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CS? VP? ハッカソンでエンジニアが考える意味とは

お久しぶりです。幽霊部員のE研究員です。
最近とあるハッカソンのメンターをしていたのですが、そこでの気づきについて書いてみます。

ハッカソンではプログラミングするだけではなく、お題となる技術を使った「ビジネスの発案」が評価ポイントとなります。
その際、CS(顧客セグメント)とVP(提供価値)が特に重視されます。

では、なぜハッカソンでCS、VPが重要なのでしょうか?

ハッカソンは大抵2日から10日ほどの期間で、その場で組んだチームメンバーとアイディアを発案し、開発、発表をしていくことになります。
期間が短めに設定されているため、何でもリッチに開発できるわけではありません。

そうすると、プロトタイプ(MVP)を開発するときに「どの部分にこだわって開発するか」が重要になります。

たとえば、チームで「空いているトイレを検索できるシステムをつくろう」と思いついたとします。(オフィス勤務の人だとよく発案するテーマです…)

CSやVPを考えずに開発に進んでしまった場合、「まずセンサーは赤外線で、マイコンはRaspberry Piで、、、」という風になんとなく設計・開発しがちです。
それでも動くのですが、結局ありきたりになりがちで、期間内にどの部分にこだわって開発したらよいのかもわからず、最終プレゼンでも辛い評価になってしまいます。

では、CS・VPを設定した場合はどうでしょう?

まずCS(顧客セグメント)を「電車通勤で駅まで歩く会社員」と「都会の住宅街の中規模スーパーマーケット」に設定します。
そしてVP(提供価値)を、
会社員:通勤/帰宅中に急にもよおした時に、すぐ駆け込めるトイレがわかる  
スーパー:トイレを利用したついでに買い物してもらい、売上UP

と考えたとします。

その場合、会社員向けスマホアプリとして「通勤経路の設定」「お気に入りのスーパーの設定」「現在位置に近い、トイレの空いているスーパーの検索機能」が機能として考えられます。さらに、トイレに立ち寄った会社員向けに「ついでにお買い物しませんか?」とセール情報をポップアップする機能もあるでしょう。

また、ハードとしては「トイレの空きを、プライバシーを保って検出できる仕組み」を考えることになります。

すると、ハッカソンの限られた時間のなかでリアリティのあるシステムをつくるためにはどこに注力すればよいかが見えてきます。

さらに、ビジネスモデルを考えることもできるので、ピクト図で関係者同士の価値の交換を表現することもできます。(ピクト図は、noteだと以下が有名です。)

CS、VPを考えた上で開発に入ると、「開発のこだわりポイント」「ビジネスモデル」の両方を最終プレゼンで主張することができます。ありきたりな内容からも回避できて、リアリティのある(手触り感のある、生々しい)発表になり、審査員の共感を引き出す確率も上がると思います。

さらにいうと、使う人をイメージすることによってハッカソンのチーム内コミュニケーションも円滑になる効果が期待できます。なぜなら、チーム内でメンバーがそれぞれバラバラな利用シーンを思い描くよりも、共通の利用シーンを考えていたほうが無用な衝突を回避できるためです。

これからハッカソンに参加する人も、ハッカソンには出ないけどチームで何か開発してみたい人も、 CS(顧客セグメント)とVP(提供価値)について言語化してみる、ということを思い返してみるのはいかがでしょうか?

それでは!




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