今週のアニメ業界関連ニュースまとめ 2024/7/23 #155
クリエイティブよりも、ビジネス関連強めのアニメニュース・記事をキュレーションしています。
今週は日本総研による「アニメ産業における供給面の課題」やジェトロによる「アニメ関連サービス・商品に関する米国市場レポート」などレポート記事が充実していました。レポートには日々のニュースとは異なる、情報の「深層」が書かれています。いやぁ~勉強になりますね。
アニメ産業における供給面の課題
今年の初頭に日本総研が「わが国アニメ産業の現状と課題」のレポートを出されましたが、今回は「アニメ産業における供給面の課題」についてです。制作スタジオとアニメーターの底上げが急務で、様々な提言がなされています。
■賃上げに向けたスタジオの稼ぐ力の改善
対応①:制作費の適正な見積算定
対応②:スタジオにアニメ作品のIPを付与
対応③:IP補助金
■若手アニメーター等のスキルアップ
対応①:公的な職業教育訓練の提供
対応②:スキル評価のための検定制度の構築
他にも、以下などがあります。
・賃上げ促進に向けたアニメ産業労働組合の必要性
・就業形態の違いによる不合理な賃金格差の是正
・下請けGメンによる公正な取引関係の推進
入魂のレポートとなっています。
ただ、一点欠けている点があるとすると、「インボイス制度」についてです。現在は「2割特例」の期間中ではありますが、経過措置がなくなったときには、今まで以上に混乱するのは必至です。フリーランスが多いアニメ業界では、現状は制作会社が「飲み込んでいる」ところが多々ですが、これ以上の負担は耐えられないでしょう。全体の制作費をUPするのも限界があります。影響は、資金力のない制作会社やフリーランスのアニメーターといった「弱者」に直撃することから、インボイス関連にも触れてほしかったところです。
■PDF全文:アニメ産業における供給面の課題
https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/researchreport/pdf/15146.pdf
■わが国アニメ産業の現状と課題
米ロサンゼルスで「アニメエキスポ2024」開催、ジェトロは日本のポップカルチャー紹介
ジェトロによるアニメエキスポのレポートです。アニメエキスポと言っても「アニメ」に限らず、「アニメ、ゲーム、Vチューバー(注2)、VR(仮想現実)/AR(拡張現実)関連企業」など幅広く出展した模様。Geek Streetと名付けられたパビリオンにも多くの人が来場したようです。
■アニメ関連サービス・商品に関する米国市場レポート
ジェトロによるこちらのレポートも必読です。
公式Xはフォロワー280人…巨額赤字「クールジャパン」が再始動も“現場のアニメーター”は置いてけぼりの実態
日本総研のレポートと並行して読みたい記事です。何かと批判されがちなクールジャパンの施策ですが、「現場」の支援に直結しないことから、砂上の楼閣と言われても仕方がないのかもしれません。
■(後編)なぜ「日本のアニメ」はサウジアラビアを熱狂させるのか? 「クールジャパン」を凌駕する、外務省「アニメ文化外交」の知られざる功績
中野セントラルパークの壁面が巨大スクリーンに!夕涼みアニメシアター「中野チルナイトピクニック」開催
映画が投影される中野セントラルパークイーストは、東映アニメーションが入っているビルなので、同社にとっても画期的な出来事になりそうです。主催の中野区と東京建物の「企画力・実行力」に脱帽です。
30年前のアニメが次々とリメイクされる3つの理由 共通ワードは「バズり」やすい?
理由→「かつてファンだった人たちを視聴者として取り込める」「企画が通りやすい」「多くの人が知る共通の単語は、SNSでのバズリを狙いやすい」。アニメに限らずコンテンツビジネスは「水商売」であるために、リメイク前の「実績」は貴重です。記事の中では「社会の最前線で決定権を持つ人にとっても、小さい頃に見た作品は親しみがあります」とありますが、ノスタルジックな感情よりも、実績としての数字の方がリメイクされる理由として強いと思います。
『化け猫あんずちゃん』MIYUプロダクション代表が語る、日仏共同制作の裏側「企画開発段階から、新たな作り方を模索」
昨今、海外との合作は珍しくはないですが、本インタビューでは、アニメにおいて、フランスのファイナンス事情が語られる珍しいものになっています。「公的な資金と民間の資金」から調達しているとのこと。
東宝、営業利益34.1%増 コナン映画や自社制作アニメがけん引
東宝は絶好調ですね。映画も興収10億円以上がゴロゴロしていて、しかも劇場版『名探偵コナン』が毎年100億円の興収を叩き出すドル箱に成長しています。アニメ事業共々、映画のような「水商売」であっても、事業的に鉄板でしょうね。
『【推しの子】』第2期、第1話の週間視聴者数が「ABEMA」アニメ史上過去最高を記録
夏アニメも、前評判通り『【推しの子】』が強いです。特に「原作関連」ネタを扱っていることから、SNSでもバズが起こりやすいですね。若干の「居心地の悪さ」がありつつも、エンタメとして昇華する展開は見事です。
「らんま1/2」乱馬役を譲りたくない山口勝平 林原めぐみは自分の影を追いすぎないように
旧作のリメイクは、必ず声優続投?交代?問題が発生しましが、『らんま1/2』は続投です。ファンの反応を見る限り、やはり続投を選択されたのは良かったかと。声自体が衰えてなければ、キャスト費を鑑みても「お釣り」は来るはずです。