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わたしはわたしのはずなのにわたしの曲を唄う"誰か"になっていた







埃がかかったギターのチューニング
音がわからなくなった
痛んでいく耳を押さえても
悲鳴だけは聴こえていた
指の豆はいつしか消えていて
昔の曲を引っ張り出して
笑ったり泣いたりしてさ
最後の一歩なのに踏み出せない
最後の一歩だから踏み出せない?
あんな欲望だらけの世界は嫌いなんだ
ただ、唄っていたいだけなんだ
ほっといてくれ
浮かんだのはギターを持って
スポットライトの下で一人唄っている姿
わかったのは宙に浮いていたんだっていうこと
わたしはわたしのはずなのに
わたしの曲を唄う"誰か"になっていた
自分の心を置き去りにしてしまった





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542字
裸足が好きです

白よりの藍

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