あの、ごめん、服を取りたいんで、 ちょっとだけ目をつぶってもらっていい?」 私はその言葉をなぜか愛おしく思えた。 私が頷いてから背を向け目を閉じると、 晴香が布団から出た気配を感じた。 晴香は服を着るあいだ 「目を開けちゃだめ」と言ってる。 何回目かのそのセリフの後、晴香は言った。 晴香「もう、目を開けてもらっても、大丈夫。 それから、洗面所、借りても
髪の香りの事を口にしたことで 警戒されてもおかしくなかった。 だが、晴香は気にしている様子はないようだ。 晴香に礼を言いながら、紙袋を受け取った。 私がキッチンで豚の角煮を 皿に盛っていると、晴香が言った。 晴香「何か、手伝えることありますか?」 拓也「じゃあ、、冷蔵庫に入っている料理を、 運んでもらえますか?」 晴香は頷き、冷蔵庫を開け 「これもですか?」と尋ねてきた。 私が「はい」と答えると、 冷蔵庫の中の料理を運んでくれた。 料理を運びながら、晴香は、どうしま
晴香がコンビニで支払いを済ませて、 こちらに向かう時に私に気づいた。 晴香「あ、辻本先生、おはようございます。」 拓也「おはようございます。お買物ですか?」 晴香「いや、違うんですよ、 忘れないうちに、ガス料金を払おうと思って。 これって、地味に面倒くさいですよね。 辻本先生は、お買物ですか?」 私の中での、晴香の捉え方が 明らかに以前とは変わっている。 しかし晴香の中では変化がないように感じる。 そんな思いを口にすることなく、私は答えた。 拓也「朝食のパンを切
2日連続で立ち寄ったイタリア料理店で、 昨夜から、今朝にかけての出来事を 思い出していた。 そして、パスタを口に運んだ。 今朝、顔をあわせて以来、今日は晴香と 言葉を交わすことはなかった。 朝一番、声を掛けてきた晴香は、 どことなく、普段より親密な感じがした。 一夜をともにしたことで、 自分に接近しようとしているのか? などと考えたが、どうやら杞憂だったようだ。 その後見る晴香は、昨日までと なんら変わった素振りはなかった。 昨晩のことが病院に知れたら?とも思った。 し
自宅に招き入れた晴香に、ダイニングでなく、 リビングソファを勧めた。 オーディオセットの音が、よく聞こえる という理由で勧めた。 晴香のコートを受け取り、ハンガーにかけた。 そしてレコード盤を開き、 ジャズのレコードをのせると、晴香は尋ねた。 晴香「自宅に、レコード盤をお持ちだなんて、 格好いい、ご趣味ですね。 辻本先生は音楽お好きなんですか?」 拓也「いや、はっきり言って、 音楽のことは、全然わからないです。 でも音響機器は好きで、特にレコードは、 音もフォルムも好き
晴香の自宅が、自分と同じ方向だと いうことは知っていた。 店を出て自宅方向へ2人で並んで歩き始めた。 ふと、空を見上げると、上弦の三日月だった。 ただの好みの問題なのだが、 私は満月よりも、三日月のほうが好きだ。 何故?と聞かれても明確な答えは ないのだが、月に抱く神秘的なイメージが、 なんとなく満月よりも三日月に近い気がする、 ただ、それだけだ。 そんなことを考えながら空を見上げていると、 晴香が聞いてきた。 晴香「辻本先生は、月がお好きなんですか? なんとなくです