【日記】2021/12/4 羊文学「まほうがつかえる2021」Billboard Live YOKOHAMA(1st stage)
羊文学が持つ神聖さ。それはこのバンドの曲を聴くとき、そしてライブを観ているときに強く感じられる要素だと思うのですが、そういう意味では今回のビルボード公演「まほうがつかえる2021」は、”神聖さ”というバンドの本質的部分の深いところまで触れることができた、貴重なライブだったんじゃないかなと思いました。
会場がジャズクラブということもあって、普段ライブハウスでのライブとは趣を変え、セトリもかなり練られていたように感じました。だからか、ライブハウスでは見えにくいバンドの側面が浮き彫りになっていた。
打ち込みや同期を一切使わず、ギター、ベース、ドラムのみの少ない音数で構築するドリーミーな轟音の中を、浮遊感あるモエカさんのヴォーカルが漂う。特に前半。 「ソーダ水」から「砂漠の君へ」というノイジーな曲が続いたときの没入感。一瞬、自分が今どこにいるのかわからなくなるような…そんな感覚に陥る。
この「まほうがつかえる」を初めて開催したのは、3年前の下北沢のライブハウス。ちょうど羊文学のクリスマスソング「1999」が発売された頃だそう。MCでは「いつもは激しめなライブをしているけれど、これはクリスマスイベントのようなライブ」であること、また今年は「1999」のEnglish Ver.のリリース記念イベントでもあるのだと、今日ライブの趣旨を説明し、アコースティックコーナーに突入します(アコースティックライブを行うのも久しぶりらしい)。
件の「1999」のEnglish Ver.から始まったこのパートでは、ジョン・レノンの「Happy Xmas(War Is Over)」のカバーを披露、ブルージーに歌い上げるモエカさんの姿が印象的でした(2nd Stageでも演奏していると思うけど、配信を観たら権利の都合上なのか、カットされていた。残念。彼女の違う一面を観ることができたので)。
ライブの後半は、最新EP『you love』から「マヨイガ」「あの街に風吹けば」、ライブで同じみの「あいまいでいいよ」が息をする間もなく続き、本編ラストは「1999」。そもそもクリスマスとはイエス・キリストの誕生を祝う日。リリックに《神様》という言葉が自然と出てくる所に、学生時代キリスト教の学校に通っていたモエカさんならではのセンスを感じる。ミラーボールが回るフロアで、曲に込められた愛を精一杯鳴らし、溢れんばかりの多幸感とともにライブはいったん終了。
そして、アンコールはこちらも最新EPから「夜を越えて」。正直、まだ演奏も歌も拙い部分はあるのだけど、今の羊文学にしか鳴らせないまっすぐなバンドの音と、今の歳のモエカさんだからこそ彼女の心の中から生まれる感情が乗る歌声、そして何よりこの曲の純度の高さは、彼女たちより10歳以上も年上の私の胸にもガツンと響くものがありました。
私は羊文学を聴いてると、大学時代の音楽サークルをやってた頃の自分を思い出します。そして、彼女たちのようなバンドを組みたかったんだなぁと、今回初めてライブを観たことで更に強く実感しました。過去に戻ることはできないから、今更どうにもならない。でも、羊文学に出会えたことで、私はやり残してきた過去を、また別の形ではじめてみたいと思いました。
15歳でロックバンドに目覚め、アラフォーになってもロックバンドが大好きな自分を、大人げないな~とか恥ずかしく思うとき、たまにある。でも、やっぱり「このままでいいんだよな」と、あたたかな余韻に包まれ、岐路に着くことができたのでした。
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