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【12月の日記⑨】音楽レビュー:「生活」羊文学 を聴いて

12月26日に配信リリースされた羊文学の新曲「生活」。

Vo&Gt 塩塚モエカ氏によると「20代のはじめごろ しばらく曲が書けない時期があって その後に完成した曲」とある。

この曲は、例えば「マヨイガ」や「光るとき」のような、ピカピカにかがやく強いメッセージが込められている曲ではない。完全なる心情吐露である。ただ、人間的に、まだまだ未熟なところがいっぱいある年代だからこそ書けた歌詞と儚いメロディが、この曲の何よりの魅力だ。



20代前半の頃に、私には、わけのわからない孤独感に襲われるときがよくあった。親も元気で、友達も恋人もいて。基本的に自由で、特に深刻な悩みなんてないのに、それでも「あぁ独りなんだ」と気づいてしまうときが突然、急にやってくる。

そういうとき、当時の自分は「どうしていたのか?」は、正直もう覚えてはいない。

今でもたまに「独りだな」と感じるときはあるけど、生きていくうちに落ち込みから這い上がる対処法が勝手に身についていった。

私は、落ちるところまで落ちそうになると、好きなバンドの曲を聴いて一時的に避難する。しかも、明るい曲は絶対に聴かない。共に孤独を分け合えるような、寂しくて、悲しい曲を聴いたほうが、心の重荷は軽くなる。

クリスマスが終わり、これから大晦日にお正月にと、世間的には賑やかな雰囲気がしばらく続くことになる。けれど、みんながみんな、笑顔で過ごしているわけじゃない。だから、どうしても寂しい夜がやってきたら、羊文学の「生活」を聴けばいい。

どんなに孤独でも、そこから這い上がるための対処法が身についてしまった今の私は、何をどうしても胸に思い描くことができない青い感情がこの曲にはある。

それを、抱いていた当時は、人間的に未熟だからこそ「キツイ」と感じることは山のようにあった。でも、その未熟さが今の私には不思議と輝いてみえるのだ。



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