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諸外国のプログラミング教育 英国編

明治維新より日本では諸外国、特に欧米の事例を参考に国内の仕組みを整えてきました。調べてみたところ日本の教育はフランスの学区制度を取り入れて始まったようです。「欧米諸国では」といって海外の真似をしていれば良いとは単純に思えませんが、そうはいっても横の事例が気になるのは仕方ないので少し調べてみました。

今回は文科省の「諸外国におけるプログラミング教育に関する調査研究」という資料を見てみたいと思います。特に英国とエストニアは現地調査まで行っており注目していたようです。ざっとみたところ標準的な教育課程が決められている英国は参考になりそうだったので、要点っぽそうなところをまとめてみます。下は元資料のPDFへのリンク。

まずは内容。1〜4年生まで「Computing」が必修になっていて、CS(Computer Science)、IT(Information Technology)、DL(Digital Literacy)の3分野を学ぶそうです。分野分けはIEEEの標準カリキュラムと似ているので理にかなっていると思われます。日本で行われる「プログラミング教育」はCSを理解するための実習的な位置付けの様子。教材はScratchや動きをプログラムできる教育用ロボットを使うみたいです。

学習環境として、小学校は日本と同じで担任の先生がなんでも教えるので、プログラミングも担任の先生が教える様子です。全ての教員がうまく教えられるわけでもないので再教育を施したり、「Computing」の教員を志望する学生のためにIT企業(Google, Facebook, Microsoft)が奨学金を出す制度もあるようでした。また実習では、年上の良くできる子が大学のTAみたいな形で授業に参加する仕組みもあるみたいです。

具体的な学習内容( Key Stage 1)は以下の通り

⃝アルゴリズムとは何かを理解すること。すなわち、アルゴリズムがデジタルデバイス上でプログラムとしてどのように実行されるか。アルゴリズムはプログラムが正確かつ明確な指示に従い実行するものであるということ。

⃝簡単なプログラム作成とデバッグをすること。

⃝論理的推論による、簡単なプログラムの挙動予測をすること。

⃝目的を持って情報技術を利用し、デジタルコンテンツを創り、整理し、保存し、操作し、呼び出し、検索すること。

⃝学校外での一般的な情報技術の利用についての認識をすること。

⃝情報技術を安全に節度を持って個人情報を守りながら利用すること。インターネットや他のオンラインテクノロジーにおけるコンテンツや接触に関して懸念がある際に、どこに助けや支援を求めればよいかを確認すること。

こうやってみると「Computing(情報教育)」の一環としてプログラミングが取り扱われていると分かります。Scratchで遊ぶのも楽しいですが、教育という観点ではもう少し大きい視点で考えたいものです。そういう意味では「学校外での」という点は大切だと感じました。英国の教材でそれはどのように扱われているか、機会があれば見てみたいと思います。

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